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読書「ゲノムが語る生命」 

「ゲノムが語る生命」 
著者 中村桂子

ルネサンスの起きる少し前。

聖書は人々にはわからぬラテン語で書かれていて
説教もラテン語で行われていたそうです。
しかし聖フランチェスコという聖職者は
それをイタリア語に変え、聖書の教えについて
庶民が自分で考えたり感じたり
できるようにしたということが
本書で紹介されていました。

作者は現代、「化学そのものを否定するわけではない」
ということを踏まえた上で、

化学技術万能からの脱却が必要ではないかといいます。

ルネサンスの時代に「宗教」そのものを
否定したのではないように。

今科学に求められているのは、それがお金になるか、
すぐに役立つかなどであるけれど
最も優先されるべきは「生命」ではないのか、と。

今の化学がおかれた現状や歴史を振り返り、
六章に分けて六つの考え方や視点などを提案している
とても学びの多い一冊です。

確かに人間のように複雑な生き物を「化学」のみで
解明していくことは、「生命」を基準に考えたなら、
おかしな話だと思いましたし、

化学は素晴らしい反面、
それが全てを解決していく幻想も浸透しています。
実際、化学が解き明かせているものは
まだまだほんの少しだけ。
この世の真理などを追求していくならば化学のみでは
不可能だと思います。

わたしたちが化学に向き合う姿勢は現状のままでは
とても危機的であり、化学の世界がわたしたちに
伝わる言語を持たず、生命を優先していかれないならば
非常に未来は暗くなってしまいます。

化学が生命を基準にしていく変化が
必要なんだということ、そして、わたしたちが、
どう化学や生命と向き合おうとするかが
問われていると思いました。


▶この記事は過去にInstagramで紹介したものを編集したものです。
▷このnoteは新たな読書の記録と過去の記事をまとめたものになっています。

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