中秋の名月に見るニューノーマルの本質
中秋の名月ですね。この投稿では中秋の名月に自分自身が感じた感覚からニューノーマルの本質を紐解いていきたいと思います。
結論:ニューノーマル≠行動変化
ニューノーマルというと、様々な行動制限のなかでの新しい生活様式へ対応することで派生的に生まれる市場、といった概念で捉えられることが多い。
つまり、「行動変化」→「市場変化」といった直接的な関係性に注目するマーケティング活動である。表層的な変化を捉えたニューノーマルと言えるだろう。
しかし、昨今の生活者の気持ちの変化をみると、実は、「行動変化」→「価値観変化」→「市場変化」なのではないかと思う。価値観変化を捉えた、あるいは価値観変化を誘導するニューノーマルだ。これこそが本質的な価値を生み出すニューノーマルなのではないだろうか。
そしてその価値観の変化とは「何気ない日常や季節の移ろいを愛でる新しい価値観」なのではないだろうか。
よってニューノーマルをビジネスで捉えるためには、行動変化に注目するのではなく、価値観変化に注目することが重要ではないかと思う。
生活者マインドのキーワードは日常感・季節感
私たちが運営する不満買取センターで最近、「季節」を感じさせる言葉がトレンドワードとして上がっています。
この傾向は昨年ではあまり確認できない傾向でした。
以下は9月20日までの一週間で増加が目立ったキーワード(弊社の文章解析AI「アイタス」で意見の対象部分だけを抽出しています)です。台風や地震など自然災害に関係するものが目立ったいますが、「おでん」が異彩をはなっています。原文を見ると、「秋になっておでんを食べたくなったけど・・」「季節を感じたくておでんを食べてみたら・・」と【季節と食】が密接に関係していることが背景にあることを感じさせてくれます。
2021年9月13日~9月20日のトレンドワード(不満買取センター)
同様に、その一週間前のトレンドワードには「焼き芋」「芋」「月見」が含まれていました。
季節の移ろいを楽しみたい、その喜びを「食」を通じて実感したい、といった欲求が昨年依然と比較して高くなっているのです。
2021年9月6日~9月12日のトレンドワード(不満買取センター)
実際、Google Trendで「焼き芋」を見てみると下図の通り。見事に検索数でみても増加傾向にあります。
Google Trend「焼き芋」(2021/09/21現在)
同じく、Google Trendでの「月見」でも目立った増加が確認できます。
Google Trend「月見」(2021/09/21現在)
ニューノーマルの本質
つまり、多くの生活者は様々な行動制約を受けるなかで、行動様式が変わっただけでなく、その影響で、「物事の捉え方」「喜びのツボ」、つまり【価値観】が変化したのではないだろうか。
ありきたりではあるが、「何気ない日常の中で」、「ちょっとした変化や季節の移ろいを愛で」、「そこに喜びを感じ」、「これをシェアすることで穏やかな輪を拡げたい」と感じるようになっているのではないか。
SNSをみても、消費の喜び・所有の喜び から 日常の喜び・季節の喜びにシェアされるコンテンツが移っていることも感じます。
自分自身がこれまで、中秋の名月に月を眺める事なんてなかったなあ、と感じながらじんわりと感じたことでした。
丁度、2020年の満足と2021年の満足を比較したときに見えてきた「新しい日常でのほっこり」と共通性があるなあとも思いました(以下、宜しければご覧ください)。
そう考えると、行動変化に市場が対応するのではなく、価値観変化が市場を豊かにする。これがニューノーマルの本質なのかな、と思う中秋の名月でした。
でもこれって、まさに古き良き日本人の感性に近いからニューノーマルといよりはトラディショナルだよな、ニューノーマル=原点回帰なのかなと感じつつ、皆様が穏やかな夜を過ごせることを願っています。
伊藤
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