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自分のキャパはおちょこ並みだと知る夜

ああ、なんだか虫の居所が悪い。
2、3日前から続く微妙な体調不良。特に夜の咳がとまらず、眠りが浅い。
昨夜なんか、家中に張り巡らされた蜘蛛の巣にまとわりつかれる夢を見た。ベトベトとくっついて取れない蜘蛛の巣の感触が、朝起きてもしばらく体中に残っていた。

今日は休み。
今週は学級閉鎖もあり、何かと家にいることが多い週だったから息抜きにどこか出かけたかった。
「さあ、出かけよう」
そう言った瞬間「いかない」とソファにうつ伏せに突っ伏す娘。
いつもなら「そんなこと言ってないでー!行こおぉぉぉぉ!」とくすぐったりしてご機嫌を取るところだが、「じゃ、もう今日はいっさい出かけないからね」とふてくされる。

そんな小さな”ふてくされ”がさらなる”ふてくされ”をまねき、イライラが募っていく。


「あちぃ!」

ソファでお茶を飲みながら本を読んでいたら、娘がぶつかってきた。
熱々のお茶が足にかかる。
こんな日に限って、些細なイライラ案件が重なる。
普段なら声を荒げたり悪態をついたりなんてこともないが、思わず悪態が口を伝う。


小さな体調不良。
その程度のことが、いつもなら気にもとめないような些細な出来事で神経を逆なでさせる。
いつもは、温厚だなんて言われていても、しょせん自分のキャパシティなんて”おちょこ”みたいなものだ。

なんとなくグズグズで、小さなトゲが刺さったままのような調子のまま一日が終わろうとしている。

そんなことを思いながら、お風呂上がりにソファでnoteを書いている。
ふと横を見ると牛乳を飲みながら娘がテレビを眺めている。見ているのは最近お気に入りの「ぜんまいざむらい」。

パパ、お団子おいしそうだね。と独り言のようにつぶやいた。そうだね、と僕も独り言のように答える。
パパがこの前買ってきてくれたどら焼き美味しかったね。”ぜんまいざむらい”に出てくるお団子から連想したのだろうか。
パパ、今度またどら焼き買ってきてね。そう言いながら牛乳をテーブルに置いた。僕はキーボードから手を離して娘を見た。

「パパ、今日も楽しかったね」

こっちを向いた娘は、口に牛乳をたっぷりと付けたまま大きく笑った。
おちょこ並みの僕のキャパシティは、その顔を見ただけで溢れそうだ。
「明日も楽しくなるよ」と言いながら、ティッシュで口をゴシゴシ拭う。
娘は楽しそうに目と口をぎゅっと閉じながら笑った。

さ、明日はどこへ行こうか。

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