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スピッツ「みなと」 君ともう一度会うためにつくった歌さ
アルバム「醒めない」(2016年7月27日リリース)の2曲目。
1曲目の表題曲「醒めない」では、ロックの魅力にずっとハマり続けている自分たちを歌い、その流れでこの2曲目を聴くと・・・。
「みなと」で歌っている「君」はもしかしたら、「スピッツファン」のことではないか!と疑ってみたけど、いくつか矛盾しそうなところがあった。なので、即座に撤回。
大切な「君」と死別した「僕」が、「君」への歌を歌い続けているという解釈が最も適切かもしれないと考えるようになった。とても、とても悲しい歌だということが分かります。
「船に乗るわけじゃなく だけど僕は港にいる
知らない人だらけの隙間で立ち止まる
遠くに旅立った君に 届けたい言葉集めて
縫い合わせてできた歌一つ携えて」
遠くに旅立ったはまさに、亡くなった君に伝えたい言葉を集めてつくった曲を歌い続けているということなんだね。
「汚れてる野良猫にも いつしか優しくなるユニバース
黄昏にあの日二人で 眺めた謎の光思い出す
君ともう一度会うためにつくった歌さ
今日も歌う 錆びた港で」
この曲を理解するには、港が何のメタファーになっているのかを考えないといけないけど、そう簡単には出そうにない。いくら考えても分からない。
「勇気が出ないときもあり そして僕は港にいる
消えそうな綿雲の意味を考える」
勇気が出ないというのはどういう意味だろう。「君がいない世界で生きる勇気」ということだろうか。そんなときには大切な場所「港」に行く。
「消えそうな綿雲の意味」って何だろう。君がいない世界で生きる自分自身を「綿雲」に投影しているのでしょうか。あまりに存在感が薄く、意味がないものの象徴として。
「遠くに旅立った君の証拠も徐々にぼやけ始めて
目を閉じてゼロから百までやり直す」
君が亡くなってから、ずいぶん時間が経過しているのでしょうか。「証拠がぼやける」って。人間って、忘れる機能が付いているから生きていけるって聴いたことがあるからね。
それは便利なようで、忘れたくない人にとっては不便極まりないよね。「目を閉じてゼロから百までやり直す」っていう表現は「絶対に忘れたくない」ことを強調しているようにも感じます。
「さらさら」とか「僕はきっと旅に出る」のような雰囲気をまとった曲のように感じます。東日本大震災から5年が経過した2016年につくられた曲ということもあって、鎮魂のメッセージが込められてるのかもしれませんね。
2022年9月22日 トラジロウ
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