江戸川と富士山とナポリ
埼玉県三郷市と東京都に接した江戸川の河川敷と土手が、故郷の光景。
千葉県松戸市の実家は土手から100メートルも離れておらず、多くの思い出がこの光景と共に記憶されている。
恒例になっているイベントのおかげで、毎年冬に河口湖畔から大きな富士山を見る機会がある。何度見ても溜息が出るほど美しい稜線。これぞ日本が誇る景色。世界を見渡してもそうそう無いだろう。
一都2県に接した河川敷に沈む夕陽は、誰かの人生には大切な光景だろうけど、松戸市民気質に影響しているとは思えない。
でも、あの富士山は河口湖町民の性格に影響を及ぼしている気がする。
そんなことを考えながら南イタリア、ナポリからの帰国の便に乗った。
地中海に向かい緩く弧を描くナポリ湾と、富士山にも似た稜線の裾野が海に迫るヴェスヴィオ山。この火山もナポリの人たちに多くを与えてきたはずだ。
2000年前の噴火によって時を止められたポンペイは、中央駅から電車で30分程度の一帯に広がっていた。一瞬にして火山灰に包まれたことが奏功し、掘り起こされた都市遺跡に立てば誰でも往時の栄華を感じ取れる。
間違いなく「大昔からここは素晴らしい場所だったんだ」というナポリの人たちの誇りだと思う。
ナポリを見てから死ね、という言葉がある。
それは景色のことだけを指しているのではないそうだ。
「見て」を「感じて」に変えて捉えるのが合っているという解説もあった。
治安は悪い?のかもしれないし、危ないエリアもあるけど、触れ合う人触れ合う人から感じるフレンドリーさは他に記憶がない。
マラドーナ一筋の男性と結婚して10年以上の日本人女性と話す機会があった。
ナポリの魅力をこんな表現で話してくれた。
「こっちでは”愛と憎しみ”って言い方をするんです。たまに良くないこともあるけど、それを越える日常の幸せがある」と。
ボンジョールノ!
プレーゴ!
陽気な人たちの顔がいくつも思い起こされる。
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