まずはコレ!親の終活より自分の終活:ミニマリストの娘ともったいないが口癖の母との終活日記(第5話)
みなさんこんにちは。終活日記をお読みいただきありがとうございます。
本日のお話は、親と子の、終活のタイミングについてです。中年おひとりさま女子としては、先に逝ってしまう親に、早めに終活をしてもらいたいのが本音ですが・・・そうは問屋が卸さない。
突然、「ねえねえ、うちには相続するお金あるの?」とか「死んだらどうする?」なんて、親には軽く聞けませんよね。お金の話をしようものなら、「この娘、親のお金を狙ってる?」なんて疑われてしまうのです。親子で終活に取り組む場合、早すぎてもタイミングが悪いですし、グズグズしていると親の希望が聞けずに困ることも。そう、タイミングが難しいのです。目安としては親が70歳を迎えたらそろそろかな~と思います。
我が家の場合は、家の片づけ →(ちょっと信頼関係)→ 健康管理 → お金の話 →(信頼関係追加)→ 葬儀・お墓 → 介護 →(信頼関係アップ)→ 延命・死後処理の順番といった具合に、ゆっくりと時間をかけて話し合いました。「話し合い」と言っても大げさなものではなく、実家に帰省したときを見計らって、親の希望、娘の希望を伝えあったという感じです。
セミナーに参加される40代、50代くらいの方々から、親の終活について相談されることが多くなりました。「親が片づけてくれない」「親の貯蓄額をどうやったら教えてもらえるか」「認知症の恐れがあるから早く引き継ぎたい」など、様々な悩みを抱えています。しかし、子供が焦って親を追いつめても、親子の終活はうまくいきません。互いの信頼関係をこじらせることにもつながります。終活はけっこう大変です。
例えば、エンディングノートを親に渡して「これちゃんと書いておいてよ」と言っても書いてくれません。「書いてくれないから、親が全然考えてくれない」と怒るのも間違いです。市販されているエンディングノートを使って、終活記録を書いたことがありますか? 大変ですよ。本当に大変です。面倒です。挫折します。調べるのも書くのも大変。自分で書いてみて、その大変さが分かると、親に押しつけるのもかわいそうだと気づきます。(でもあると非常に便利です)
「親が協力してくれない」、こんな相談を受けると、私はこう答えます。「親の終活の前に、みなさん自分の終活をしてください」「実家を片づける前に、自分の家を片づけてください」と。自分が経験する前に親にやらせるのは酷な話なのです。親の方が先に死んでしまうとしてもね。
私はミニマリストの生活が、自然に終活へとつながり(前章参照)、それを見ていた母が、自然と片づけをするようになりました。私も中年女子です。万が一の時には、病気や事故で親よりも先に死んでしまうこともあるのです。そうなったときに「私に何かあったら、マンションの解約は、この不動産屋さんに連絡してね。銀行はこの3つ。口座は・・・」と母に少しずつ説明しました。
母も「娘が先に死ぬかも」という可能性があることは理解しています。「そんなはずはない」と、聞く耳持たずではありません。冷静に「わかった」と返事をしています。娘の終活を先に受け継いだ親なのです。順番は逆ですが、終活の方法はしっかりと伝わりました。
ふふふ、これが作戦だとは知らず。
相談してくる皆さんに、私の実体験をお話すると、「なるほど」と納得してくれます。「実際に自分でやってみないと苦労もわからないし、共有もできないしね」と、理解していただけます。「やれ、やれ」ではダメなのです。急に終活は始められないし、終わりもしません。そうなると親が70歳を越えたあたりから始め、5年くらいかけてゆっくり準備していく。その5年くらいが一緒に話をする貴重な家族のコミュニケーションの時間にもなるのです。となると、自分の終活は、40代~50代で始めることになります。早すぎて悪いことはありません。時間をかけて、念入りに準備していきましょう。
お正月の準備をしながら、「この家も次は介護リフォームだね。できるだけ家にいたいでしょ?施設とか入りたいと思ってる?」なんて会話につなげてみたり、転んだ母親の通院に付き添いながら、「万が一病気や事故の時に使えるお金どれくらいあるの?」と聞いてみたり。
親がちょっと弱気になったときはチャンスです。自分ひとりではしんどいな~なんて思うと、子供を頼りたくなるものです。しかし、その子供が家に寄り付かない、来るとお金をせびる、病気の心配よりお金の心配。親のお金で借金返済を考えている、などという状況だと、親もまだまだ信頼できない・・・となってしまうので、親に信頼してもらえる子供にもならなければなりません。
セミナーではいい歳をした中年の皆様に「みなさんはいい子ですか?」という質問をします。“キョトン”という顔をされますが、親の信頼を勝ち取るいい子になるために!という話をすると、みなさん頑張っていい子になろうとするのです。これも親子の大事なコミュニケーション努力です
親子終活は「一緒にやろう」と手をつないでルンルン気分ではできないものです。できれば、子供が中心になり、親がそれに従っていくことが理想的です。強制や子供の言いなりにならないためにも、それぞれの終活方法を大事にして、話し合った方法が「それいいね!」と互いに理解しあえたときに、やっと一歩進むことができるのです。
寄り添う終活を目指して、一緒に頑張っていきましょう。
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