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ともみの部屋 #2

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伊佐知美の、世界一周の旅とエッセイ。2016年10月〜
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2017年3月の記事一覧

美しい丘、もう一度あなたに会えたなら【スペイン・バルセロナ】

美しい丘、もう一度あなたに会えたなら【スペイン・バルセロナ】

美しい街だな、とただ単純に、素直に思う。3月のおわり、1日のおしまいに近づく20時。

ねぇどこか、美しい場所を。と聞くこともなく、彼は「僕のいちばん好きな場所は」と教えてくれた。

クロアチア・ドゥブロヴニクという、私の心つかんだ、別の街。いつかきっと、なんて美しい時間だったのだろうと、思い返すだろうと考えた、あの日。

■きっといつか、「なんて美しい時間だったんだろう」と思い出す日が来る。|伊

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暮らすこと、時が過ぎることの愛しさと切なさ【スペイン・バルセロナ】

暮らすこと、時が過ぎることの愛しさと切なさ【スペイン・バルセロナ】

朝、ベッドに注ぎ込むまぶしいくらいの光で目を覚ます。少しストライプの入った、真白いそれ。反射する光、今日もうつくしく。

いつもなら、まだ眠っていたいのになぁ……と思いながらもう一度目を閉じる。けれど、春はじまったばかりのスペイン・バルセロナでは、あまりにも日光が私を誘って、やまない。きれいな青空がちらり窓枠からはみ出すから、今朝の空気の手触りは、どんなものでしょうね?と思いながら、カチャ、とノブ

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聖域だった、青と白の物語のような街の中【モロッコ・シャウエン】

聖域だった、青と白の物語のような街の中【モロッコ・シャウエン】

カチャリ、と鍵を開けて、屋上へと続く階段を登っていく。一段、二段、青い階段と手すり、白い壁、またたく星。

ざわり、と透き通る風吹き抜ける。この風はどこからきたんだろう。山の向こう、昨夜珍しく降った雪、冷たく頬染めて。

もしここに海があったなら、私はここへ住んでみよう、と今日決めていたかもしれない。人生に疲れたアラサーの女性よ、すべて一度はここへ来るというルールでもあればよかったのに。

日本を

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混沌と喧騒と迷路、ときおり見える広い空【モロッコ・フェズ】

混沌と喧騒と迷路、ときおり見える広い空【モロッコ・フェズ】

その日の朝、目が覚めるとリヤドの中庭から、カチャカチャ、という食器の鳴る音がした。ナビルがミントティーを淹れて、オムレツを焼きながら私が階下へ行くのを待っている。彼は私がすこし疲れているのを、言葉が通じないのになんだか分かっていてくれる気がした。

初めてモロッコで目を覚ましたあの日、私はアザーンというお祈りの声を、暗がりの中でひとり耳をそばだてて聞くことになる。

モロッコへ来て1週間ほどが経つ

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心持ちひとつで、曇り空さくらに変わり。

心持ちひとつで、曇り空さくらに変わり。

今となっては、「東京は晴れていたのかどうか」それすら思い出せなかった。「傘は持って出なかったから、雨は降っていなかったはず」。

けれど空が晴れ渡っていたのかどうかとか、それとも真っ白でグレーな曇り空だったのかとか、隣に座っていた人が笑っていたのかどうか、とか。

なんだかそういった、些細な出来事。けれど普通に毎日を営んでいれば目にするような、通常であれば多少なり記憶に残していると思われるような。

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