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分別(ふんべつ)

あなたは
東京行きの「のぞみ」に乗って
三時間を待たずに丸の内のビル群を見る
 
誰かが
高山寺の石水院から神護寺へ
二時間をかけて高雄を巡る
 
虚空には
二人を見つめる意識が在って
時間の経過を永遠の中で俯瞰する
 
どんな感覚も
同じもので有り得ないのは
見つめられる私達
 
譬えば五秒
西から東へと風が吹き
埃が散ってそして止まって
そうして五秒
散った埃が
散りざまを辿って元の位置に還っても
時間はやはり過ぎていて
 
起点を順逆
方違(かたたが)えたと
分別するのは私達
 
見たいように見えている
時間を重ねてみたいだけ
そうして
「無い」という分別を語りたいだけ

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