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#26 いじめていた側と大人になってから会ったときの反応

前回「あだ名はうんこといじめられていた僕が考える自殺報道のあり方」という配信をしましたところ、本当に多くの方々からコメントを寄せいただきました。InstagramやTwitterもやっているんですが、そこでもたくさんのリアクションをいただきました。ありがとうございました。

さてその後どうなったのかといいますと、2人の加害者と大人になってから会っています。

フジテレビのアナウンサーとして入社したときに、引き継いだものがありまし。自分の学校ではですね、大学卒業生OBや家族が集まるパーティーがありまして、500人ぐらい集まるんですが、そこの司会を卒業生のアナウンサーがしているということで、フジテレビの先輩女性アナウンサーがしていました。それを引き継ぎました。

いざ、当日、その会場にいくと僕をいじめた人たちが、お父様お母様と一緒に出席しているわけです。そりゃ、もちろん忘れるはずがありません。
でも、何があるわけでもなく普通に淡々と司会していきます。ちゃんと笑いも取りますし、場をちゃんと温めてやったんですけれども、本当にドラマみたいなことがあるんですね。トイレ休憩のときにがっつり会うわけですよ。そのいじめてたやつと。「お疲れ様」みたいな感じで。

話してると全然覚えてないんです。僕の存在すら、ほぼ記憶にない感じ。

そういうものなんだなって思いましたね。

つまり、いじめてる側からすると、石ころみたいなもんなんです。いじめてる相手っていうのは。だから、ひょっとしたら罪悪感なんてないのかも知れない。

一方でやられた側はね、ずっと覚えてますからね。

パーティーはかれこれ16、7年前になりますけれども、あのトイレのシーンを覚えてますからね。そんなもんなのかなと思いました。

NYで再開したもうひとりの”加害者”

さてそしてもうひとりの加害者。これも本当に奇跡としかいいようがないシチュエーションで再会しました。

アナウンサーからNY特派員になり、アメリカで4年間暮らしました。よくいろんな方に聞かれるんですけれども、希望していきました。どうしても海外に行きたくて、上司から記者として行った方がいいぞ、とすすめられて、悩んだんですけれども、アナウンサーを辞めて、海外に行くという選択肢をとりました。

NYでは日本人の同世代がたくさんいまして、いろんな業界のひとたちとすごく仲良くなりました。証券マンや銀行マン、あとは有名なメーカーのひとたちとか。

必然的に仲良くなりますよね。日本人のその同世代の集まり、7、8人のグループでして、月に何回かみんなで飲みに行くわけです。そのうちの1人の親友は今も続いてるんですけど、彼がですね「森下にちょっと話したいことがある」というわけです。「〇〇くんて覚えてる?」と。その人は僕の事をいじめていたグループうちの1人でした。中心的な存在ではないんだけれども、いじめられてる側からすると同罪です。

その彼が実はNYにいる、と。で、飲み会しようと思うんだけれども、どう?と。で、聞いたら、その〇〇くんは、僕のことをいじめていた過去をの話をしていたんですね。で、ちょっと気まずい、と。

でも、もう卒業から何年も経って、しかもお互い大人ですからね。だから、いいよ、と。僕自身としても、どういうリアクションを彼がするのかちょっと興味もありました。気まずい、と言ってるぐらいだから、その彼はいろいろなことを覚えてるわけですから。

それで開催された飲み会。その彼と2人で話しました。すると彼が開口一番
「あのときは申し訳なかった」と謝りました
。そして「ああいう過去があったから、こうした会で会うのは気まずかった」と。

その一言で僕の場合はその彼に関しては、なんのわだかまりもなくなりました。

10数年経ってからのリアクション一つで、過去の印象もずいぶん変わるんだなと思ったのです。

だからこれを読んでくれている人の中には、ひょっとしたらいじめてる側に回っていた人もいるかもしれない。

何年経っても、やられた側は絶対に忘れません。やってる側の人がいたら、本当にたった一言でもいい。なかなかね、大人になっても言いづらいこともある。気まずい。でも本当にその一言で救われる、そして一気に関係が改善することもあるということをお伝えしたく、お話させてもらいました。

(voicy 2022年5月10日配信)

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