#13 「政府専用機」に搭乗!中は実はこんな感じ
子供の頃、その存在を知った政府専用機。乗ってみたかったんですよね。かっこいいじゃないですか、響きが。そして、中がどうなっているのかが気になって仕方がない。
乗る機会に恵まれたのは政治部の記者になってから。当時は安倍政権だったのですが、「地球儀を俯瞰する外交」というテーマを掲げてかなり外交に力を入れていました。そのおかげで、当時は、すごくたくさん同行取材で海外にいくことができたんです。でも、ちゃんと外務省にお金は払います。僕の感覚では、その対象国まで飛ぶ民間機のエコノミーの正規料金くらいの値段です。
同行できたのはインドネシアに1回、そして、カザフスタン、ウズベキスタン、トルクメニスタン、タジキスタン、モンゴルで1回、これなんと1回の外遊ですべてまわりました。そして、バングラデシュとスリランカ。合計3回、外遊で乗りました。こんなに乗れる日がくるなんて夢にも思いませんでした。
外遊は団体行動の極み
有名な話ですと、いわゆる客室乗務員にあたる人たちは自衛隊の方々です。機内でかなり話し込んでしまいました。男性も女性もいらっしゃいます。男性はもともとパラシュート部隊にいました、なんて話していました。
外遊に行くときは通常、羽田空港から飛び立ちますが、基本的に政府専用機は千歳空港の自衛隊の基地に駐機しています。外遊のたびに、羽田に飛来します。
さて、搭乗手続きはというと、羽田空港でまず外務省の方々にパスポートを渡します。いわゆる入国手続きですとか、そういったものを一括してやってくれます。
とにかく総理のスケジュールは分刻み。本当に分刻みなので、ちまちましたことやってる時間がない。団体行動の極みですね。飛行機から降りたらパッとバスに乗って即移動。総理と周辺の皆様方は、現地では警察に誘導されて、ささっと進んでいきますが、私達はそういうわけにいかないので先回り先回りしていかないと置いていかれてしまいます。
なので、政府専用機も、総理よりも先に乗り込みます。1時間ぐらい前はざら。そして、総理御一行が到着するのを待つ。なので、総理が乗り込む様子は見えません。ずっと機内で待機です。で、知らない間に乗り込みが完了していて、で飛び立つ。対象国につく。降りてください。そんな感じです。
ちなみに、とにかく先回りが鉄則ですが、総理が到着した国でいわゆるセレモニー的なものが空港で行われるケースがあります。その場合は機内に待機です。出発したのを見届けてから、急いで降りてください!みたいな感じですぐ降りて車に乗り込んで、次の次の予定地に先回りします。
マスコミのシートは「グリーン車」
ちなみに僕が乗った政府専用機は今飛んでいる最新型ではなく、1世代前の飛行機です。Boeing 747の2階建てのジャンボジェットです。私たちのシートは、僕が直感的に思ったのは、いわゆる新幹線のグリーン席。あれぐらいの大きさでした。普段乗る国際線のエコノミーのような狭さではなく、新幹線のグリーン車ですね。
最新機に乗ったひとに話を聞いたら今は違うみたいですけれども、当時は配列が2-4-2で、各社が隣り合わせたらないように、2人席のところに1人、4人席のところに2人、で2人席のときに1人。隣が空いていたので広々と使えました。
というのも機内で僕達も作業をするんですよ。原稿書いたり、調べものをしたり。なので、となりに他社がいると、ちょっと…となるじゃないですか。
そういう配慮だったと思うんですけれども、あとそれでうまく人数がちょうど満席になる具合になっていました。
機内食は普通です。委託してるんですよね。いわゆる民間機に提供している会社と。なので食事は普通です。特段何かゴージャスなわけでもありません。アルコールは飲めます。無料です。というよりも料金に含まれています。
ただそこは自己責任です。帰りの便だったらいいですよ。日本に帰る便だったら別にいくら飲んでも、打ち上げ気分で楽しいですけど、行きは判断がわかれるところです(笑)
僕の知り合いに、めちゃめちゃ真面目な通信社の同い年の本当超マジメくんがいたんですが、彼は行きも帰りも野菜ジュースを飲んでいましたが、僕は…行きだろうとなんだろうと、離陸してからすぐ飲んでました。
あと個人的に嬉しかったのは機内のスリッパ。JASDFと刺繍がされているんです。Japan AIir Self Defense Force/航空自衛隊の略称です。かっこいいじゃないですか!もちろん持ち帰りました。妻に「何これ、捨てていい?」なんて言われましたが「とんでもない!」と怒りました。なんなら、さらにもうひとつスリッパを持って帰ってきていたんですが、なかなか言いづらかったですね。
ちなみに、メディアが乗っているエリアは飛行機の一番後ろ、ケツの部分です。その前方に、いわゆるギャレーやトイレがあるじゃないですか。それより先はSPだったり、外務省、関係者が固まって乗っていて、それ以上先は私たちは行ったら駄目なんです。だから、その先はどうなっているか見られませんでした。もちろん首相が乗っているところまで辿り着くことはできません。
今では、僕が乗った政府専用機は旧型ということもあり、ネットでいろいろ公開されてます。首相のエリアはベッドやシャワーがあるなど快適な空間になっていたようです。
なんせ夢が三度も叶った政治部記者時代の思い出。いまでもつい昨日のことのように思い出します。
(voicy 2022年4月7日配信)
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