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【サッカー育成の心理/物理学 Vol.2】サッカー上達のためのフィロソフィー(プレーモデル)

この連載ではサッカー経験がない親御さんが自身のお子さんのサッカーへのアドバイスの際のポイントを紹介していきます。

まずはフィロソフィー(哲学)について記していきたいと思います。

最近、サッカーの世界ではプレーモデルという言葉がよく使われます。

元日本代表監督の岡田武史さんも自身のクラブ「FC今治」におけるプレーモデルを明示しています。

岡田さんによれば、プレーモデルとは「型」であり、スペインの指導者によれば、16歳までに教え、その後は自由にすると言う発想のようです。

型があってこその自由。ある程度の原理原則をもって、プレーするということだと私は解釈しました。

プレーモデルを明示しているサッカークラブ(育成世代、グラスルーツ)がどの程度あるのかは分かりません。

比較的新しい概念なので、気鋭の指導者の方は明示されているかも知れません。

なので、私は我が家のフットボールにおけるフィロソフィーを明示し、意識してほしいポイントを言語化しました。

今回は、私がアマチュアプレーヤーとして25年、アマチュア指導者として10年、サッカー観戦者として数十年の経験をベースに作成した
意識してほしいポイントを紹介したいと思います。

■共通

・サッカーは自由、楽しんだもの勝ち!

当たり前ではありつつも忘れてしまいがちなポイントです。まずサッカーは複雑な戦術や戦略はありますが、結果的に相手よりも多く点を取り、
失点を防ぎ、結果が表れるスポーツです。

ゲームですので、楽しむがありきであり、それはどのカテゴリーにおいても変わらない原則であるはずです。

そして、ゲームだからこそ勝ちにこだわってほしい。結果を残すことによって、道がどんどん開いていきます。

また、戦術や戦略はありつつも、相手がいて、刻一刻と流れが変わり、止まらないからこそ、選手の自主性に任されます。

シュートをするのも、パスを出すのも、ドリブルをするのも、選択するのは選手自身。点が取れれば、エゴイストであっても賞賛を受けます。

なので、自分で考えて何が最善であるのかを判断していかなければいけません。自由、楽しむ、そして勝つことで得られる喜びを感じてほしいと考えています。

以前、ブラジル人のプロのコーチが日本人からはサッカーをしている時、Alegria(ポルトガル語やスペイン語で喜び、英語のjoy)を感じず、マシーンの様にプレーすると仰っていました。

好きこそもの上手なれ、楽しむというのを前提にサッカーに打ち込んでほしいものです。

また、親(私自身)は勝ち負けに対して一喜一憂するのは絶対に避けたいと思います。子どもが楽しめているか、楽しめていないとしたらどうすれば楽しめるか、どうすれば成長に繋がるかを問いかける役割を担いたいものです。

■攻撃

・ゴールが見えて、点が取れる自信があれば、迷わずシュート

評価される選手、それは結果を残す選手だと思います。ゴール、アシスト、目に見える結果はこの当たりでしょう。

評価されることにより、先述したように、道が開けます。面白いもので、サッカーの道は非常に長く困難であったとしても、世界まで繋がっていきます。可能性は無限と言えます。

(相手よりも)点を取ることが最大の目的であるスポーツですので、まずはシュートを決めるというのを意識してほしいと思っています。

ただ、ゴールが見えるだけではだめで、その位置から打ってシュートが入るのか、その自信があるのかというのは重要なポイントです。

つまり、自信をつけるためには、練習が必要であり、日頃の鍛錬がベースとなります。

・ボールをもらう前に、周りの状況を見て、味方と相手の位置を確認

いつ(When)、何を(What)、どこを(Where)、誰を(Who)、どうやって(How)という5w1h(なぜWhyはゴールを取るため)を意識して、見るというのを習慣づけてほしいと思います。

小学校低学年(年長含む)から見ることを習慣づけておく、なおかつ本人に何が見えているのか、どう見えているのかを聞くことで、見るレベルも上げていくことができると感じます。首の振り方や首だけではなく体の向きでも変わります。

そして極力遠くを捉えることを意識できているかの声掛けもしたいですね。

・前を向くのは超大事

私自身はキーパーでした。つまり方向性は一方ですが、中盤(ミッドフィルダー)や前線(フォワード)の選手と言うのは、相手に背を向けた状態でボールをもらうのがスタートとなるケースが多いと言えます。

その際、ボールを失わずに前を向けるか、簡単に後ろに返すのではなく、チャレンジしてターンできるか、体と頭を使って前を向く技術を

徹底的にあげて欲しいと思います。前を向くことによって、一気に展開が変わってきます。その後にドリブルで運ぶにせよ、パスを出すにせよ、

前を向いて前方に移動することで、相手の選手たちの矢印(体の向き)を相手のゴール方向に向けることになります。

また前を向けるように「見る」という部分にも関連してきます。

ワンタッチ、ツータッチでボールをはたいていくのも重要ですが、タッチが短ければ良いという訳ではなく、これも選択の「質」に関わります。

中村憲剛さんはこの前を向くというのが質が高かった故に、アシストに繋がるラストパスやゴールに繋がるシュートまで結びついていました。

現在のフロンターレで言うと、脇坂選手のターンを参考にしています。彼も止める蹴るのレベルに加え、前を向く技術の高さを感じます。

・パスを出したら、ボールをもらい直す

上述した通り、最初にプレーの優先度としてシュートを挙げました。次にパス、そして局面によって、ドリブルと考えています。

小学生年代、特に低学年ですと、この辺のパスのレベルにまで中々到達しません。一方で、以前読んだスペイン・ビジャレアルの下部組織において、小学生低学年年代でもパスの意識が高いようです。判断を常に伴うトレーニングをしているようです。スタートの時点で強豪国と差があるのかも知れません。

アタッキングサードと呼ばれる、相手陣内のペナルティエリアの手前くらいであれば、抜くためのドリブルは数的有利に繋がるので、有効と言えます。

三笘選手やネイマール選手、メッシ選手と言った、ドリブラーが圧倒的にいきるのはこのエリアと言えます。

一方で、それまではいかに早く有効に相手のゴールの近くに運んでいくか、つまりパスを出せるかになります。

スクールではドリブルを教えるケースが多いと感じますが、本来は早く相手の陣内、ゴールの近くに運ぶ技術を優先するのが望ましいのではないでしょうか。

原則から少しずれてしまいましたが、このパスを出した後、何ができるか、ぼーっと見ているのではなく、良い場所でもらい直す。

この良い場所というのが難しいです。実は動かないのも良い場所かも知れませんし、近くに行くのも選択肢、遠くに行くのもあり得ます。

流動性が高い中で、それを判断しなければいけません。ただ一つ確実に言えるのは、出した後に素早く次の展開に備えることです。

・ドリブルはスピードが命、目線は下げても良いが、顔は下げない

私自身、フィールドプレーヤーではなかったので、ドリブルデザイナーの岡部さんの記事や書籍を参考にしています。

ドリブルは早ければ早いほど、緩急の差がつけられると仰っていました。いかにMAXのスピードを高められるか、極論を言えば、走る速さと同等であるのが望ましいと感じています。

また、いかに顔を下げないか。良い選手は姿勢が良く、これは見える範囲を広くすることに繋がります。ただボールを触るために見なければいけないので、

顔ではなく目線でカバーできるかというのも意識付けのポイントだと思います。

この部分は意識で全然変わってきます。日々の積み重ねです。

・技術は試合で生かすためにある

ロナウジーニョの様な遊びはサッカーの華の一つだと捉えています。
ゲーム(遊び)だからこそ、華麗な技術を頑張って習得するのは有りだと思います。

息子のサッカーを見ていて、気付いたことがあります。基礎的な技術やフリーの状態でフェイントを出すことはできていますが、一方で相手がいる中で実践できていません。

技術は試合の中で生きてこそ、意味があると改めて感じ、その点を伝えていきたいと思いました。

■守備

・取られたら0秒でボールを奪い返す

よくプレーモデルでは4つの局面があげられます(①攻撃②攻撃→守備③守備④守備→攻撃)。今回は②に関してです。

「ボール取られちゃった、、、」ではなく、取られた瞬間から奪い返すと言うのを意識してほしいです。

・守備は足先ではなく、足の横と体をぶつける

足先でボールを取りに行くお子さんを良く見かけます。これだとかわされやすく、かつ体の重心がずれているので、かわされた後の動きが遅くなります。

息子もよく、足先でボールを取りに行っていたので、足の側面(インサイド)でブロックを作り、体をぶつけるように伝えました。

手の使い方もありますが、手で引っ張るなどをするのは反則(ギリギリを狙うのも技術ですが)ですので、上手く体全体と足の側面でボールを取ることを意識させたいと思いました。

守備の参考は遠藤航選手です。彼は178cmと大きな選手の多いブンデスリーガの中でも、対人プレーで結果を残しています。

遠藤選手の守備を見ると、足先でブロックするのではなく、側面を上手く使って、自分に有利な守備をしています。

遠藤選手の守備強度で、田中碧選手や柴崎選手の様な繊細なボールを出せるミッドフィルダーが日本人のミッドフィルダーの理想像と考えています。

こうした選手が中盤に2~3人いれば、強豪国に近づけそうです。

いかがでしょうか。解説が細かくなってしまいましたが、一つ一つが意識するポイントであり、これに気を付けるだけでも、選手(お子さん)の能力の向上に寄与するはずです。

低学年のお子さんには難しいかも知れませんが、早ければ早いほど効果は高くなります。

是非、参考になるポイントがあれば、実践してみてください!

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