工作の裏には、発達特性を考えた企みがある〜季節の工作〜2023・ハロウィン〜
ともせんせいの教室には、季節の工作があります。
春 桜の巨木に花を満開にさせるアート
夏 たなばたの短冊アート
秋 ハロウィンアート
冬 クリスマスアート
ざっくり、この4つは必ず毎年します。
昨今、季節を肌で感じにくくなっている子どもたちの行事として取り入れ始めたのがきっかけです。
発達の障がいを持っているお子さんには、
「指先」を使ったことに対する苦手意識があり、
スモールステップで、少しずつ指先を使うことを好きになってもらいたい、
ひいてはピアノを弾くための丈夫な指作りのきっかけになってほしい、という狙いがあります。
今年のハロウィンは、みんなに「リース」を作ってもらいました。
私は折り紙や工作は得意ではありませんが、
子どもたちに教えてあげるために、夏場から折り方の練習を重ねて、
気がついたら1年分くらいのお化けを折っていました(笑)
中には、「折り紙」と聞いただけで、30メートルくらい引いてしまう子もいます。なので、無理強いはしません。
ただ、興味を持ってもらうための工夫はしました。
例えば、魔女の帽子、これは、①5回以内で折ることができるもの、②ちょっとかっこよく見えるけど、実はものすごく簡単なもの、③気合の入ったもの、
の3つを選んでもらいました。
(番外編:私があらかじめ作っておいたものを貼り付ける、もありです)
ジャックオーランタンも二種類、お化けも何種類か、用意しました。
人気があったのは、この中で一番「折る回数」が多い、カボチャを頭に乗せたお化けでした。
可愛いから、やってみたい!
ともせんせいが手伝ってくれるから大丈夫!
中には、1つのリースに4つもカボチャお化けばかり作った子もいました。
気に入っていただけて光栄です。
折り紙は、ピアノと似ているところがあります。
ピアノは、何度も練習して曲を覚えていきます。覚えて弾かないうちは、楽譜を見て弾きます。
折り紙も、一度作れたからって、覚えているとは限りません。
特に、ワーキングメモリーの低いお子さんは、一つ折るごとに確認作業をします。
でも、ピアノも、折り紙も、最終的にはできるようになるんです。
問題は、「経験値」なんです。
一部の生徒さんは、生まれながらに覚える時間が短くて、定着に至らない
場合もありますが、
自分の好きな方法を見つけて作品を作ってくれました。
11月に入って、リースの数が減っていきます。
みんな、壁面から取り、記念写真を撮ってお家へ持って帰ります。
イーブイやミッフィー、プーさんもいるんですよね!可愛いです。
ちなみに、今年は「ほうき」も私が作りました。
これがとても人気で、来年はこれも作ってもらえるかな?と企んでいます。
発達障がいのお子さんの中には、「イマジネーションの欠如」と言って、
ものを形にすること、絵に書くこと、表現することが苦手な方が多数あります。
「空は青でしょ?土は茶色でしょ?」「せんせいのピンクの空はおかしいんじゃない?」
なんて話題もあります。
車が大好き、でも「かけない」・・・
人懐っこい、だけど、「人は書かない」「顔をかけない」「そもそも顔が苦手」
この10年、出会ってきた子の中には、教室にある「目」のついたイラストを破って歩いた子もいました。(小学校を卒業する頃には「目」も怖くなくなりました)
できないことをできないままにしておくのは、今の学校教育の中では、すごく難しいことです。
「みんなでやろう」「できたら嬉しいよね?」
でも、子どもたちには「発達段階」があります。
同じ年に生まれたからといって、同じことをさせられたら「困る」子もいるわけです。
なので、リースに貼り付ける、もOK!だし、ハロウィンぽさ、なんてのも要求しません。
ただ、私がしたいのは、「環境を用意してあげること」のみです。
後々子どもたちは教室からも巣立って、大人になっていきます。
その時に、自分でやりたいこと、やりたくないこと、
できることできないことの意思表示ができる人になってほしいのです。
できない時に「手伝って!」という練習も、大切です。
11月4日現在、まだ、リースが完成していない子が3名おります。
自分の思う作品に仕上げたい、という強い気持ちを持ってのことなので、
最後まで付き合おうと思っています。
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