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三菱商事を辞めてまで海外留学に至った経緯を振り返ってみた(前編)

普段はブログなど書くタイプの人間ではないですが、今回三菱商事を退職→海外留学するという決断に至ったこともあり、

恐らく今自分は後の人生においても振り返りたくなる節目にいるとふと思い、未来の自分に向けて言葉に残すことにしました。

私の思考内容・記憶を整理し、文字に落とし込むことに特化しているブログですので、暇つぶしのついでに読んでやって貰えると嬉しいです。


1. はじめに

2012年に三菱商事に入社後、船舶(営業)・自動車(関連会社管理、戦略企画)の事業をそれぞれ担当しましたが、今年の7月1日をもって退職し、

同年9月より米国コロンビア大学のスポーツ経営修士過程に進学、スポーツビジネス全般と学生スポーツを研究することになりました。

私自身、大学は体育会ラクロス部に所属しながらもスポーツビジネスは全くの門外漢ですが、

それにも関わらず、三菱商事でのキャリアを捨ててまで海外への私費留学を行うといった少し変わったキャリアチェンジをしました。

この決断に至るまでに、自分自身を見つめ直す機会が多く、個人が描くキャリアについて色々考えさせられたこともあり、その中での考えの背景や気付きなどを記したいと思います。

2. 自分にとっての三菱商事

そもそも私にとっての三菱商事という会社は、「就職人気企業ランキング」「合コンしたい企業ランキング」等で上位に入り、誰もがうらやむ優良企業…

というものではなく、幼い頃からの「憧れ」であり、簡単に退職できるような企業ではありません。

幼少期に海外旅行先で出会った三菱商事の方が海外で活躍されている姿を目の当たりにし、田舎育ちの私にとって漠然とですが

「自分もいつかこの人のように海外で活躍できる人間になりたい」と、三菱商事を目指したことを今でも覚えています。

それ以降、私の人生の原動力は「三菱商事に入る」であり(本当かよと思われると思いますが)、親には本当に苦労と負担を掛けましたが、

地元を離れた高校の受験だったり、高校での豪州留学(1年留学後、留年)、大学での部活動等、自分が今まで頑張ってこれたのも、この目標のお陰と言っても過言ではありません。

だからこそ、入社が決まった時の喜びは人生で一二を争うほど嬉しかったですし、(退職する身ながらも)恐らくどの社員よりも三菱商事愛に溢れた人間であると断言できます。

<初海外出張@上海>

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3. 仕事のモヤモヤによる考え方の変化

そんな会社を辞めるのだから、嫌なことやストレスといったネガティブなことがあったのか?と聞かれがちですが、

結論からいえば「三菱商事で働き続けることは、自分の幸せにおいて最良の選択肢なのか?」という問いにぶつかったことに起因します。

入社当初は仕事に付いて行くので精一杯だったり、新たな東京での生活に慣れる必要があったり、せっかく三菱商事に入ったのだからネットワークを広げることに精を出したり等で、

常に全力疾走しており、気が付けばあっという間に入社から4~5年が経過していました。

しかし、三菱商事で働いているだけで自分は幸せのはずなのに、大きな部署の異動があったということもありますが、仕事に少々違和感を覚え始め、しばらくモヤモヤする期間が生じました。

なぜこのような違和感を覚えるのかが最初は不思議でなりませんでしたが、結局モヤモヤの原因が分からなかったこともあり、

ひょんなことで部署の先輩に相談したところ、以下ブログを教えて貰い、なんとなく「自分の幸せ」について考えるようになりました。

そもそも自分は三菱商事にいて、海外で活躍して…という人生の目的の最中にいる為、「まさに今が自分の幸せではないか!」と最初は思っていましたが、

考えを深めていくにつれ、実はそれは違うのではないか?と感じ始めました。

恐らく私が抱えていたそのモヤモヤの正体は、

本来自分の幸せと信じていた「三菱商事にいる」ことは実は本当の幸せではなく、本当の意味で幸せを感じながら働いていなかったのでは?ということです。

4. 自分にとって働く上での幸せとは何か?

自分の働く上で幸せってなんだろう?

そんなこと真面目に考えたこともないし、分かったところで、働くということには本音と建前があるから、幸せなんて見つけたところで何の意味もなさない…と思っていましたが、これが意外とブレークスルーでした

とりあえず、自分の幸せというくらいだから、自分ってどういうものに喜びとかやりがいを感じているのかという本質的な価値観を見つめ直す必要があると思い、

世間体や虚栄心等の全てのノイズを取り除き、働く上での本当にピュアな幸せとは何かを追求してみました。


そうすると、どうやら自分は「仕事を通じた他者への貢献」という点に重きを置き、それに向けて「自らを磨き続けること」に喜びを感じる人間であるということが分かったような気がしました。

就活時に三菱商事の社訓である「三綱領(所期奉公、処事光明、立業貿易)」の所期奉公という考え方に魅力を感じ、

この会社だったら世界中の多くの人々に何かしらの貢献ができるかもしれないという点に魅力を感じていたように、

確かに私は興味・関心を持った対象への貢献のためには人十倍の執着心とのめり込みを発揮し、そのための努力はいとわないタイプでした。

私の場合は上述の通りですが、恐らく誰しもがこういった本質的な価値観のようなものがあるはずで、簡単に言ってしまうと、それに沿う働き方ができれば、幸せな働き方ができるのではないでしょうか。

そういえば、「7つの習慣」(スティーブン・R・コヴィ著)でも以下のようなフレーズがありました。

目的を持って始める最も簡単で大きな効果をもたらす方法のひとつは、ミッション・ステートメントを書くことである。そのなかで自分はどうなりたいのか、何をしたいのか、そして、自分の行動の基礎となる価値観や原則を明らかにするのだ

人間には価値観、つまり人生を豊かにする方角を示した羅針盤を持ち、その方角を信じて突き進んで行くことが必要であると痛感しました。

5. なぜ本質的な価値観に従えないのか?

そんな綺麗事言ってんじゃないよ、と思われると思いますが、

つまるところ、内心本質に従うことの良さを理解していたとしても、建前に基づき仕事選びがされてしまうパターンが結構多いのではないかと考えています。

建前と言っても種類は様々ですが、家族、世間からの評価、見栄…と挙げればキリがないですが、

「純粋にやりたい仕事は◯◯だけど、あれは周りからの評判が余り良くないからな…」

なんて場面によく遭遇しますが、本音と建前が天秤にかけられると、なぜか建前が強くなる傾向があります

一般的な就職観について明るい訳ではないですが、これってどこか自分を消して、存在しているようでしていない周囲からの期待の中で生きてしまっているのではないでしょうか?


かくいう私も退職を決断するまで「世間における良い企業に入り、安定的な生活を送り、会社を勤め上げる」といった、

そうすることにより世間の誰かから褒められる?という、冷静に考えたらよく分からない就職観を持っており、自分の幸せを最優先とした職の選び方は一切考えもしませんでした。

だからこそ、本音を無視した仕事選びをした結果、後になって本音と建前のギャップに気づいたことにより、私は苦しんだのではないかと思っており、

もし今回のように何もアクションを起こさず、そのままモヤモヤを抱えたまま生きていれば、先述のブログのように、

「こんなはずじゃなかった人生」がやってきて、場末のバーで酒を片手に「現実なんてそんなもんさ」といいながら、氷がグラスに当たってカランという音がしますよ、になってしまう可能性は大いにあったと思います。

また本からの引用ですが、「アルケミスト」(パウロ・コエーリョ著)でも以下のようなパートがありました。

王様は少年に、羊飼いになった動機を聞いた。少年は”旅をしたいからだ”と答えた。
王様はパン屋を指差して言った。
”あのパン屋の店主も子供の頃は旅をしたがった。しかしパン屋の方が羊飼いより立派な仕事だと思った。あの男は年をとったら旅をするつもりだが、自分の夢見ていることをいつでも実行できることに気づいていない。結局人は自分の運命より、他人が羊飼いやパン屋をどう思うかという方が、もっと大切になってしまうのだ”と。

誰も自分の人生に責任を取ってくれないことなんて、小学生でも分かることなのに、

なぜか自分はどう他人から見えているか気にしており、世間が勝手に作り上げた「〜べき」にいつの間にか沿ってしまっている…

こんな具合ではないでしょうか?(日本独自の高度成長期の新卒一括採用の名残かもしれませんね)


このブログを書いていて、ふと勝手にイメージが湧いたのですが、人間の価値観ってお米みたいだなぁと思いました。

何言ってるか意味不明だと思いますが、普段我々が食す白米(胚乳)って、下図のように玄米(果皮、胚芽等)の中に包含されてますよね?

白米=本質的な価値観(本音)だとすると、玄米=本質的な価値を包み隠す様々な欲、見栄、世間体でのあるべき自分の姿、周囲からの期待等(建前)だったりするのかなと。

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本当は本音をさらけ出したいけど、何層にも重なる建前に覆われることにより、気付かぬうちに妥協が生じてしまう…

「白米が美味いのは周知の事実だけど、玄米も食べてみると意外と美味いんだよ。ご飯という意味では変わらないから玄米でも良いじゃない。」という感じでしょうか。

6. 自分の人生は自分でコントロールする

人の価値観はそれぞれです。働くことが全てではないですし、一人ひとりが大切にしている価値観をお持ちであると思います。

ただ、生活できるだけの不労所得がある方以外は、人は働いてお金を稼ぎ、生活をしなければなりませんし(日本国憲法にも勤労の義務もありますし)、

更に、特に人生100年時代ともいわれ、長きに渡る人生を自らがリーダーシップをとりデザインしていかなければならない時代の真っ只中に我々はいるからこそ、

自分の幸せを満たす仕事と共に生きていくことが、このVUCAな世の中を生き抜いていく上で重要なことではないかと思いました。

<東洋経済:平均寿命の推移と将来推計>

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質問ですが、「明日からなんでもやりたい仕事やっても良いよ」と選択肢を与えられたら、皆さんはどのような回答をされるでしょうか?

今のお仕事であれば良いですが、もしそうでなければ、それができない要因は何でしょうか?

もちろん綺麗事ばかり言える世の中ではないことは重々承知していますが、

裏を返せば、なぜ綺麗事が言えないのでしょうか?


身内の話で恐縮ですが、今回自分の働き方を考え直す上で、心の底から好きなことを仕事にする妻の影響を多分に受けました。

妻は大学でポルトガル語を勉強し、いずれは語学を活かした職に就くことを考えていたそうですが、

留学先のブラジルの大学で、歳を食っていようが純粋に自分がやりたいことを仕事にするため一生懸命勉強しているクラスメートを見て、自分も好きなことを仕事にしていいんだと感銘を受け、

卒業後は昔から好きだったカメラを勉強しに専門学校に入り直し、今はフォトグラファーとして仕事をしています。

もちろん好きなことを仕事にする大変さもありますが、そんなイキイキと働く妻の姿を見て、

自分はなぜ好きなことに背いてまで働いているのか?と考え直すキッカケになりました。


恐らく今回の一連の経緯の中で、私のターニングポイントは、

自分の人生において自ら舵を切り始めたこと

そうするために、あらゆるノイズを振り払い「好きなことを仕事にしていい」と決断できたということだと思います。

それが価値観に正直に生きることであり、

先程のお米の話に繋がりますが、どれだけ白米に近い米が食べられるかが食事の充実度(=人生の幸福度)を左右するのだと思いました。

※ちなみに、私は毎日玄米を食べており「玄米」も美味しいですし、栄養価があり人間が生きる上で重要です!笑

だからこそ、少々ロジックがすっ飛んでますが「旨いメシが食いたきゃ(=幸せになりたきゃ)コアまで磨き続けろ!」ってことになりませんかね?笑

つまりは、周囲からの期待に基づく仕事選び=アウトサイドイン、ではなく、自身の価値観から滲み出た仕事選び=インサイドアウト、のアプローチということになります。

<ルフィも周囲から馬鹿にされながらも、海賊王になるという軸は決してブレません>

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私の場合、三菱商事は入社難易度が高く、就労条件が良く、社会的信用度も高く、親も喜んでくれる等、

三菱商事で働くということは、一度手にしたら手放したくないものだらけで、これが逆に目をくらませ、本質的な部分から目を背けさせてしまっていたのではないかと思います(それ程、魅力的な会社ということでもありますが)。

ただ、面白いことに、一度本質側に立てると、自分が今まで大事と思っていた建前(例えば、社会的ステータス、高待遇等)は、それ以降どうでも良く感じてしまいました。これには正直驚きでした。

7. 定期的なメンテナンスの必要性

繰り返しになりますが、私にとって三菱商事は簡単に辞められる会社ではなく、三菱商事を選んだことを後悔しているわけでは決してありません。

これだけは断言できますが、三菱商事への就職を決めた時点ではそれが私にとって最良の選択でしたし、ファーストキャリアが三菱商事で本当に良かったと痛感しています。

ただ、人生のステージ、身を置く環境、時間の経過等により人の考え方は変わるわけで、価値観の定期的な見直しは必要だと思います

先程の「7つの習慣」でも、個人のミッションステートメントの定期的な見直しの必要性を説いています。

日々仕事に向き合っている皆さんの中でも、今は問題なくとも、どこかで私が抱いたようなモヤモヤを抱えることになるか分からず、

それは恐らく価値観が変わってきている兆候ではないかと思います。

その場合、もし時間が許すのであれば、一度どこかで立ち止まり、キャリアや価値観を見直してみてはいかがでしょうか?

面倒だと思いますが、文字に起こして視覚化してみると、意外と気付きが沢山ありますし、

やり方が分からなければ、ご自身の職務履歴書のようなものを作ってみてもよいかもしれません。

8. 最後に

何分初投稿ともあり、熱がこもりすぎて、読みにくい内容となっていればご容赦ください。

しかしながら、ここまでお読み頂いた皆さん、本当に有難うございました!

上述の通り、本質的な価値観を洗い出し、それに正直に従えるかが働く上での幸せを掴むカギとツラツラ書きましたが、

そうすると、おのずと私の場合「じゃあ三菱商事を辞めて何するの?」の部分の説明が抜け落ちているとお思いだと思いますが、

少々長くなってきましたので、後編に続かせて頂きます・・・!

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