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#33 生き残るために生活に活かしている大地震取材経験

東京都防災会議地震部会、地震の研究をしている都の部門が10年ぶりに首都直下地震が起きたときの被害想定を見直しました。

それによりますと、都心南部を震源とするマグニチュード7. 3の地震が起きた場合、およそ6100人の死者が出る。23区のおよそ6割が震度6強以上に見舞われ、一部では震度7という想定となっています。負傷者はおよそ9万3400人。

こうした地震に見舞われたときに、生き残るためにはどうしたらいいのか。
それを考えていきたいと思います。

なぜ僕がそれを語れるのか。

この国で起きた大きな地震、過去20年間でおきたほぼ全ての地震を取材してきました。東日本大震災も延べ2ヶ月、現場に行っていました。その前、新潟中越ですとか、岩手宮城内陸地震ですとか、一定の犠牲者が出てしまったそうした大きな地震をほぼすべて取材してきました。

そこでたどり着いたのは、とにかくまずは水です。

当たり前だと思うかも知れませんけれど、みなさん、いまちょっと冷蔵庫もしくは、納戸などを見てみてください。そこに果たして本当に必要な量の水が確保できているかどうか。

家族三人の我が家は12本入りのダンボールがだいたい10箱常にあります。これだけミネラルウォーターがあっても、さすがにローテーションしていけないので半分以上は、炭酸水にしています。僕がハイボール飲むので、炭酸水の消費量がすごいんですよ。だから常にくるくる回っている。
一定期間ごとに新しい新鮮なものが入ってきてる状態なんですけれども、もちろん炭酸水だって立派な水です。とにかく水なんです。

自衛隊の救助活動が来るまでは3日ほどは最低でもかかると考えておいたほうがいいです。すなわち、3日とにかく生き残る分の水があればいいんです。だいたいどのくらいの量か。1日に1.5 Lのペットボトル3本は消費するでしょう。1人当たりすると3日で9本。一応余裕をもって12本なので、1人1箱。
家族4人だと、当然4箱必要になります。一応念のため、その倍あった方が安心。
飲み水だけじゃないですからね、水の場合は、怪我したときに洗い流すのにも必要。手を洗うのにも必要。食器などを洗うのにも必要、とにかく水なんです。だから水をちゃんと用意しておいていただきたい。

カセットコンロが便利

あと火を起こす必要があります。

冷蔵庫の中のモノはとにかく焼いてしまえば食べられるものがほとんどです。生だときついものが冷蔵庫の中にかなりあると思いますけれども、ちょっとだけ想像してみてください。組み合わせて焼けばいいんです。調味料は必ずありますからね。

冷凍庫はですね、基本的に中は全部凍ってますから。電気が止まってもある一定時間は冷やされたままです。そして溶け始めたとしても、とにかく焼けば食べれる。なので我が家はカセットコンロを用意してあります。もちろんガスボンベがないと意味がないので、だいたい20本ほど備蓄しています。

これさえあればどうにでもなる。

サランラップを重宝したとの被災者の声も

防災マニュアルにはサランラップがいいと書いてあるのもありました。
この20年間、被災地に取材で赴くことはあっても、自分が被災したことがないので、サランラップを使うことはなかったのですけれども、すごく重宝したという声をたくさん聞きました。

食器を使ってしまうと、洗う必要がある。水が必要になってくる。手間もかかる。でもサランラップをお皿に巻いて、食べ物をよそえば、食事終わった後、ラップだけとって捨てるだけでいいからお皿を洗う必要がないんです。だからサランラップは思っているよりも多くあった方がいいかもしれません。止血するときも、ぐるぐる巻いて使えるという話を聞いたことがあります。

温かい食べ物はリラックスさせてくれる

ストックしてある冷たいもの、もしくは常温で食べられるものたくさんあると思います。
エナジーバーとかでもそうですし、おやつとかでもいいんですけれども、いわゆる被災地で、そういう心理的にすごく疲れていて、体力的にももちろん疲れているなかで、常温のものだとか冷めたものはもちろんありがたいんですけれども、温かいモノというのが、本当にリラックス、安心させてくれるんです。

伊豆諸島の大島で土砂災害が起きて、2週間ぐらい行っていました。お弁当は買えるんですよ。でもやっぱり冷めてるわけです。贅沢いってはいけないな、と思っていただくのですが、1週間くらいたって、会社から持ってきていた防災食をたべてみることにしました。同封の液体と薬品を混ぜると弁当をあたためることができるものです。けんちん汁だとか豚汁みたいなものを温めていただきました。なんでもない駐車場の端っこでそれを作って、アスファルト上にしゃがみこんで食べたとき、すごくほっとしたんです。いまでも忘れられないんですよね。

温かいものがちょっとあるだけで、すごく安心した気持ちになるんです。

だから、火を起こす必要性ってのは極めて高い。温かいものを、ちゃんと作ることができる装備、それがあるだけでだいぶ変わります。

ガソリン満タン忘れてませんか

振り返れば東日本大震災、ついこの間のような感覚ですが、気がついたらもう10年以上経ってるんですね。だから、多くの人が忘れてしまってるかもしれませんが、当時、ガソリンスタンド、とんでもない長蛇の列でした。もう見えないんですよ。列の最後尾がもう遠過ぎちゃって。とにかく町内ぐるぐる取り囲むようにして車の列ができていて、しかも並べば手に入るかといったら、それはわからない。ひたすらガソリンスタンドに新たにガソリンが届くのを待ってるんですよ。

エコノミー症候群で亡くなってしまった方もいました。

2011年3月発生 東日本大震災

その震災以降見直されたのは、ガソリンが半分以下になったら満タンにしておく。ちゃんと常に入れておこう、というもの。これを忘れてしまっている人も多いと思います。

あの長蛇の列を見ると、普段、常日頃の蓄え備えが重要なんだなと強く思いました。

先日、ネットでニュース記事を読んでいたら、自衛隊の方が、執筆していた記事で、なるほどなあと思ったことがありました。

もうだいぶ昔になりますけれども、オウム真理教による無差別テロ・地下鉄サリン事件。そして東日本大震災。災害、テロ、これらは今、皆さんがこれを読んでいる何気ない日常、その瞬間にある日突然訪れるものだ、と。前もって予兆とかがあるわけではない。本当にある瞬間突然起きるんだ、と。

だから、常日頃から、やっぱりそういった備えをしておくことは必要なんです。

(voicy 2022年5月26日配信)

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