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統一協会の手口⑥-03家庭崩壊とカルト教育編「家庭崩壊①[自殺と尊厳無き死]」

統一協会の手口⑥-03家庭崩壊とカルト教育編「家庭崩壊①[自殺と尊厳無き死]」

悪名高い統一協会(世界平和統一家庭連合)の
「マインドコントロール」や
「騙し」の手口を明かしていきます。
この章では、主に”高圧的な指導”や
”上から目線で厳しいカルト教育”などの”虐待”により、
子どもたちが”重篤な精神疾患”や”不幸になっていく”ことをみていきます。
また、統一協会が政治に介入して、”正しい教育”を
”妨害”してることもみていき、”カルト教育の弊害”を浮き彫りにします。
また、「子ども家庭庁」や「家庭教育支援条例」を介した
”カルトの子どもたちの教育への侵入”についてもみていきます。


苦渋に満ちた人生を歩まされる宗教2世


橋田達夫さんの家庭崩壊のケース

長男はなぜ死んだのか――残された被害者家族の苦しみ

「毎日、長男が『なぜ、死んだのか』をずっと考えてきました。
当事者である長男は、苦しかったんだろうと思う」
家族として被害を受けた橋田達夫さんは、涙をこらえながら、
国会内で開かれた被害者の状況を聞き取る「統一教会国対ヒアリング」で話をしてくれました。

橋田さんの元妻は、30年以上前に統一教会に入信し、
田んぼを売って献金をするなどして、被害は1億円にも上っています。

橋田さんは、元妻の入信をめぐって対立家族と離れます
しかし3年ほど前、元妻とともに暮らしていた、30代の息子さんが突然、自ら命を絶ちました。橋田さんは金銭的被害だけでなく、家族として精神的に辛い被害を受けています。

「34年間、1人で統一教会と闘ってきました。妻は教会に行きっぱなしで、やめてほしいといっても聞かなかった。本当に苦しいです」

多田文明「統一教会の元信者が明かすその手口と実態」

全国統一教会被害対策弁護団の集団交渉

全国統一教会(世界平和統一家庭連合)被害対策弁護団により、
統一教会に対して損賠賠償を求めた第1〜第4次の集団交渉が行われています。
被害を受けた通知人108人が裁判所における調停の申し込みを行い
その金額は約35億7774万円に上っています。

橋田さんは、その集団交渉に参加している一人です。
これまでは、被害者本人の献金といった財産的損害に関する請求でしたが、
第二次の集団交渉では、悲惨な事案として被害を受けた元信者や家族への慰謝料を増額しており、そのなかに橋田さんの件も含まれます

多田文明「統一教会の元信者が明かすその手口と実態」

家庭が破壊されたことへの慰謝料を請求

県が誤って振り込んだのは本当か?

阿部克臣弁護士の説明によると、
36歳で長男が亡くなり橋田さんは奥さんと離婚することになり、家庭が破壊されました。そこで2000万円の慰謝料を請求しています。財産の損害については、橋田さんの持つ不動産を高知県が収用した時に、そのお金を(県が)誤って橋田さんの元奥さんの口座に振り込んでしまいました。その中から奥さんは統一教会に2000万円を献金しています。その金額も請求しています」
ということです。

多田文明「統一教会の元信者が明かすその手口と実態」

元妻は教会の活動に没頭して子供をネグレクトしていた

統一協会の指導では、中学生の頃に不登校になり
成人後はアルバイトも長くは続かなかったといいます。

橋田さんは、
僕の名前で勝手に銀行からお金を借りることもあった
今回の2000万円も自分のお金だと言って、元妻は勝手に献金しました。
悪霊がいるから土地を売る、などといった行為を30年以上も繰り返してきました。そして長男は3年ほど前に自ら命を絶ちました

7月に(安倍元首相を銃撃した)山上徹也君の事件が起こって、彼は自分の子供と同じだと思いました
山上君は外に向けて出た(刃を向けた)
しかしうちの息子は自分(内)に向けて出てしまった
と話して、その形の違いだけに過ぎないと、
悔しそうに話します


橋田さんの元妻は教会の活動に没頭して、子供を放っておく生活をしていました。

長男は中学生の頃に不登校になり
成人後はアルバイトも長くは続かなかったといいます。

多田文明「統一教会の元信者が明かすその手口と実態」

”家庭の救い”を謳いながら実際は「家庭崩壊」の詐欺

「家庭連合」ではなく「家庭崩壊連合」
他人の家族を地獄に突き落としておいて、
天国を作れるわけがないじゃないですか!

なぜ息子が亡くならなければならなかったのか――。

調査をしようと信者の家を回ったこともあったそうです。
しかし信者からは「知りません」「わかりません。帰って下さい」と言われるだけだったそうです。

【教団はひたすら責任から逃れて、訴えを無視する】

教団は逃げている。その繰り返しで調査もできない。
被害を訴えても無視される

警察や弁護士、市町村に話をしても、誰も関わってくれなかった
これが現実です。
2000万円の返金を求めて、教団に何度も行きました
しかし「奥さんが勝手にやったことなので、帰って下さい」と言われた。
本当に悔しくて悔しくて・・・・・・
毎日、そして今も東京に向かいながら、
長男が「なぜ、死んだのか」をずっと考えてきました。
当事者である長男は、苦しかったんだろうと思う
涙をこらえて気丈に言葉を紡ぎます

「自分たちが悪かったと思うのであれば、被害者に謝罪すべきです。
(教会改革推進本部本部長の)勅使河原氏は「調査をします」と言っておきながら、
一切連絡なし。
(統一教会からも)謝罪は何もありません。


僕は(統一教会は)カルトであり、反社会団体と言いたい。
被害があれば、寄り添いますよね。
それが一切ありませんよ。これが宗教かと。

田中会長も勅使河原氏も、被害者を回って謝罪して、
補償するべきではないですか。
悔しい。

家族を地獄に突き落としておいて、
天国を作れるわけがないじゃないですか!これが本当の気持ちです!

多田文明「統一教会の元信者が明かすその手口と実態」

”家庭の救い”の「家庭連合」どころか「家庭崩壊連合」

2022年7月11日の会見で、田中会長は”個人の救い”だけではなく
”家庭の救い”を目指すなかで、
名称を「統一教会」から「世界平和統一家庭連合」に変えた
と語りました。
しかし、山上氏の母親は教えを信じて多額の献金をした結果、破産して、母と息子との関係にもひびが入り、家庭は崩壊しました。

信者を持つ多くの家庭は”家庭の救い”とは正反対の教団の状況になっています
これは橋田さんや山上氏の家庭に限ったことではありません。
教団内にいれば、毎日のように「神の国実現」のための献金が叫ばれます
思想を信じる人ほど、その教団の願いに応えようと必死になります。
「カードでお金を借りてでも、献金しなさい」と言われれば、
そうせざるをえない状況です。
その結果、返済に困り、金銭的に困窮する信者がたくさんいました

このどこが”家庭の救い”なのでしょうか?
宗教法人としては絶対にやってはいけない一線を越えて、
霊感商法や高額献金をして多くの被害者を生み出しました。

今回のような悲劇的な事件を繰り返さないためにも、
教団への解散命令は必須といえます。

多田文明「統一教会の元信者が明かすその手口と実態」


山本サエコさんの家庭崩壊のケース


守銭奴「1円でもサタンにお金を戻すことは許されない」

宗教2世間題ネットワークの副代表を務める山本サエコさん(仮名)は、
自らも統一教会の親のもとで育った宗教2世です。
その立場から次のように語っています。

「統一教会には「万物復帰」(この世の物はすべてサタンに奪われたため、
それをすべて神=教祖のもとに返さなければならない)という教え
があります。
このお金を真のご父母様(文鮮明・韓鶴子)と崇拝する教祖に捧げてることが信仰なのです。教祖は日本にいません。その教祖に1円でも多く捧げることに信仰の意味がある

それゆえに信者である親は生活が破綻するほどの献金をして、
そのしわ寄せがその子供たちである統一教会2世のもとにやってきます

貧困にあえいで、健康で文化的な最低限度の生活も
送れない人たち(2世)がたくさんいます。

高額献金をした直接の被害者だけでなく、
献金により老後破綻した(信者の)親を養う2世も同様です。
せめてお金だけでも返ってきてほしい
これは単なるお金の話ではなく、人間の尊厳であり、人の命だと思っています

多田文明「統一教会の元信者が明かすその手口と実態」

マインドコントロールが解けると非常に良好になる親子関係

そして、彼女自身の体験を語ります。

山本さんの父親はいまだ現役の統一教会の信者ですが、
母親が教団を離れる決意をします
そうしたなか、山本さんは大学卒業とともに、
母親を連れて父親のもとから逃げたと告白します


17歳の時に入信した母はマインドコントロールが解けまして
その後の親子関係は非常に良好なものでした。
私は母の最期を看取りました
私と母が過ごした親子関係の日常は、愛にあふれたものでしたが、
他の2世の方にも、1分でも1秒でも長く(そのような)時間を
過ごしてほしいと願っています


解散命令を通じて、教団が行ってきた霊感商法・高額献金などの悪質な行為に、
疑念を深める1世信者も出てきて、統一教会の思想から脱する方もいることでしょう。

その時に、それまで失ってきた本当の親子の対話の時間を
少しでも長く共有してほしい
――元2世信者の切実な思いが伝わってきます

多田文明「統一教会の元信者が明かすその手口と実態」

身ぐるみ剥がされた1世信者の深刻な老後破綻

母は教団内では公職者として働いていましたが、社会保険もかけてもらえず、
解雇される時には退職金もなく、無年金、無貯金で最後は死んでいきました。
母が最期に使っていたカバンは、雑誌の付録でした。
そこに人間としての尊厳はありませんでした

さらに長年信者だった人たちの、深刻な老後破綻の現状を訴えます。

母は教団内では公職者として働いていましたが、社会保険もかけてもらえず、
解雇される時には退職金もなく、無年金、無貯金で最後は死んでいきました。
母が最期に使っていたカバンは、雑誌の付録でした

そこに人間としての尊厳はありませんでした
老後の資金はただのお金ではない。
命そのものの大事なお金を、統一教会は奪っていきました

私は身ぐるみはがされた母を引き取り、統一教会から隠れるようにして、
ひっそりと生きていました
20代前半の生活は、過酷な毎日でした。

母は17歳の高校生の時に正体隠しの伝道で統一教会に入信して、
18歳で献身をした世間知らずでしたが、可愛らしい母親が愛おしかったです。
世間の皆さんにはカルトに騙されたパカな被害者の一人に映るかもしれませんが、
私にとってはかけがえのないたった一人の母親でした


彼女の命を守るために、必死になって養い、看取りました
私のような過酷な人生を後輩の2世たちに、味わわせたくないです。
日本の未来ある若者を守って下さい
涙ながらに語ります。

多田文明「統一教会の元信者が明かすその手口と実態」

宗教2世の相談対応の状況

最初から諦めている2世たちがたくさんいます。
宗教2世は、親と統一教会の組織にのっとられた人生です。
取り戻してあげたいです。

最後に山本さんは、自身が行っている宗教2世の相談対応の状況を口にします。
『精神的に疲れた』
『親が合同結婚式を強要するために、結婚を諦めている』
『貧困が続いていて、将来に希望が持てない』
『借金を返す生活で、結婚も出産も諦めた』
『何のために生まれてきたのかわからない』
と、
最初から諦めている2世たちがたくさんいます。

宗教2世は、親と統一教会の組織にのっとられた人生です。
取り戻してあげたいです。
自分で納得した人生を自分の足で歩めるようにしてあげなくてはならない

安倍元首相を銃撃した山上徹也氏も、
すべてのお金を教団に捧げてしまう母親のもとで育ったといわれています。
その生活ぶりは筆舌に尽くしがたいものだったと思います。
もちろん、殺人という行為はしてはならないですが、
彼のように思い詰めてしまうような人を二度と出してはいけません

そのためにも、親が高額献金することによる経済苦
さらに信仰の強制を受けての精神苦に直面する
2世当事者の声を聞くことが何より必要とされています。

多田文明「統一教会の元信者が明かすその手口と実態」


【報道特集】「家庭崩壊」「虐待」「自殺」“国からも見捨てられた”旧統一教会の信者家族が語る苦しみ


【総額3000万円を献金】「自殺した息子の保険金」までも・・・旧統一教会の勧誘方法の実態を元信者が激白


手口シリーズのINDEXページ

統一協会の手口シリーズまとめ


伊丹万作「騙されることの責任」

もちろん、「騙す方が100%悪い」のは紛れもない事実である。
その上で更に「騙されることの責任」を考えよう。

伊丹万作「騙されることの責任」

もう一つ別の見方から考えると、いくら騙す者がいても誰1人騙される者がなかったとしたら今度のような戦争は成り立たなかったに違いないのである。
つまり、騙す者だけでは戦争は起らない。騙す者と騙される者とがそろわなければ戦争は起らない一度騙されたら、二度と騙されまいとする真剣な自己反省と努力がなければ人間が進歩するわけはない騙されたとさえいえば、一切の責任から解放され、無条件で正義派になれるように勘違いしている人は、もう一度よく顔を洗い直さなければならぬ。
伊丹万作「戦争責任者の問題」より




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