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人材不足を解消せよ~地方の情シスが今すぐ実行すべき「生き残り戦略」

こんにちは。製造業で情シスマネージャーをしている「まさ」です。

情シス部門に勤める皆さんは、人材不足や人材確保に悩んでいませんか?

私のような地方企業の情シスは、人材確保の面で非常に苦労しています。社員の退職で欠員が出た時、後任者の採用が半年後…なんてことはよくある話です。

そして先月、私の部署でも社員がひとり、転職してチームを去りました。

早速、チームメンバーこう話しかけられました。
  「〇〇君の後任はいつから、誰か来るんですか?」

  「ああ、人事経由で採用かけてもらっている。何人か面接したけど、良い人見つからないんだよね。」

そう答えつつも、心の中ではこうつぶやいていました。
  「退職の意思表示から1か月半。すぐに後任見つかるわけないでしょ」

事実、2ヶ月経った今も後任のメンバーの採用には至っていません。そして採用の目処さえも経っていません。

この問題をどうやって解決したら良いでしょう?

東京など都市部の情シスやIT企業と比べ、地方企業の情シスは、条件や職場環境の面で間違いなく人材が確保しにくい状況にあり、これを課題に感じているのは私だけではないはずです。

この問題、情シスが「人事採用の責任だ」とブン投げてしまいがちですよね。でもそれをやってしまったらダメです。情シス自身で打ち手を考えて実行しなければ解決できない、それくらい重要な問題だと感じています。

ということで、今回は、地方情シスの人材をテーマにした「生き残り戦略」について書いてみました。みなさん、是非一緒に考えましょう。


▶地方情シスの現状と課題

プロフィール
社員数1000人ほどの中堅企業で、県内外に事業所と工場がいくつかある

チーム構成(※DX推進などタスクフォースは除く)
情シスメンバーは10名~15名。
マネージャの他に、基幹システムの運用保守、情報系システムの導入推進、サポートデスク、インフラ・セキュリティというのが一般的な構成。製造業では、主要工場に生産系システムの運用部隊を持つ企業もある。

大まかにはこんなイメージです。従業員数が少ない企業は、情シスの人数も一桁。さらに中小企業になると、総務部門が情シスを兼任したり、一人情シスなんて企業も少なくありません。とにかくチーム内で兼任しながら、最低限のメンバーで多種多様なタスクを担当している、それが地方企業の情シスの現状と思ってください。

そんな地方の情シスが人材不足問題に直面している原因は3つあります。

1.近隣の大企業やIT系企業、都市部の企業との人材争奪戦に敗れる
2.社内の人材育成や活用が十分にできていない
3.メンバーが離脱しない職場環境ができていない

そこで、地方情シスがこの課題を解決し、生き残るための3つの人材戦略を考えてみました。


▶地方情シス 生き残り戦略

①採用を見直せ(複業人材の活用)


採用を見直すためには、まず、中途や新卒採用における明確な基準を設定することが必要です。人事に提出する求人票は、必要な人材のポジション、スキル、コンピテンシーなどを明確にしましょう。また、働きやすい環境をアピールすることも重要です。リモート勤務の記載や勤務時間の柔軟性などを書くことで、エンジニアの応募意欲を高めることができます。さらに、採用エージェントだけに頼らず、リファラル採用や兼業複業人材の採用など、自社に合った方法を積極的に(これ大事!)試してみることをお勧めします。

②社内人材を活用せよ(社内協業)


社内人材の活用を進めるためには、まず、社内公募でIT人材を募集するルートを作ることが必要です。私は「社内FA制度」という企画を人事に持ち込み、事業部門からの応募者を受け入れることに成功しました。この制度は、社内の人材を情シスに異動させることで、人材の流出を防ぎ、情シスの体制を強化することを目的としています。情シス単独ではできない戦略なので、普段から人事部門とコミュニケーションをとり、いざというときに味方になってもらうことが大切です

③戦略的アウトソース(外部連携)


情シスの業務範囲を全てプロパー社員で賄おうとしていませんか?それは無理です。選択と集中でプロパー社員で対応する業務とアウトソースする業務を戦略的に分けましょう。この戦略には、この後に書く「情シスの人材育成計画」が必要になります。人材育成計画なきアウトソース化には予算が付かないことに注意してください。
自分の経験上、予算化しやすい業務は以下の部分かと思います。

  • 既存システムの運用保守やマイグレーション開発

  • システム運用、ネットワーク監視

  • パソコンのキッティングなど調達における初期設定

  • セキュリティ(特にSOC)

いかがでしょうか?以上3つの解決策は、一朝一夕にできるものではありませんが、地方企業の情シスが生き残るためには必要不可欠なものです。ぜひ、参考にしてみてくださいね。



▶第4の戦略


最後にもうひとつ大切なことを書きます。

地方の情シスが抱える人材不足問題を解決するためには、採用の見直し、社内人材の活用、アウトソース戦略という3つの生き残り戦略を実行する必要があると書きました。

しかし、これらの戦略だけでは十分ではありません。もう一つ、情シスのマネージャーがやるべき重要な基本戦略があります。

それは「人が辞めない、職場環境作り」です。

人が辞めない職場環境作りとは、メンバーのやりがいや成長を支援することです。メンバーは会社から期待される役割に対して自分の目標が同じベクトルを向いているとき、やりがいを感じます。そのために、マネージャーはメンバーのモチベーションを高く保ち、適切なフィードバックを行うことが必要です。

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また、メンバーがどんな人材になりたいか、どんなスキルを身につけたいかというキャリアパスを明確にし、マネージャーとメンバー間で対話をすることが大切です。キャリアパスがなければ、メンバーは目標を失い、ただ目の前の仕事だけに没頭してしまいます。社外のコミュニティへの参加も含めた越境学習の機会を率先して作っていくことがマネージャーに求められます。

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さらに、心理的安全性の高いチームを作ることです。心理的安全性とは、失敗や意見の相違に対して恐れや不安を感じない状態のことです。心理的安全性が高いチームでは、メンバーは自由に発言や提案ができ、失敗から学びや改善が生まれます。逆に、心理的安全性が低いチームでは、メンバーは上司や同僚の目を気にして、自分の考えや感情を隠し、失敗を恐れて挑戦や変化を避けます。

地方企業(特に製造業)では、「上司と部下のヒエラルキー」がもたらす閉鎖的で居心地の悪い職場環境を生み出していることが良くあります。このような職場では、情報が共有されないまま一部の人だけで意思決定がなされてしまう「コソコソ主義」が蔓延、メンバーはやりがいや成長を感じることができず、やがて退職を考えるようになるでしょう。

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以上、地方企業の情シスは、人材不足問題を解決するために、3つの生き残り戦略を実行するだけではなく、「人が辞めない、職場環境作り」にも力を入れる必要があります。これらの取り組みは、一朝一夕にできるものではありませんが、地方の情シスが生き残るためには必要不可欠なものです。ぜひ、参考にしてみてくださいね。


▶まとめ

今回は、DXの取り組みについてはあえて触れませんでした。しかし、今後情シスがこういった現状業務に加え、DXの企画推進を経営から指示されたその時

あ、ヤバい、俺達、詰んだわ

という事にならないよう、情シスのマネージャーは、前もって必要な人材の確保とオープンで風通しの良い職場環境を作ることに注力することが大切ですね!





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