不満買取センター会員が「満足」したことの”変化” 2022年10月編
こんにちは。Insight Tech CEO 伊藤です。「声が届く世の中を創る」の実現に向けて不満買取センターを運営しています。
このnoteでの連載として「先週の生活者不満」をお届けしています。
この企画は毎週月曜~木曜日に放送されているJ-WAVE TOKYO MORINING RADIOの毎週木曜日のコーナー「データから導く<Better Life>」と連動しております。毎週ナビゲータの別所哲也さんに先週の生活者不満からみえる「Better Life」をお届け頂いています。是非ラジオもお聴きください。
3ヵ月に1度の「満足買取センター」
私たちは「不満はイノベーションの種」だと信じ、生活者の皆さんから「不満」を買い取っています。そのような中で、「満足も買い取ってほしい」というお声をたくさんいただくようになりました。
そのようなお声を踏まえ、以前は「エイプリルフール企画」として4月1日限定で「満足買取センター」を開催していました。
この「満足買取センター」が大変好評であり、且つ生活者の喜びには世の中のトレンドを表す”変化”が表現されていることが分かったため、現在は3カ月に一度の頻度で「満足買取センター」を期間限定で開催しています。
このnoteでは2022年10月に実施した「満足買取センター」に寄せられた声からみた”変化”に注目します。
2022年10月、「満足」の”変化”は?
「満足買取センター」では満足を投稿する際に、「どのような内容(カテゴリ)か」について、22の選択肢から選んでいただいています。その結果を集計したものが下図です。
2022年10月(今回)と2022年7月(前回)での傾向は共通しており、「外食・出前・お弁当」、「コンビニ・小売店・量販店」、「食品」の「満足」が多くなっており、「食」や「お買い物」などの「日常」のなかで感じるちょっとした満足が心に残っていることが分かります。
なお、前回(2022年7月)と比較すると、「宿泊・観光・レジャー」の構成比が上昇しています。新型コロナ感染症の感染者数が以前よりは落ち着いてきている中で9月の連休などもあり、「久しぶりに行楽に出かけられた」という「満足」がこの10月の”変化”の一つと言えそうです。
続いて、「満足の内容」としてテキストで記された内容から「満足」の”変化”を見てみましょう。下表は、「何に対して満足したのか」を示す意見対象部をAI(人工知能)で抽出・ランキング化したものです。
まず、2022年10月(今回)と2022年7月(前回)とで主要な「満足」の対象は変化がなく、「子供」「店員さん」「値段」「味」が日常の中の「4大満足」と言えます。日々の生活の中でのちょっとした関わりが出来事が生活者の心に「満足」をもたらしているようですね。
一方で、2022年にランキングが大幅に上昇した「満足」がいくつかあるようです。
1つは「ポイント」「価格」「コスパ」「量」といった【コストパフォーマンス】あるいは【お得】に関する満足です。
もう1つは「心」。2022年7月時点では40位でしたが、2022年10月時点では13位(33回言及あり)と【心】に言及した満足は大幅に増加しています。
この2つの満足の”変化”に注目し、実際にどのようなことが満足をもたらしたのかを見ていきましょう。
変化①:コスパ重視・ポイ活再注目
2022年10月に増加した【コストパフォーマンス】【お得】への満足。具体的にどのような「満足」が増えたのかを見てみましょう。
最もランクが上昇した「ポイント」に着目してみると、「ポイントが貯まっていた」「ポイントがもらえた」「ポイントが付いた」という具合に、日常の買い物の中でポイントがもらえたことによる「満足」がこの10月に増加したようです。
「値上げラッシュ」が進む中で、コスパ・お得感に対する意識が高まっていることが背景にありそうです。
一方で、買い物や決済でのポイントだけでなく、様々なシーンでポイントが貯まることへの喜びが拡がっています。ペットボトルを回収するとポイントが貯まる、不満を投稿するとポイントが貯まる、といった具合に、「役に立ってなおポイントが貯まる」というサービスやシーンが増えていることも背景にあるのかもしれません。
単にポイントが貯まるだけでなく、自分の行動が社会とどうつながっているかを可視化する手段としての「ポイント」への期待が高まっていると言え、「ポイ活」の更なる可能性を感じさせてくれます。
変化②:「心」の状態と向き合い嬉しさを実感
続いて、2022年10月に増加した【心】に関する満足の言及。具体的にどのような満足だったのかを見てみましょう。
「心があたたまり」「心がスッキリし」「心が満たされて」「心がホッコリ」「心がポカポカし」といった具合に、自身のポジティブな感情を【心】という表現で表す生活者が増えたようです。
読んでいるだけでこちらが「心がホッコリ」する満足ばかりですね。世の中が不確実性が高く将来の不透明感が高まる中で、生活者は余裕がなくなっていることが背景にあるのかもしれません。
そのことが「自分の心の状態に向き合っていたい」という気持ちにつながっており、その結果、「心」という表現で感謝の気持ちを表現することが増えていると考えることもできそうです。
自分の「心」の状態を可視化でき、ポジティブな「心」の変化をもたらしてくれたコトや人に感謝を示すことができるようなサービスがあったら、こんなホッコリがもっと広がっていくのかもしれませんね。
変化③:リアル「推し活」の歓び
もう一つ、「満足の件数は少ないが、満足のレベルが非常に高い」とAIによって判断される「満足」の”変化”がありました。
「ライブ・コンサート」に関わる「満足」です。優先課題図というフレームワークで見ると、意見の数はさほど多くはないが、満足の度合いが非常に高い意見のかたまりとして捉えられます。
コロナ禍で延期や中止が続いてたり、オンライン配信に限定されてきた「ライブ・コンサート」。これがリアルに開催されるようになったことの喜びが拡がったことも10月の「満足」の”変化”と言えそうです。
これまでオンラインで行われてきた「推し活」がリアルにも戻り、多くの喜びや新たな出会い・繋がりをもたらしています。投稿の内容を見ても、リアルでないと実現できないことを改めて実感している様子がうかがえます。
これまでは当たり前だったことを、当たり前にせず、確りと「心」で感じて「満足」すること。これこそが、「満足」のニューノーマルなのかもしれません。
次回の満足買取センターは2022年1月を予定しています。お楽しみに!
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