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[暮らしっ句] 蟻 1[俳句鑑賞]

凡人編

 バスに蟻 下車するあての あるやなし  武田正子

 ねぇ、あなた、バス乗ってしまったのよ わかってる?
 アテはあるの? もう引き返せないわよ

 蟻 「あんたは どうなん?」
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 考へる蟻あり 少し列乱す  閑田梅月

 この分野に関してはわたしのほうが詳しいようなの補正

少し考へる蟻あり 列乱す

 列を乱すのは、ちょっとだけ考える蟻。
 もっと考えると、集団には居られず、ぼっちになります!
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 大蟻が客の顔する 峠茶屋  伊藤律子

 中世から近現代社会になって「商人」とか「富裕層」が台頭したと云われますが、その実態は「貴族」が「客」に変わったということかも。平民も、お金を使う時だけは粗略に扱われません。その仕組みが社会に受け入れられたんですよ。平民の多くが伝統的な共同体よりもそっちに乗り換えることを選択した・・・なんてことに気づかせてもらえました。
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 パン屑の動くを見れば 蟻一匹  苑実耶

 土用の丑に鰻を食べるイベントは、平賀源内の企画からはじまったという話がありますが、世の中にはそんな詐欺?のような仕掛けもある。えてして多くの人を巻き込む流行が、仕掛けられたものであったりする。その最たるものが参戦、開戦だったりするわけで「○○が動き出したから仕方が無い」じゃなくて… 誰かの仕掛けじゃないのか? という疑いは常に持っておいた方が良さそう。
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 蟻 スズメ 私 プラタナスの下  池田澄子
 
絵本教室のお題みたいですね。場所はプラタナスの下。
 登場するキャラクターは「蟻」「スズメ」「私」。
 この順番だと「私」が一番ノロマで皆の足手まとい。でも、その役が一番難しくて愉しいかも。愛されないといけないし、笑われないといけないし。ノロマでダメダメなのに、相手の気持ちが察せられるとか、人のための行動が出来るとか。だから愛されるのか。
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 落ちてゐる 糖衣錠まで 蟻が来る  永野秀峰

 甘いから寄ってきていた? その見方が甘い!
 ただの糖衣錠じゃなかったんですよ。○○ナミン~ 
 EXプラスかな?
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 蝶の羽根 引き摺る蟻よ 飛びたいか  松山律子

 羽根を引き摺っても飛べません。でも、そういう思い違いは、人間も多々やっていそう。たとえば、お金。お金を貯めても飛べません。使わないといけない。使うにはまず稼がないといけませんが、使うことをおろそかにする人は結構いる。その点、底辺は貯めすぎるということはありませんけどね!
 ただ、お金の使い方の上手下手で云うと、底辺はダメなほうでしょうね、たぶん気分で散財することが多い。展望や計画性があれば、底辺を卒業できるはず。ですから、そういう人にはお金を渡すだけではダメなんです。
 じゃあ、なんでサポートをしないのか?
 この世界が欲望を刺激して散財させる仕組みになっているからでしょう。正しいお金の使い方とか教えだしたら、不景気になる! といって愚民政策で散財させていれば、国の借金が膨大に膨れ上がって、結局、リセットしないとどうにもならなくなる。 ← 今、ココ。
  ま、わたしが理屈を考えるのも、羽根を引きずるようなもんですけど!


出典 俳誌のサロン 
歳時記 蟻
ttp://www.haisi.com/saijiki/ari1.htm



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