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【エッセイ】授業からの逃げ方のすゝめ

 授業中、眠くて眠くてしょうがない。
そんな経験を誰もが一度はしたことがあるはずだ。
 今まさに、私はその状況にある。体全体の力が抜け始めているため、あと一回の瞬きで眠ってしまいそうだ。この段階まで来ると、第六感が目醒めるのか、「もういっそのこと机に突っ伏して寝てしまおう」という悪魔の囁きすら聞こえるようになる。が、私は寝るわけにはいかない。先日のテストが散々であったため、授業態度に全てがかかっているのだ。このまま寝てしまえば、きっと通知表は見るに耐えない内容になるだろう。
 起きなければ!起きなければ!そう意識するほど、ずるずると体が眠りに引き摺り込まれていく。このままではまずい。実にまずい。せめて動き続けようではないか。聞いているだけの授業では眠くなるに決まっている。必死に黒板の内容をノートに写したとしても、この状態ではきっと何も頭に入ってこないだろう。
 私は授業用iPadのボイスメモを開いて録音ボタンを押し、教科書は開いたままにして、黒板の内容を写すためのノートとは別のノートを取り出した。そして堂々とこの文章『授業からの逃げ方のすゝめ』を書き始めたのだ。この座席で!↓

赤丸のところが私の席である。

我ながらすごい勇気だ。
この眠気脱出法にはちゃんとしたコツがある。全部で三つだ。今回は特別に伝授する。

①ずっとノートに文章を書いていると違和感がある。顔を上げ、先生を見て、黒板を見て、うんうんと頷いてから、また目線をノートに戻す
という動作を定期的に行うとよい。
側から見れば、あら不思議!とても熱心に授業を受けている生徒である。

②先生が生徒の席を周ってくるタイプの授業では、この方法はおすすめしない。先生が周ってくるというスリルを味わいながら、頑張って起きていること。

③また、よく当ててくるタイプの先生の授業でも使わないほうがよい。急に当てられた際、何も答えられなければ、「じゃあ貴方は何をメモしていたの?」と聞かれるはずだ。かなり面倒くさいため、いきなり当てられるかもしれない、というスリルを味わいながら起きていることをすすめる。

この三つさえクリアすれば、バレずに眠気を誘う授業からの逃走に成功できるのだ…

授業の終了を知らせるチャイムが鳴った。チャイムが鳴ると眠気が一気に吹き飛ぶのだから、本当に不思議である。家に帰ってから、録音した先生の話を聞こうと思う。
今日の授業はこれでおしまい。
「起立」
『ありがとうございました』


※注意
授業はまじめに受けましょう。これをやったとしても、頭には何も入ってきません。リアルタイムで受ける授業が1番良いです。
丁寧に教えてくださる先生方。学費を出してくださる保護者の皆様。大変申し訳ございませんでした。
今日こそは早く寝ましょう。

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