戸蒔 秋二

詩や小説に哲学の好きな者です。
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短編小説その1「人魚姫の泡」

短編集その一 人魚の泡 人魚の泡は無数に浮かび上がる貴重な宝飾品である。日差しに輝きながら昇って行く、どことてあてなどなくとも昇り続けるけれど、人魚姫が泡となっ…

短編小説その19「消却すべき肖像画」

消却すべき肖像画 あの人は肖像画である。壁に掛けられている。いつも部屋の中を覗いている。見張られている気がする。捨てようと思うともできない。なぜなら遺影だからで…

題:ド・クインシー著 野島秀勝訳「阿片常用者の告白」を読んで

ジル・ドゥルーズが結構取り上げている文学作品とその作家について、日本人哲学者や文学者がドゥルーズとの思想と絡めて論じている「千の文学」なる本が発刊されている。こ…

散文詩「首を吊った太陽に蛇や女」その22

記号の浮かぶ宙  この宙には煌びやかに満ちた記号があちこちに、音と思いと意味を込めて浮かんでいる、言語でもあり象徴でもあるこの記号は、その意味を謎解くと一つの法…

題:谷崎純一郎著 「台所太平記」と「潤一郎訳 源氏物語」を読んで

「台所太平記」はとても良い作品である。谷崎家に仕えていた女中の話である。無論、谷崎は女中という呼び名を嫌っていて、個々人をどう呼ぶべきか、いろいろ工夫していたよ…

短編小説その18「砥石と刃物」

砥石と刃物 砥石とは刃物を研ぐ石のことである。光沢を持って鋭利に美しく刃物を仕上げなければならない。研ぎ澄まされた感性で念入りに鋭敏さと情熱を持って一心不乱に作…