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暮らしっ句

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「日々の暮らし」の味わい、ぬくもり、それさえ忘れなければ、成功なんかとは縁遠くても、まっとうに生きていける。逆に言えば、こわいのは「こんな世の中、ぶっ壊してやり直した方がいい」と…
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#俳句鑑賞

[暮らしっ句]茄子の花3[俳句鑑賞]

人生編  数うれば 良き事もあり 茄子の花  斉藤裕子  イヤなことに焦点を当てれば、毎日…

トマリエ
18時間前
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[暮らしっ句]ソーダー水1[俳句鑑賞]

頬杖をして遠く見てソーダ水  松岡隆子 昭和の恋人たち編  こはれさうな恋 と 同席ソーダ…

トマリエ
11日前
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[暮らしっ句]茄子の花2[俳句鑑賞]

つぶやき編  あこがれは晴耕雨読 茄子の花  石山惠子  そんな暮らしをやってみたいけど…

トマリエ
2週間前
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[暮らしっ句]茄子の花1[俳句鑑賞]

おだやか編  ベランダに 夜風のありて 茄子の花  石川貞子  部屋の中では「暑いなあ」と…

トマリエ
2週間前
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[暮らしっ句]麦 秋2[俳句鑑賞]

 麦秋や 人呼ぶ声の一度きり  木下野生  こちらはファンタジーというよりオカルト的。 「…

トマリエ
4週間前
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[暮らしっ句]麦 秋1[俳句鑑賞]

 麥秋を一直線に旅心  川端実  麦畑とは書いてありませんが、麦秋という季語を選んでいる…

トマリエ
1か月前
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[暮らしっ句]つばめ[俳句鑑賞]

 つばめ来る 悼みの軒と知らずして  宇都宮滴水  ちゃんと黒着て来ましたよ~とツッコミたくなりますが、たぶんその反応は想定されていたこと。撒き餌のようなものですね。  では、本意はどこにあるのか? 手がかり得るためにこんなふうに置き換えてみます。  子が遊ぶ 病人の軒と知らずして  こうすると「困ったものだ」と「無邪気」が混在していること。「仕方がない」と「仕方がないで済まされるのか」という狭間が浮かび上がってきます。たぶんそれがこの作品の主題。 「病人の軒」とは、云

[暮らしっ句]新 緑[俳句鑑賞]

スナップショット編  新緑の木蔭や憩ふ 乳母車  吉田きみえ  新緑や補助輪はづす 父と子…

トマリエ
1か月前
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[暮らしっ句]風光る[俳句鑑賞]

 窓の字に心がありて 風光る  近藤千雅  作者に心があるから「心」が見えたわけですが、…

トマリエ
2か月前
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[暮らしっ句]犬ふぐり[俳句鑑賞]

 犬ふぐり およそ似合はぬ名をもらひ  楠木君子  わたしがこの花をはじめて意識したのは…

トマリエ
2か月前
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[暮らしっ句]しやぼん玉2[俳句鑑賞]

 危ふさを膨らませをり 石鹸玉  金森教子 「バブル」というやつですね。こないだも超富裕…

トマリエ
3か月前
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[暮らしっ句]春 愁[俳句鑑賞]

 まずは具体的な心配事がある場合。  春愁や 夢の中まで聞き役に  山本潤子  知り人も噂…

トマリエ
3か月前
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[暮らしっ句]白木蓮2[俳句鑑賞]

 唐突に 白木蓮の始まりぬ  笠井円  白木蓮の千花 一花の遅れなし  小山徳夫  気がつ…

トマリエ
3か月前
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[暮らしっ句]春の雨[俳句鑑賞]

景色を朧(おぼろ)にし気持ち湿らせる春の雨 しかし、耳を澄ませば ところどころにコントラスト 今回は、そんな「対」を集めてみました  止みさうで止まぬ一日 春の雨  稲畑汀子  降りつのることなき春の雨 止みぬ  稲畑汀子  小雨続き、明日の予報も雨。しかし、そんな長雨も気がつけば止んでいたと。静かにそこに現れ、ここに居着くつもりかと思っていたら、いつのまにか立ち退いていた…… わたしが云うと居候のイメージになってしまいますが、今は今しかないわけで、そう思うと愛し…… .