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"なんにもやる気が出ない日"のママの本音と、そんな日の過ごし方。

「今日はコレをやって、アレをやって・・・」

家族が食べた朝ごはんの片づけをしながら、頭の中で今日やりたいことを巡らせる。

旦那さんが家を出て、息子を幼稚園に送って、シンッとした家に帰る瞬間が好きだ。


猫たちの歩く音がきこえるくらいに、カタツムリたちがキャベツを食べる音がきこえるくらいに静かで、いつもはその静けさの中で、今日やろうと頭で巡らせていたことをやり始める。


でもたまに、どうしてもやる気が出ない日がある。


昨日の私は、ソレだった。



あ、今日はココにいちゃダメだ。どこでもいいから、とにかく家の外に出ないとダメだ。


そう感じたので、私は今日やろうと思っていたことを全部捨てて、とりあえず外に出て、自転車に乗った。


でも、行き先が決まらない。行きたいところが思い浮かばない。電車に乗って、思いっきり繁華街に出てみようかと思ったけれど、気が乗らない。このまま10分くらい自転車を走らせて山まで行ってお寺にお参りでもいこうかと思ったけれど、それも気が乗らない。だれか友達をランチに誘ってみようかとも考えたけれど、それもまた気が乗らない。


でもなんだか電車には乗りたいな、と思った。最近なかなか電車に乗るきっかけがなかったから。


とりあえず電車に乗ってみよう、乗ってから行き先を考えるなんて人生はじめてだけれど、なんだかちょっとだけワクッとした気持ちを大事にしようと思った。

桜井駅の改札でPiTaPaの音がピッとなると、小さな旅がはじまった気がした。



さて、どこまで行こうか。

桜井駅から1駅乗ると、石橋阪大前駅に着いて、そこが阪急箕面線の終点だ。

とりあえず石橋阪大前駅まで行こう。たった一駅分だけど、とりあえず電車に乗ってみよう。

運転手さんの背中をぼんやり見つめながら、まずは数分、電車にゆられてみた。



石橋阪大前駅に着くと、ここからどこに向かおうかと考えた。この駅で降りてもいいし、どこかもう少し遠くに行ってもいい。


阪急宝塚線の路線図を思い浮かべて、「今日降りたい駅はどこ?」と自分の腹に聞いてみた。


「十三駅」


なぜかそう思ったので、私は十三駅に向かった。


十三駅に着くと、駅ナカのおうどん屋さんからダシのいいニオイが漂ってきた。お店の前を通り過ぎようとすると「かすうどん」のポスターが目に入って、たまらなく食べたくなった。

まだ11時半くらいだったけれど、私は"かすうどん"を食べることにした。


食券を買って、テーブル席で座って待っていると、番号を呼ばれた。受け取りカウンターに行くと、"かすうどん"が出来上がっていて、ホカホカと湯気が立ちのぼっている。私は席に戻って、心の中で「いただきます」と言ってから、そのかすうどんを食べ始めた。


だれかが作ってくれたご飯って、なんておいしいんだろう。ただ座っていただけで、できたてホカホカのご飯が自分の目の前に運ばれてくることが、うれしくてうれしくて仕方がなかった。もちろん、お金を払ってそのかすうどんを食べているのだけれど。 

その温かいうどんは、その温度以上に私のお腹を温めてくれたような気がした。



次はどこにいこうかな、と考えていると、自分の肩がすごく凝っていることに気がついた。

肩をもまれたい。

急にそんなことを思った。



ホットペッパービューティーで空きのあるサロンを探していると、十三駅から一駅離れた「中津」という駅の近くのサロンが気になった。

30分後に予約をポチッと入れて、また一駅分だけ電車に乗った。


東京にいた約2年間をのぞいてはずっと大阪にいるのに、中津駅で降りるのははじめてだった。駅を降りてしばらく歩くと、商店街が見えてきた。商店街の入口に足を踏み入れたときのニオイがすごく好きだな、と思った。なんだか懐かしいニオイ。シャッターのしまっているお店も多かったけれど、店主の想いやこだわりがつまっていそうなこじんまりとしたお店がところどころにあって、すごく好きな雰囲気だった。


予約したサロンは「お家サロン」のような雰囲気で、店主さんはニコニコしながら、私の体を丁寧にさわったり、ゆらしたり、押したりして、整えてくれた。


私はヨガとかストレッチとかストレッチポールなどで自分で自分を整えたりほぐしたりするやり方は学んできたし、知っている。

でも今日は、どうしてもだれかにもんでもらいたかったんだ。お金を払ってでも、だれかに頼りたかったんだ。


ウトウトしながら、そんなことを思った。




幼稚園のお迎えまでまだ時間があったので、私はまた十三駅で降りて、駅ナカのパン屋さんでキャラメルラテとチョコクロワッサンとクイーニーアマンを買って店内でのんびり食べた。


自分はただ座っているだけで、できあがったパンたちと飲み物が目の前に運ばれてくるなんて、なんて贅沢なことなんだろう。もちろん、お金は払っているのだけれど。

甘い飲み物と甘い食べ物たちは、その甘さ以上に私の心をトロッと溶かしてくれたような気がした。





そのあと、石橋阪大前駅に戻り、桜井駅まで戻り、息子を迎えに行った。


自転車をこぐ足がなんだか軽い。息子とのやりとりがなんだか楽しい。家に帰って息子としゃべりながらアイスを食べて、お風呂に入って。夜ごはんを作る手が軽い。その片づけをする腰が軽い。


息子がねむってから、旦那さんがたまたま買ってきてくれたロールケーキとコーヒー牛乳をお供に、録画していた"大豆田とわ子と3人の元夫"を見て、一緒にゲラゲラ笑う。


昨日はそんな1日だった。
すごく満足な1日だった。




いつも子供が中心で、自分の行きたいところや食べたいものは後回しになりがちだ。

家の中では、家族と自分のごはんを自分で作り、自分で後片付けをする。家族と自分の大量の洗濯物を、自分で干して、畳んで、しまう。

明日もきっとこんな感じで1日を過ごすんだろうな、とだいたい予想できる毎日。



そんなママたちには、私が昨日過ごした1日のような日が、ときには必要なのかもしれない。


「なんにもやる気が出ない日」は
「だれかに頼りたい日」なんだと思うのだ。



電車の運転手さんは運転してくれて、どこか"日常"とは離れた場所に連れて行ってくれた。

うどん屋さんのおばちゃんが、ホカホカのかすうどんを作ってくれた。

整体師のおねえさんは、私の体を丁寧にもんでくれた。

パン屋さんのおばちゃんは、パンをお皿にのせ、飲み物を作って、お盆に乗せて、私に渡してくれた。

そしてまた、電車の運転手さんは運転してくれて、"日常"にそっと戻してくれた。



わかりやすく、だれかに何かをしてもらうだけの「非日常」を過ごす日。お金を払ってでも、そうした方がいい日。

そして気持ちの向くままに、なりゆきで、フラフラと過ごすような日。




カロリーも考えずに好きなだけ食べたし、お金もたくさん使った。電車に乗って、食べて、揉まれて、食べるだけの、なんの意味もない1日だったとも言える。

でもなぜか、お腹の底からフツフツと「やる気」が戻ってくる感じがしたから、きっと私にとっては意味のある1日だったんだと、そう思いたい。



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