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愛し合った時間も全部上書きして消してしまうのかいback numberの心臓を撃たれた失恋ソング

back numberがメジャーデビュー前に出したファーストアルバム逃した魚。収録曲KNOCKについて、清水依与吏がセルフライナーノーツでこんなエピソードを明かしている。
「この曲の入ったデモCDをバイト先に止めてあった元彼女の車の上に置いて来たというストーキングエピソードは、清水依与吏の器の小ささを物語るには欠かせないものになってます。」

最高だよ。関係者以外で聴けたのはその彼女1人だけの幻の音源。
元彼女様へ。あなたが逃した魚は、今やドームツアーを成功させるビッグなバンドになりました。
私も彼の行動に近いことを、元恋人にやったことがある。これについてはそのうちnoteに書きます。

この季節になると、back numberの春の失恋ソングを聴きたくなる。私が元恋人と別れたのは冬の終わりで、雪が溶けて桜が咲いてもまだ引きずってた。そんなことを思い出させる彼らの曲のことを3つ書きました。うち2つは初期の曲。下積み時代の3人を「間違いなく話題になること必至!」とオススメしたHMVの方々、見る目ありすぎる。

はなびら

メジャーデビュー曲のファーストシングル。
逃した魚から2年後の2011年リリースでもう12年経ってる。ざらついた映像に時間の流れを感じる。コメント欄に「信じられるかよこのクオリティがデビュー曲なんだぜ」とある。はい信じられません。

この曲はベストアルバムを引っ提げた全国ツアーで一番最初の曲だった。そして私にとって初めて生で聴いたback numberの曲となった。デビュー曲から始まったあのセトリ、最高にエモかったな。同じ年の10月に初めての彼氏ができて、翌年3月に別れた。この曲の一節に激しくうなずいた。

歩道橋の上にも横断歩道の向こうにも
駐車場の緑のフェンスの前にも
いたる所で君の思い出が笑ってて
ずいぶん住みにくい街になったな

もうほんとそれ。終わった後は嫌でも思い出す。何気なく通った道でもあそこであんな話ししながら歩いたなとか、車でこの道路を走ったらあの人の家に行けるなとか。

5年前に別れた元恋人とは互いの実家の距離が近かった。相手は私の実家からバス一本で行ける最寄り駅から徒歩圏内に住んでいた。市内の中心部、互いにとって近所といえる場所がデートの定番コースだった。
別れた瞬間から、どこに行こうにも元恋人の顔がつきまとう日々が始まった。フラレた次の日に気分転換に街に行った。道中で何度も思い出に心がえぐられた。時々デート帰りに一緒に乗って送ってもらったバス、バスターミナルで話しながら待った時間、地下鉄駅のホームで並んで歩いたこと。当たり前に利用していた交通手段や最寄り駅でさえうざったい空間に変えてしまうのが失恋なのか。付き合っていた頃は昔から慣れ親しんだ場所に出かけるたびに「なんとも思わなかった場所も、あなたと一緒にいるだけでこんなに楽しいんだね」なんて言い合っていたのに。近くに住む相手と恋愛すると終わったあとの副作用も大きかった。もうどこにも出かけたくなくなったし引きこもりたかった。

「君ともう一回出会ってもう一回恋したいんだって」って、去る者を追いたくなってしまう状態が別れてから4ヶ月くらい続いていた。当時の自分には私を捨てる男なんてこっちから願い下げにしてやれと言いたい。だけど、フラレた側にとってこの恋は終わるべくして終わったと気づくのはこの世で一番難しい。嫌いとあの頃に戻りたいの行き来を何度も繰り返して、のたうち回って、ある日突然あんなに好きだった自分が馬鹿らしくなる。そんなもんだ。自分を客観視するのには時間が必要。過去の自分は他人です。

まあこんなことつらつらと書きましたけど、
最終的には全部時間が解決してくれます。
だって今、その時と同じ最寄り駅の所で一人暮らししているので。
あのときはあの街で暮らすなんて絶対できないと思ってたけど、暮らすのにはとっても便利なところなので。それに風の噂で元恋人は就職と同時に北海道から出たとも聞いたので、ばったり会う可能性も低い。
でも実は2年ほど前に会った。実家暮らしだった頃、私は仕事帰りにバスを待っている最中だった。向こうはスーツ姿で歩いていた。別れてから連絡を取ることもなくなったので、今どうしてるかは知らない。互いを無言で3秒ほど見つめ合った。それでも話すわけでは無いから平気、そう思えるようになるまでは回復している。

あの頃苦しんでいた自分には、こうも伝えたい。「それでもいつか歩きだしてまた誰かを好きになるから」避けたくて仕方なかった駅、道、街も、5年経った今は今年で付き合って2年になる現在の恋人と歩く日々を送っている。なんだかんだで今は幸せです。
失恋ソングの話らしからぬオチになりましたが
次からはまたグサグサと来たって話になります。


春を歌にして

逃した魚収録曲。初期のback numberを全力で売り出してくれたHMVの担当者も「とにかくこれを聴いてほしい」と大推薦している。
どこまでも切なく女々しい歌を書くという彼らの根っこの部分は今に至るまでずっと変わっていない。

さよなら二人で言い合って
それで一体何が終わったの?
この想いと伝えたい言葉が
行き場を失くしただけでしょう

別れを告げた側はさよならと言えばそれで終わりだけど、告げられた側は取り乱して言葉もまとまらないまま強制的に関係を切られる。振った側が歩き始めている頃に、こっちはあの時言い返してやればよかった、責めてやればよかったってそちらの何倍の時間も苦しむんだよ。
分かってる?分からないか。失恋の痛みと向き合うのはさよならしてからが始まりって。フラレた側にしか分からない苦しみだよね。
一緒にいても幸せになれないと分かって、でも別れはものすごく辛くてお互い葛藤して泣きながら終わらせる恋愛もある。それは平等に痛み分けができてるってことだと思う。私は振った相手が割と平然としていて、自分は1年近く立ち直れなかった。別れたあとの痛みの量までこんなにも違うのが、最後まで不条理だった。

強くなれたってその姿を見せたいのは
まだあなただから

フラレたことがある人なら誰でも経験がある、あなたと付き合ってた頃から成長した私を見てください状態。私もしっかりなってました。

別れたら友達みたいな関係になるのは100%できないと分かってからは、そんな気持ちは消えたけど。だってさ、たくさんの思い出があって恋人にならないとわからなかった側面をたくさん知ったからこそ、それを全部置いてきて付き合う前の状態に戻るなんてできない。友達に戻ろうにも恋人の頃しかできなかったことが邪魔をする。一度甘い言葉を交わしあって、今となってはその気持ちはありません、もうやっていけませんと断言された相手とまた顔を合わせて世間話なんて拷問だよ。
2歳上の元恋人から別れ話をされた時も「先輩後輩の関係に戻りたい」と言われた。無理でした。こっちは1年苦しんでたんだから。
別れるならきれいさっぱり絶縁して、一切かかわらないようにしないと完全に立ち直れない。そういうタイプの人間です。


サイレン

はい、出た。
痛いところを突かれた一番キツイ曲。
売れてから発表されたアルバム曲。
こういうギターの音が前面に出たアップテンポなback numberの曲、すごい好き。同じアルバムのミラーボールとシンデレラとか、エメラルドとか。
別れた直後のパニック、絶望をロックに歌い上げている。人気バンドとなった彼らは歌詞で人の心を突き刺す力がパワーアップした。

君もいつかまた恋をして
その肩にキスをされて
その口で笑いかけて
その耳で愛の言葉を
その胸はその体は
ここにあった愛しい愛しい心は

自分を振った人間が他の相手と一緒になるところを想像すると地獄。心が死ぬ。
しかも私は「他に好きな人ができた。その人と付き合いたいと思っている」と浮気していることを打ち明けられた。4日後にその女に乗り換えられて別れた。
そりゃ平然としてるわな。そっちは幸せなんだから。こんな捨てられ方して先輩後輩に戻るとか余計無理だわ。浮気しといて私とも仲いい関係でいたいなんて都合良すぎ。そして私もそんな男をフラレてからも追っかけようとしてたのバカすぎ。

こんな別れ方をされると容易に想像できる。元恋人が浮気相手に「その口で笑いかけて」「その肩にキスをされて」るところを。
吐き気がした。別れて2日か3日で実家のテレビで1人でこのMVを見て、トイレに行って咳込んだ。
日が浅いときにこんな曲聴くもんじゃなかったと思ったけど、音楽で人をここまでの精神状態にさせるback numberはすごい。
サビの歌詞に「愛し合った時間も全部上書きして消してしまうのかい」とあるけど、元恋人はまさに私と別れてすぐに新しい女で上書きしたのだった。全身を機関銃で撃たれたような苦しみは今でも忘れない。
もう一度言う。この曲は本当にキツイ。


清水依与吏は高校時代に当時の彼女をバンドマンに取られたことで自身もバンドを始めた。
back numberという名前も振られた自分は彼女にとって型遅れの存在だからという意味で名付けた。最高にロックじゃないか。
私がnoteを始めたきっかけの一つが、元恋人と別れたときに言えなかったことを言葉にするため。
悲しみや怒りを原動力にしているところは依与吏氏と同じかも。だからback numberには一生ついていきたいんだよね。

元彼女様には感謝したい。あなたと依与吏さんの別れがきっかけで最高のバンドが生まれました。
人生をかけて応援すると決めたback number。
これからも美しいメロディーと傷口に塩を塗る歌詞を愛していきます。

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