シンカリオン、世界を変えてくれ！

＊シンカリオン新章アニメ始まる

『新幹線変形ロボ シンカリオン』といえば、そのタイトルのとおり新幹線が巨大ロボットに変形するというコンセプトのもとに展開されているコンテンツで、鉄道好き～ロボット好きには一粒で二度オイシイ設定とあいまって、安定した人気のシリーズとなっています。

タカラトミーから発売される玩具も、子どもたちの心をガッチリ掴んでいると見受けられ、定番玩具のプラレールとの連携を強みに活かしながら、店頭での存在感を誇っています。

アニメも人気で、最初のシリーズはもとより、新主人公の２作目も好評だったと言えましょう。

　→ 「シンカリオン」公式サイト
　https://www.shinkalion.com/
　→ タカラトミー公式サイト「シンカリオン」ページtop
　https://www.takaratomy.co.jp/products/plarail/shinkalion/

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そして、そんなシンカリオンアニメの最新作『シンカリオン チェンジ ザ ワールド』が2024年４月から放送スタートであることは、過日発表されました。
今回も登場人物は一新され、過去２作よりも年齢高めに設定された主人公たちにより、今までとはまた違ったテイストでの新たな物語が描かれていくことでしょう。

過去２作も丁寧に作られた良質な作品だったので、新作にも期待が高まるところではあります。

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＊プリキュアリティが高かった第１作

『新幹線変形ロボ シンカリオン』アニメシリーズは、ジェンダー観点からもしっかりと「令和クォリティ」だったと評価できます。

第１作では、主人公らとコミュニケーションを重ねることで敵方の立場に疑念を生じた「敵幹部」の「少年」セイリュウが、改心の末に主人公陣営に就き共闘するようになる展開が印象的でしたが、これはプリキュアシリーズが培った作劇パターンでもありました。
その際、セイリュウが改心へ至る契機のひとつとして描かれたのが「いっしょにケーキを食べること」だったのは、なにやら『キラキラ☆プリキュアアラモード』めいていますし、まずもってセイリュウまわりのエピソードは全体として『フレッシュプリキュア！』でやはり当初は敵幹部として登場し後に主人公らとの交流を経てプリキュアの仲間になった登場人物・イースと同じ文法でつくられていたと言えるところが大です
（そもそも「セイリュウ」という名前のモチーフは《青龍》なので方角は［東］、フレッシュプリキュアのイースも［ east ］から来てるので、制作側がかなり意識的に参照していた可能性も妄想できます。他の敵幹部仲間もそれぞれ［朱雀］［玄武］や［ west ］［ south ］を元にした方角に関係した名前になってるのが共通していたりも；）。

このあたりも象徴的ですが、全体として「シンカリオン」の戦いは、プリキュアと同様にケアの倫理に基づくものとして描かれ、女性キャラの要所要所で示す存在感も意義あるものだったでしょう。

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＊しかし世界を変えるのは難しい

さて、そんなシンカリオンのシリーズ新作『シンカリオン チェンジ ザ ワールド』ですが、先日その地上波テレビ放送の時間枠も発表されました。

なんでもテレビ東京系列では毎週日曜日の朝８時30分からとのこと。

そう、日曜、朝の８時半。

……………プリキュアの時間じゃん！

ということで、４月からはプリキュアの裏番組としてシンカリオンが放送されるというわけですね。
ぐぬぬ；
ともにキッズ層を主要ターゲットとしたマーケティングで制作されている番組どうし、もうちょっとなんとかならなかったんですかねー。

どこかモヤモヤします。

プリキュアとシンカリオンなら視聴者層がカブらないから放送枠が同時間帯でもＯＫだろうという判断の奥に、あっちは女の子向け・こっちは男の子向け……みたいな発想が見え隠れするのは、どうしても否めません。

タカラトミーのＰＲ動画ではプラレールが男の子向けであるという通念とは距離が置かれている事例は以前に紹介しました。

　→ おもちゃの男女別に押し寄せる変革の波!?
　［佐倉智美のジェンダーあるある研究ノート］
　https://stream-tomorine3908.blog.ss-blog.jp/2022-08-10_ToyGender

おもちゃの男女別に押し寄せる変革の波!?: 佐倉智美のジェンダーあるある研究ノート

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であればこそ今般においても、プリキュアもシンカリオンも両方を楽しみにしている子どもたちの便宜を、もう少し考慮してほしかったなぁ～、という気がするのも必然。
［女の子向け／男の子向け］なんていう因習を壊していくことが、まさに世界を変える取り組みでもあるはずです。
「チェンジ ザ ワールド」と名乗るくらいなんだから、それくらいがんばってヨ!!
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＊テレビ局の大人の事情もわかるけど…

とはいえ、放送枠の選定には、テレビ局側のいろいろな事情があるのも理解できます。
「作品」を作るサイドの意図にかかわらず、「番組」としての位置付けは、世のしきたりに左右されてしまうのも現実。
おそらくは今回の件も、様々な制約をかいくぐった果ての、他にもいろんな番組がある中で、なんとか折り合いをつけた最善の落としどころ。
関係者が苦労して工夫した末の決定なんだろうなとは、想像に難くありません。

そもそもプリキュアの裏番組にテレビ東京系列が何らかのアニメを放送しているのは今に始まったことではないですし、日曜朝の番組表で似たような事例は以前からしょっちゅう見受けられます
（「ガールズ×戦士シリーズ」がプリキュアの真裏ではなく、プリキュアが済んだ直後の仮面ライダーの裏に配置されていたこととか…）。

視聴者側も、今日では録画機器も普及してますし、近年はネット配信で視聴する方策も充実してきました。
観たい番組の放送時間が重なることが、さほどの致命的な障壁ではなくなっているとも言えます。

それでも――。
やはり放送をリアタイ（リアルタイム視聴）するのは、手軽であるとともに、文化として大きいです。
全国の大勢の人達と、同時に同じ体験をする。
SNSで感想を交換する。
しかして、ひとつの「時代」を共有する。
そこには侮れない意味があるはずです。

そう考えると、昨今の地上波テレビの番組編成では、全体的にアニメの放送時間枠は冷遇されすぎと言え、いわば問題の根源はソコでもあるでしょう
（テレビ東京系列は全国あまねくカバーしていないのでシンカリオンの放送自体がない地域もあったりする……ように、そも放送自体がされないモンダイも含めて。 ←地上波放送は東京ＭＸだけで、比較的恵まれているほうな関西でさえネット配信でしか視聴できない深夜アニメとか、珍しくないです）。
アニメは世界に誇る日本のコンテンツなどと持ち上げるなら、もう少し、まぁ昭和の頃のように毎日ゴールデンタイムにとまでは無理でも、あとちょっと改善は望まれるところですね。
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＊シンカリオンはプリキュアとのコラボに備えよ

いずれにせよ、シンカリオンがプリキュアの裏番組になるというのは、女の子向けと男の子向けだから構わないんだというメッセージとして機能してしまいかねない点でも良くないわけですが、他にも懸念があります。

例えば、将来において、プリキュアシリーズとＪＲ各社が何らかのコラボをおこない、その一環として全国にシャイニールミナスやキュアドリーム、キュアミント、キュアウィングのラッピング車輌新幹線が走ることだって、あるやもしれません。
あ゛っあとキュアエトワールも。

……ぃや、ソレ各々変身者の名前が、ひかり、のぞみ、こまち、つばさ、（苗字が）かがやき、ってゆープリオタ新幹線ネタやんｗ

というツッコミももちろんできるのですが、これ、決してありえない話ではないです。
昨年度『ひろがるスカイ！プリキュア』がその名のとおり「空のプリキュア」でもあったことから、航空会社の［ピーチ］とのコラボが実現し、実際にプリキュアラッピング機「ひろがるスカイ！プリキュアジェット」の就航がありました。
航空機でおこなわれた前例のあることが新幹線では絶対ないと、どうして断言できましょう。

したがって、いつの日か新幹線がプリキュアとコラボすることになれば、ソレ経由でシンカリオンアニメでプリキュアコラボ回をやることにもなるでしょう。
『エヴァンゲリオン』で同様のことがおこなわれた実績はすでにあります
（あと「ハローキティ」回も）。
そのときに備える意味でも、かつて裏番組だったためにコラボ時に気まずいなんてことには、ならないようにしておくにこしたことはありません。

てゆーか、シンカリオンアニメのプリキュアコラボ回、見たいです！
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＊［女の子向け／男の子向け］の因習をこえて

プリキュアシリーズはプリキュアシリーズで、20周年を過ぎて年々歳々進化の途をたどっています。

同じ日曜朝の仮面ライダーや戦隊シリーズもまた然り。

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願わくは、各作品群がそれぞれの個性を競いながら、しかし、女の子向け、男の子向けなんてことは考えなくていい、そういう世界になっていってほしいものです。

シンカリオンとプリキュア、両方を視聴したい子どもたちが増えていくならば、それは、そこへ近づくための重要な橋頭堡になってくれるのではないでしょうか。

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