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また会おう

なぜ今夜きみにこの電話をしているのか
正直わからない 
寂しさからか 希望からか
わがままからか
ただ何かを見つけたいからか

愛していると誰かに告げる時に
罪の意識を感じる
誰かに感謝されても
心の中で何かが麻痺している 
本当にお互いのことを気にかけているのか
まだ疑っている

助けを待っているだけで泣いている
人間ではいたくない 
でも自分がそうだということを知っている
助ける手でありたくても
自分を信じられないでいる

どうか許してほしい

僕は何かきみに対して
最初から自分勝手だったような気がする 
でもまだきみがそこにいてくれることに
感謝したい
何故今夜こんなことをきみに言っているのか 自分でもわからないけど 

僕は何を言おうとしているんだろうか 
「見つけて」と囁く声があちこちから
聞こえてくる 
自分はただそこにいて聞こえないふりを
しているみたいだ

自分にできることなんてない 
彼らと自分は同じなんだから 
昔は違ったかもしれないけど 
今はもうそうなんだ わかってる 
無駄になった才能の生きた見本みたいに
ただ日々を生きている

僕はきみの先生なんかじゃない
ましてやきみの親友なんかでもない
僕はきみと同じぐらい壊れていて
きみと同じぐらい人生に失望している

それでも誰かが癒されて立ち上がる時 
希望に満ちた目で生きる目的を
見つけたと言う時
耐えるように自分が生きていることには
理由があると微笑む時に 
人の人生の小さな一部でいられることに
感謝と幸せを感じる
不信とあきらめの中にある自分でも 
まだ助ける手であれるなら

これが自分が贈れる最後の言葉かもしれない 
きみが僕に触れられる最後の命かもしれない 
最後の愛の言葉を贈るために
だから自分はまだ立ち上がろうと思う

あちこちからリボルバーが回る音が聞こえる
麻薬という名の拳銃 
悪意という名の拳銃 
虐待という名の拳銃
鬱という名の拳銃 
差別という名の拳銃 
貧困という名の拳銃

命を奪うために 希望を撃ち壊すために 
次は誰が犠牲になるんだろうか 
不安な人達の顔が見える

誰かに約束された未来があると言う時
自分が取り残されているような感じがする
壊れた夢と守られなかった約束

それでもまだきみにさよならを告げたくない
今まで別れの言葉ばかり言ってきたから
それでもきみを置き去りにできない
生きて光を見つけてほしいから 

理不尽に夢を壊されたのは僕だけじゃない
不公正に人生を踏みにじられているのは
きみだけじゃない

不正を暴いた者が投獄され拷問を受ける
そして不正を働いた者達は誰にも裁かれない
書き換えられた歴史に消される真実
この世界はそんな話ばかりなんだ 
それはこれからも続いてしまう

僕らの痛みは世界とつながっているんだ
僕もきみも 
その大きな存在感の中で一つなんだ
きみの痛みをここからでも感じる
とても遠いここからでもきみの笑顔が見える

結局、僕らはそんなに遠く分かたれている
わけじゃない

もう泣き顔も血を流す腕もたくさんだ
僕が愛していると言ったら、
きみは信じてくれるかい?
僕が自分を信じられないと言ったら、
きみは許してくれるかい?

痛みを止めるために僕達は
平和の使者になる準備ができているか? 
今夜、僕のために祈ってくれるかい?
きみと同じぐらい恐れを抱えている
僕のために

僕は孤独だ でも独りじゃない 
きみも孤独だ でも独りじゃない

まだ僕はきみの名前を知らない
きみはまだ僕に出会っていない
でも、大いなる存在感の中で僕らは
みんなつながっている

お互い出会えるかすらわからないけど
僕は行くよ

きみは来てくれるかい?

待ってるよ

また会おう

  

   

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