息子のアタマのシラミと戦いながら、感じたこと。
小学校1年生の息子の頭に、シラミがわいた。
なんだか頭がかゆそうだなぁとは思っていた。ある日、ふと息子の頭皮を見てみたら、髪の毛の根元に白いフケのようなものがたくさんあった。手で払おうとしても取れない。
あ、シラミだ。ぜったいシラミだ。
そう思った瞬間、ゾゾゾゾゾ〜ッとして、自分の頭もかゆくなってくる。「アタマジラミが確認されました。」というメールが何度か学校から送られてきたことがあるので、その存在は知っていたけれど。まさか息子のアタマにシラミがわくなんて。
「この際、坊主にする?」
「ぜーーーーったいイヤ!」
とのことだったので、急いで駆除の方法を調べはじめた。
「スミスリン」というシャンプーを使えばいいと書いてあるブログが多かったけれど、スミスリンは「殺虫剤」とのこと。合成洗剤で洗濯するとプツプツができてしまうくらい肌の弱い息子に使うのは、なんだか心配だ。
それもあって、息子は基本的にシャンプーもしておらず、湯シャンだ。シャンプーをしっかりすれば、シラミの幼虫や成虫はちゃんと流れていくらしい。卵はシャンプーでもとれないけれど、およそ1週間で孵化するので、2週間ほど毎日しっかりシャンプーをして、成虫が新たな卵を産む前に駆除し続けることができれば、息子の頭からシラミを根絶させることができそうだ。
でも2週間も毎日シャンプーをすれば、きっと息子の頭皮はガッサガサになってしまうだろう。
いろいろ調べていく中で、「シラミ取り用のクシ」をネットでポチった。
目の細かいクシで髪をとかして、卵やシラミをとっていく。1番めんどくさくて地道な方法だけれど、息子にとっては1番負担の少ない方法だなと思えた。
次の日にはそのクシが届いて、さっそく息子の髪をとかしてみる。
ティッシュの上に、シラミがピョンッとあらわれて、「ひゃ〜!!!」と叫ぶ。
生まれてはじめて、シラミをこの目で見た。
クシには卵らしきものが。このクシ、いい仕事をしてくれる。
その日から、朝と夜の1日2回、そのクシでしっかりと息子の髪の毛をとかした。
仕上げに、息子の頭皮の近くをチェックして、クシではとりきれなかった卵を見つけたら、ツメを使って1個1個とりのぞく。
はじめのうちはいちいち「ひぇ〜!」とか「ぎゃー!」とか言いながら必死に駆除していたけれど、3日もすれば慣れてくる。
シラミがピョンッと出てきても、卵を見つけても、冷静に淡々と処理できるようになった。
息子は自分の頭にシラミがいることに対して全く気にしていないので、もうこれは私とシラミとの戦いだ。
シラミの成虫は、1日に3〜9個の卵を産むらしい。
卵はできるだけ生まれる前に取り除く。
うっかり見逃して産まれてきてしまったシラミも、できるだけ早く取り除く。卵をたくさん産んでしまう前に。
そして1週間ほどすると、クシでといてもシラミがピョンッとでてこなくなり、卵もクシにつかなくなった。
私は戦いに勝ったのだ。
戦いに勝ったあともなんだか気になって、1日1回お風呂に入る前に、クシで髪の毛をとかし、息子の頭皮をチェックするようになった。
ふと、毛づくろいをしているお猿さんの親子の姿が、頭の中にポンッと浮かんでくる。
息子の髪の毛や頭皮を、念入りにチェックする自分の姿とそれが重なって、なんだかクスッと笑えてきた。
こんなにじっくり時間をかけて、こんなに注意深く、こんなに集中して、息子の髪の毛を触るのは始めてかもしれない。
なんて手がかかるんだろう。
子供はなんせ手がかかる。
でも、ここまでわかりやすく手をかけるのは久しぶりかもしれない。
最近私は、息子のことをちゃんと見てあげられていただろうか。
1匹のシラミが、どこかから息子の頭にやってくることは避けられないことだけれど、まだ1匹2匹のうちに気づいてあげられたら。
今回みたいに、こんなに増えてしまうことはなかった。
放っておけばおくほど、シラミはどんどん卵を産み、どんどん産まれて増えていく。シラミだって必死に気づかれないように髪の毛の根元の部分にガシッとつかまって潜んでいる。そんな彼らを見つけるためには、注意深く繊細にしっかりと意識を向けていないと、見逃してしまう。
シラミに限らず、
ちょっとした、いつもとちがう表情。
ちょっとした、いつも使わない言葉。
ちょっとした、いつもとちがう行動。
ちょっとした違和感。
それらが大きくなりすぎる前に、ふと気づいて、「どうしたのかな?何かあったのかな?」って想像して、ちょっと声をかけてみたり、必要であれば手助けしたり軌道修正してみたりすることが、結局は1番手のかからない方法なのかもしれない。
最近、ちゃんと子供に意識を向けてあげられている?ちゃんと子供を見てあげられている?「ちゃんと」っていうのは、「心を込めて」っていう意味だよ。
毎日息子の髪の毛を毛づくろいせざるを得ない状況から、そんな問いかけが聞こえてくるような気がした。
最近「自分!自分!自分!」ってなっちゃってたかもしれない。心の矢印を自分の方に向けたまま、目だけを息子に向けていたって、きっと何にも気づけない。
心を込めて見ないと気づけない、
何か気づかないといけないこと。
はじめは小さくても、
気づいてもらえないと
気づいてもらうために
どんどん大きくなってしまうようなこと。
それにちゃんと気づけるように、
せめて息子と一緒にいるときには、
心の矢印をクルッと息子の方に向けていよう。
もうシラミはコリゴリだし。
もうシラミはコリゴリだし。