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バカ格差②

前回の続きになります。引き続き「仕事の格差」について触れていきたいと思います。

③男女のバカ格差

ジェンダーのおける格差においては、日本が先進国の中で圧倒的に最下位だというのは周知の事実です。

男女での賃金格差や仕事内容の差は今でも歴然としており、例えば2016年の厚労省の調査によると、フルタイムで働く女性の平均賃金は月額24万46000円で、男性の賃金の73%でした。

筆者(谷本さん)は、日本における男女の賃金格差には文化的な問題があると指摘しています。

日本の女性は大変忍耐強く仕事に取り組みます。立場が弱いのにも関わらず文句も言わず、低い報酬にも耐え、さらに家庭内のこともきっちりこなして生活しています。

これが北米や欧州北部、そして中国の女性だったら、職場に対して訴訟を起こしたり、いやなことはいやだとはっきり言って反抗したりするでしょう。

一方、日本女性は小さいころから「良い子でいること」「従順であること」を家庭や学校で強いられてきたため、弱い立場に置かれることがある意味当たり前となってしまっているのです。つまり社会の根底に男女不平等が存在するのです。

ただ、一方でその弱い立場に置かれることを好む女性がいるのを忘れてはいけません。例えば「デートで男性におごってもらうのが当たり前」だと思っている女子や、「結婚したら夫に養ってもらい、専業主婦になりたい」と思っているような女性は、その弱い立場に胡坐をかいていると言われても仕方ありません。女性の社会進出が叫ばれて久しいですが、それは女性も男性と同じ土俵で戦うことを意味しており、世の女性にはその覚悟が必要だとも思います。(もちろん社会全体の支援や家庭(夫)の支援などは必要不可欠です)

日本の男女のバカ格差は、日本社会の非効率の縮図です。少子高齢化による労働力の不足を解決するために、同一労働同一賃金、性差による差別を一掃し、同時に女性が強くなることも必要です。

ちなみにジェンダー問題に関しては毎年授業で扱っています。よろしければご覧ください。

第3章 「生まれついてのバカ格差」

①出身地別のバカ格差
②県内でもバカ格差
③親の教育で生まれるバカ格差
④老後のバカ格差

①出身地別のバカ格差

東京生まれの東京育ちとして、興味深い内容でした。

出身地別の格差で真っ先に思い浮かぶのが、東京と地方の格差です。日本ではお金を稼ごうと思ったら東京に住むほかありません。(リモートワークやインターネットビジネスなどを除く)

ゆえに東京に人口が集中し、東京圏と地方の格差が拡大しているという現実は、東京一極集中、地方の過疎化の進行という、決して望ましくない現実をもたらしています。

言うまでもなく、日本は少子高齢化が進み、人口も減少しています。しかし、東京圏においては人口は増加傾向にあり、なんと毎年11~12万人が増えているのです。結果として、1995年には日本の人口のうち東京都に住んでいる人は9.2%でしたが、2015年には10.6%まで増えました。

個人的な話で恐縮ですが、私は10代のころから超満員電車に乗って高校に通っていましたし、都内のどこに行っても人人人というのが普通の生活でした。世界が狭かった若かりし頃はそれが当たり前だと思っていましたが、20代になって日本全国を旅して、東京での生活がいかに”異様”なものかがわかりました。そこで初めて東京と地方にとんでもない格差があることがわかったのです。(もちろん頭の中では理解していましたが、やはり人間は自分の目で見てみないと本当に理解はできないものです)

では、なぜ東京だけ人口が増えるのか。答えは明確です。「東京に仕事があるから」です。それに加えて、「女性の社会進出」も理由の一つと言えます。バブル時代は就学のために地方から東京に来た女性も、卒業後は地元に帰って結婚する人が多かったのですが、2000年以降はそのまま就職したり、就職のために東京に転入してくる女性が増えたという背景もあります。

また、「東京と地方の給与格差」も忘れてはいけません。地方で比較的報酬の高い仕事と言えば、病院や市役所、大学などと言った公的機関などしか選択肢がありません。地方では、正社員でも月の手取りが12万円とか14万円とかが珍しくなく、当然非正規だとさらに給与が下がります。

これは何も遠くの地方だけではなく、千葉や群馬、茨城などの東京からほど近い地方でも同じ状況です。この賃金水準は、東南アジアの中規模都市とあまり変わらわず、日本が経済的にいかにグローバル化から取り残されているかというのを示唆する数字でもあります。

また、本書には書かれていませんが、この東京の人口増加と私立中学受験者数の増加はリンクしています。

少子化がこれだけ深刻化しているこの国で、東京における私立中学受験者数は増え続けているという、一見おかしな状況が続いております。背景には、上述の東京の人口増加に加えて、少子化ゆえに子供への投資としての私立受験が増加、公立学校の教育への不安、私立高校受験の機会の減少などさまざまな理由があります。

私は都内の中高一貫校で働いているので、ある意味この恩恵を受けているとも言えますが、実際のところ多くの私立で定員割れが起こっている現状を考えると、公立私立に関係なく、学校教育のレベル全体を上げることが今求められていると強く感じています。

③親の教育で生まれるバカ格差

こちらも教育ネタなので、触れたいと思います。

既述の通り、日本人の格差は年々広がっており、特に資産と収入の格差は年を追うごとに大きくなっていきます。

ここでいう「資産」は何も土地や不動産といったものだけではなく、「教育」も格差を生み出す相続資産というように考えることができます。

上記のサイトには親の世帯収入と子供の学力の相関関係が示されていますが、子供の職業や収入は親(特に父親)の職業や生まれた家庭環境が大きくかかわっており、階級というものはよほど努力しない限り相続されてしまうものだと言うことができます。

ただし、現在格差が広がっているとはいっても、戦前のそれ(格差)とは比較するまでもありません。確かに親の職業・収入・教育レベルなどが子供の教育や職業に与える影響は小さくありませんが、それでも努力をすれば様々な職業に就くことが可能です。

実際に私自身も母子家庭(母親は高卒)で育ちましたが、奨学金を借りながら大学へ行き、卒業後自分のためたお金で海外に行き、3か国で教師をするという経験を得ることができました。親や周りの友人に恵まれていたのは間違いありませんが、本人の覚悟と努力でいくらでも局面は変えられる(格差を乗り越えられる)と思います。

第4章 男女のバカ格差

第2章の③でも触れられていますが、この章では日本の男女格差に焦点を当てて、より深く掘り下げられています。

出産でキャリアが中断される日本女性

すでに上でも書きましたが、少子高齢化で財源が限られている我が国で、女性の労働力を無駄にしている余裕は全くありません。多くの高齢者を現役世代が支えなければいけない社会において、女性の労働力を社会に反映できないというのは、国として致命的だと言えるでしょう。

しかし、日本では国も労働者側も問題の根源がわかっているにもかかわらず、抜本的な改革が何も成されないまま現在に至ります。内閣には女性活躍担当の大臣が存在し、女性活躍推進法といった法律まであるのにも関わらず、社会における女性の地位はまだまだ十分なものではありません。

その中でも、大きな問題と言えるのが、女性のキャリアが出産で途切れてしまうことです。このことは根底にいろいろな問題をはらんでいます。

まず、長時間労働が当たり前という労働環境が問題です。我が国では「わたし、定時に帰ります。」というタイトルでドラマができてしまうほど、定時で帰ることが”異常”なことであり、時間外労働が一般化しています。そうなると母親としては家事育児に支障が出るため、高学歴の人でも一度キャリアを捨てて、パートやアルバイトに変更せざるを得ないこともあります。

また、法で定められているにもかかわらず、産休・育休をきちんと取得させないような組織も多く存在しています。

さらには、男性側が妻や家庭を支える体制(育休や時短など)が社会として受け入れられていない、そもそも男性自身にその意識がない・少ない、など社会が未成熟すぎて女性が活躍できる社会からは程遠いのが現実です。この状況を是正するためには国がもっと積極的に介入し、イニシアチブを握っていくべきだと考えます。また、同時に国民全体のジェンダーに対する意識を変えなければいけません。これからも女性を下に見て、男性優位社会を継続していくなら、この国に未来はないでしょう。

偏った「女性の権利」が生むバカ格差

先に述べたように、我々の社会には歴然と女性差別がある一方で、女性の方が女性であることを利用しているという側面もあります。デート代や専業主婦といったことだけではなく、女性らしさだったり自分の未熟さだったりをアピールして仕事をこなしている人も一定数いると思います。

北米や欧州の組織では専門職や管理職にも女性は多いので、女性だからやらなくてはいいとか、責任は取らなくていいといったことはあまりありません。女性が社会進出しているからこそ、女性にも甘えが許されない社会になっているのです。

そう考えると、日本の配偶者控除というのは世界的に見ても非常にユニークな制度と言えます。

北欧諸国は女性の社会進出が最も進んでいる地域ですが、保育園や社会保障が充実している分、女性が専業主婦になって働かないという選択肢はありません。物価も高いので共働きでなければとても暮らせない状況でもあります。働かない女性は日本でいう「ニート」と同様で、「なぜ働かないのか」という厳しい視線を周囲から浴びることになります。

イギリスではかなり前に配偶者控除が廃止されました。国民年金も健康保険も夫婦で別ですから、夫がサラリーマンの場合も専業主婦の妻の分を払わなくていいということはありません。

一方、日本は女性が社会進出や経済の面で性的差別を受けているのは間違いないのですが、同時に社会から丁重に扱われ、保護されているという側面もあるのです。この構造を改善しなければ、真の意味での女性の社会進出も男女平等もないと考えます。

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久しぶりに社会問題について書き始めたらなかなか止まらなくなってきました(笑)相変わらずまとまりのない文章で恐縮ですが、もう少し続きます。

最後までお読みいただきありがとうございました。


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