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可燃ごみへ−いろいろあるよ−

普段は行くことのない
地元のホテルへと
案内状が
懐かしい名前を並べて届いた

自分を語る
家族を語る
誰かの来し方に耳を立てる
 
「まあこんなもんか」
優越感を
遠慮を纏って自認する
 
親しげに肩に手を当て合って
苦労を労い
富を探り
体調を自嘲し合いながら
「いろいろあるね」
「いろいろあるよ」
 
言葉は誰の胸にも落ちず
空調に吸い込まれて
ホテルの外で
溶けて気化して
 
本当のことは
誰の口にも語られず
誰も誰にも期待せず
言葉の羅列は
聴きたいように変換されて
跡も遺さず消えて逝く
 
地元に居ながら
此処に居るから
行かない

持て余す時間で
可燃ゴミへ

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