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大学の教科書購入を回避する11の方法

高い教科書を買いたくない人へ

大学の教科書は高い。
大学では「学問分野の専門書」を教科書として利用するので、高校までの「教科書用に作られた検定教科書」よりも高価になってしまう。
学部にもよるが、大学の教科書が一冊2000円程度なら良心的な方で、4000円を越える教科書もザラにある。

私は大学在学中極貧生活を送っていたため、なるべく教科書を購入しないよう努めてきた。教科書を買わないからといって不真面目な学生というわけでもなく(そう信じている)、何故か大学の成績は学科トップだったので、教科書をまともに買わなくとも学業に支障が無いことは私が保証する。
(追記: イキってすみません。この記事執筆後、筆者は目出度く休学したので、残念ながら教科書を買わないことによる学業への不利益は保証しかねます。)

1. 正攻法: 大学図書館で借りる

最適解にしておすすめの方法

所属している大学の図書館蔵書検索システム(OPAC)で検索して、授業で指定されている教科書の蔵書があればラッキーだ。早速貸し出し手続きを行い、授業で利用すれば良い。図書館の本は当然一定期間しか借りられないが、貸し出し期限が来たら一旦返却して再度借りれば授業開講期間中ずっとその本を利用することができる。私はこの方法(後述の蔵書リクエストも含め)で大学4年間の授業のうち半分程度を乗り切った。

もし、図書館の制度的に一定期間しか借りられない場合や、次の借り手がいる場合は、本を複写(コピー)することもできる。著作権法の範囲内の複写に限られるが、授業で使用する箇所や、演習問題が記されたページのみコピーするなら問題ないだろう。

デメリットは、もし同様のことを考えている学生がいた場合、貸し出し争奪戦になるということだ。その場合は別の方法を考えよう。

2. 正攻法: 図書館に発注依頼する

裏の正攻法

図書館に教科書の蔵書がなければ、図書館に購入リクエストをしよう。大学にもよるが、多くの大学図書館では、学生が図書館蔵書に加えてほしい本をリクエストできる制度が存在する。

どんな本でも申請すれば買ってくれる訳ではないが、教科書に指定されている本のような真面目な学術書ならば、リクエストが可決されるはずだ。リクエスト理由を尋ねられた場合、「教科書に指定されているから」と正直に書くと公平性の観点から否決されるかもしれないので、「レポート執筆・研究活動に使う」などと適当な理由を書いておけば良い。

私が以前在籍していた大学では、図書館運営を本屋の丸善が行っていたため、申請から2日ほどでリクエストした本が届いた。Amazonと張り合える速さである。逆に大学によっては、リクエストが通っても直ぐに書籍が購入されない場合もあるので注意しよう。

3. 正攻法: 先輩を頼る

コミュ力おばけにおすすめ

同じ授業を履修したことのある先輩や、昨年度その授業を履修した同学年の友人らから、使い古した教科書を譲ってもらうというのは、古今東西に共通する大学における作法だ。

サークル等で広い友人関係を築けている場合、この方法だけで4年間の教科書の都合をつけることができる。しかし、そんな素晴らしい社会関係資本を有している人は、そもそもこんな記事を読んでいないだろう。

特に昨今のCOVID-19な事情により、この作戦は使いづらくなってしまった。Twitter等で教科書を譲ってくれる人を募るなど工夫が必要かもしれない。

4. やや邪道: メルカリ・古本屋で買う

最低限の費用負担で

この手法は、ここまで書いてきた方法とは異なり金銭的負担が生じるため「購入を回避する」という記事のタイトルに背くが、許して欲しい。
図書館に教科書の蔵書があったが貸出中という場合や、教科書を図書館で借りるというのは不真面目で気が引けるという場合、教科書に書き込みを求める授業の場合は、図書館作戦は使えず、自分で教科書を所有する必要がある。そんなときはまず、中古品の購入を考えよう。購入先はフリマサイト(メルカリがおすすめ、ラクマは運営が不安、それ以外は知らん)、もしくは古本屋が考えられる。

フリマサイトのメリットは、アプリ上で本の名前を検索できるので簡単に欲しい商品が見つかることと、個人間取引なので消費税がかからないことが挙げられる。私はメルカリで教科書を合計5冊ほど購入したが、特にトラブル等はなく、定価の1/3程で購入できた。

古本屋を利用する場合は、大学の近くの店舗に足を運ぶことが鉄則だ。古本屋では本棚から自力で目的の本を探す必要があり、目的の本の取り扱いがない店を訪ねても時間の無駄になってしまう。大学付近の古本屋なら、その大学の学生がいらなくなった教科書を売りに来ている可能性が高く、また店舗側も学生向けの専門書をラインナップしていることが多く、欲しい教科書が手に入る可能性が高まる。

5. やや邪道: 大学外の図書館

正直メリットはない

あまりメリットはないかも知れないが、大学外の図書館(市立図書館・県立図書館、国会図書館、他大学の図書館等)を利用する手もあることを、一応記しておく。家の近くに図書館がある場合等はこの方法の方が使い勝手が良いかも知れない。また、国立国会図書館には日本で出版された全ての本が蔵書されている(ことになっている)ので、どんなにマイナーな本でも閲覧することができる。ただし、国立国会図書館の本は館外に持ち出せないので、その場で読むか、複写依頼(有料)を行う必要がある。

6. 邪道: 先生に聞く

授業担当教員が執筆者なら...

授業を担当している先生に問い合わせ、教科書を貸してくれないか交渉するという手法だ。この手法は授業の性質や先生の性格に完全に依存する。私の経験では、ある講義を担当する先生が教科書の執筆者でもあり、先生が出版社から大量にもらっていた販促用の予備の教科書を貸し出してくれたことがあった。

また、このケースのように教科書の著作権者が先生だった場合、その先生の許可を取れば合法的に教科書全ページをコピーしてしまうことも可能である(共同執筆や挿絵イラストが別の作者の場合に注意)。

この方法は、先生との信頼関係が築けていることが前提となる。日頃から仲良くしている先生や、研究を手伝ったことのある先生ならば、ワンチャンあるかもしれないし、そうでなければ最低限その先生の論文を読んでから先生にコンタクトを取り「先生の論文のこういう点に感服し、ぜひ授業を履修したいのですが、あいにくお金がなく教科書を買えません、そこで...」と交渉しよう。先生へのリスペクトを忘れずに。

7. 邪道: 教科書と類似内容の論文を探す

用途限定的

教科書の内容が込み入った専門分野の解説だったり、分析手法の説明だった場合、その本はいくつかの論文の内容をもとに編集されている可能性がある。その場合、元となった論文を入手できれば、教科書と似たような内容を知ることができる。論文はPDFファイルとして無料配布されている場合もあるし、そうでなくとも大学が加入している論文データベースを通じて実質無料で入手できるケースが多い。

この手法が使える授業は限られてくるとは思うが、特に3年生以上の高年次配当科目だと、分析手法等を扱う専門的な講義が行われることもあり、そういった場合は有効な方法だろう。

8. 邪道: 教科書を買った友達の隣の席に座る

通称「パラサイト」

ここまである程度真面目な手法を提案してきたが、もっと頭を柔らかくしてみる。奇特にも教科書をちゃんと購入した友人に教科書を見せてもらうという手も考えられる。

私はこの方法のことを「パラサイト」と呼び、いくつかの授業でこの方法を使った。基本的には教科書を持っている友人の隣の席をキープするだけなので、この手法の難易度は低い。だが、「またお前教科書忘れたのか」と毎回先生に指摘されていたので、あまり授業中に目立ちたくない人にはおすすめできない。とはいえ、大学の授業なので教科書忘れ程度で成績を減点するような先生はおらず、実質的な問題はなかった。

この手法はリモート授業時代には使いづらいかもしれない。限定的なケースだが、教科書を持っている友人が同じ学生寮に住んでいる場合なら、教科書を見せてもらいながら同じ部屋からZoom講義を受けることができる。リモート授業の場合、先生からしたら学生の様子はわからないので、「お前また教科書忘れたのか」現象を回避できるだろう。


9. 邪道: 友達と共同購入する

パラサイト・改 (共依存)

これは先述のパラサイトの発展型なのだが、1冊の教科書を友人と共同購入(費用を折半)するという手もある。毎回の授業はその友人の隣に座り、テスト勉強では教科書を回し読みすることになるので利便性は高くないが、わずかな教科書を分かち合うというのは、戦前の知識人っぽく、趣深く、アカデミアに身を置いているという感覚を味わえるかも知れない。

10. 違法: 複数人で共同購入する

日本国の現行法に縛られていない君へ

これはあくまでネタなので真に受けないように。複数人で教科書を共同購入し、それを自炊してpdfファイルを分け合うという方法を採った、という話を聞いたことがある。明らかに私的複製を超える行為なのでくれぐれも真似しないように。

日本国と同等の著作権法令が整備されていない国にお住まいの留学生等ならアリかもしれない。

11. 最終手段: 生協で買う。

ある意味もっとも正しい方法。

ここまで記したすべての手段が使えなかった場合、もう諦めて大学生協で教科書を買ってしまおう。まれに大学生協が無い大学があるが(私の大学もそうだったが)、そういった場合でも大学内の本屋・売店に教科書の扱いがあるはずだ。

再販売価維持制度という法律の制限から、原則として書籍は値下げができず、定価販売のみである。しかしながら、生協や大学の内売店(これは場合によるが)は再販売価格維持制度の対象外であるため、教科書を10%offで買うことができる。そのため、あきらめて教科書を買う場合は、街の本屋ではなく生協で買うのがお得だ。

なお、街の本屋やネット書店は、本自体の値下げはできないがポイント還元はできる。例えばAmazon Studentでは3冊同時購入で10%ポイント還元を実施していたり、ヨドバシ.comでは条件無しで3%還元(ヨドバシの独自クレジット所有で10%還元)を行っているので、これらの方法も選択肢には成り得る。しかしまあ、生協の10%還元を超えるお得さは無いので、大学内で手っ取り早く教科書が入手できる生協の方が便利だと思う。

・・・

以上であります。
繰り返しになるが、日本国にお住まいの方は、くれぐれも10番目の共同購入手法は行わないように。
教科書代を節約して楽しい学生ライフを過ごしましょ。そうしましょ。


※ アイキャッチ画像は私が夏休みに借りた本(そして読まなかった本)であり、教科書とは関係ありません。

わゎ