見出し画像

文化による違い

 欧米と東洋ではその文化に違いがあることがわかっています。顕著にそれが表れているのが「文化的自己観」というものです。

「相互独立的自己観」

欧米で広く共有されているのが「相互独立的自己観」です。ベースになっている考え方は「自分は他の人からは独立した存在である」です。たとえば、あることに成果を出したとします。その結果を出したのは、周りの影響ではなく自分の能力であると考えるのです。また、自分を分類するとすれば「元気な私」「勉強ができる自分」といったように、自分のパーソナリティ(個性、人柄)が使われます。

「相互協調的自己観」

日本や東アジアなどの東洋では「相互協調的自己観」が共有されています。その考え方は「人は、他の人や周囲で起きる物事との関係性があって初めて存在する」というものです。成果を出した時には「家族や仲間の協力と励ましがあったからこのような結果を導き出せた」と考えます。自分を分類すると、「〇〇会社の私」「人前では愛想の良い自分」といった人間関係や他者との関係性を表すことが多いのです。

「相互独立的自己観」「相互協調的自己観」のそれぞれの特徴は、
・牧畜文化→個人の意思決定が重視される
・農耕文化→お互いの協力を必要とする
・国の歴史、生活環境による考え方の違いや教育
これらの影響を受けて発生したものと考えられています。

 また、もうひとつ特徴的なものは、思考の違いがあります。
・欧米人の思考→物事自体の特徴に注目する分析的思考
・東洋人の思考→物事と周囲の関わりに注目する包括的思考

 分析的思考と包括的思考について、このようなある実験が行われています。実験では、アメリカ人と、台湾・中国の学生に、「パンダ」「サル」「バナナ」の3つで、どの2つが近いかとたずねたのです。その結果はこのようになりました。

アメリカ人の学生は「パンダ」と「サル」と回答。
台湾・中国人の学生は「サル」と「バナナ」と回答したのです。

アメリカ人の学生は、「どちらも動物」に注目して分類したので分析的思考。台湾・中国人の学生は、「サルはバナナを食べる」という関連性で分類。こちらは、包括的思考となります。

 別の実験では、アメリカ人と日本人に人物の写真を撮ってもらいました。アメリカ人はクローズアップで顔を撮った場合が多かったのです。一方の日本人は、人物を中心に周りの環境と人物を写していることが多かったのです。

この実験でも明らかなように、欧米人は環境から切り離して対象に焦点を合わせる。東洋人は背景と対象の関係に注意を向ける傾向があるようです。

 成長している企業では多種多様な人材が登用されています。さまざまな国から異なった文化の中で育った人々がチームを組み、日々奮闘しているのです。多様性が高いことで革新や変革が起こる可能性も大きくなります。あるメンバーは対象に焦点を、別のメンバーは背景と対象の関係に注意を向ける・・・文化の違いを考慮すれば、それは互いを補う強みに変えられるはずです。

何事も利己的な思いや虚栄からするのではなく、へりくだって、互いに人を自分よりすぐれた者と思いなさい。

【ピリピ人への手紙 2章3節】

聖書 新改訳2017

 相手に対して尊敬と親しみの気持ちを持つことで、文化による違いを超えてお互いを理解し合うことができるはずです。世界は憎悪の連鎖によって人々が望まない方向へ向かっているように感じます。しかし、一人ひとりが謙虚に相手を尊重するようになれば、このような状況も変わっていくことでしょう。今回取り上げた聖書のことばは、人々へ約2000年前から伝えられているのです。

単立バプテスト 苫小牧キリスト教会のホームページではさまざまな情報を発信しております。
どうぞご覧ください。

 


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?