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文学本紹介(日本)

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日本の詩や小説などを紹介しています。
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記事一覧

題:紫式部著 「紫式部日記」を読んで

テレビで紫式部のドラマを行うというので、見るか見まいか迷っている。映像で紫式部を見ると、…

歩く魚
3か月前
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ハインリヒ・v・クライスト著 山下純照訳「こわれがめ」と種村季弘訳「チリの地震」…

「ドゥルーズ 千の文学」で大宮勘一郎は「クライスト 群の民主制」と題し、ハインリヒ・v・…

歩く魚
7か月前
6

葛西善蔵著 「子をつれて 他八編」を読んで

時々、近代日本の文学論を読むと葛西善三など、ほんの少し名前だけ知っている作者と作品名が登…

歩く魚
9か月前
16

川端康成著 教科書で読む名作「伊豆の踊子・禽獣ほか」を読んで

川端康成に対する私の評価はそれほど高くはない。文章も作品の内容も粗さが目立つ。小説家とし…

歩く魚
10か月前
25

井原西鶴著 杉田穆 校注「好色一代女」を読んで

「好色一代女」は「好色一代男」と趣向が異なる。そもそも「好色一代男」とは好色を好みその道…

歩く魚
10か月前
3

井原西鶴著 松田修 校注「好色一代男」を読んで

「好色一代男」は「好色一代女」と共に一度は読んでみたかった本である。「好色五人女」は以前…

歩く魚
11か月前
5

川端康成著「みずうみ」を読んで

小説と言う名を借りた取り留めのない作り話と言って良い。小説とはそういうものだと言われればそうであるが、質的に低い作品の、この「みずうみ」は母の村のみずうみである。少年時代の銀平はやよいを誘き出して幸福にひたっていた。無論、湖には霧が立ち込めて岸辺の氷の向こうは霧に隠れて無限だった。この「無限」という中途半端に使われた言葉の意味を、この「みずうみ」なる小説で見つけ出すことは容易ではない。決して霧に隠れて視界が閉じて無限に見えないのではない、霧が世界を覆っていても無限に世界が広が

川端康成著「雪国」を読んで

「雪国」は既に読んでいるはずである。でも、どうしても思い出せない。そこで何十年かぶりに再…

歩く魚
1年前
12

題:坪内逍遥著 「当世書生気質」を読んで

この頃は読書に身が入らない。前回の「金色夜叉」はそれなりに読んだが、今回の「当世書生気質…

歩く魚
1年前
4

題:尾崎紅葉著 「金色夜叉」を読んで 

ああ、これが「金色夜叉」なる小説なのかと思う、古い型の小説と言うより、増築建築した建物の…

歩く魚
1年前
8

題:郡司正勝校注「新潮日本古典集成 東海道四谷怪談」を読んで 

お岩さんを醜くお化けの人相にして殺した民谷伊右衛門の極悪人ぶりを一度読んでみたかった。こ…

歩く魚
1年前
7

題:幸田露伴著 篠田一士編「露伴小説 第二冊」を読んで 

本冊には長短編七つの作品が納められている。「風流仏」、「對髑髏」、「一口剣」、「五重塔」…

歩く魚
1年前
3

題:坂口安吾著 「白痴」を読んで

確かに読める、読めない作家が多い中で確かに最後まで本書は読める。ただ、何篇か読むと、同じ…

歩く魚
1年前
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題:石牟礼道子著 「苦海浄土」を 読んで

本書については、だいぶ以前にテレビで放送していた。読んでみたいと思っていたが売り切れで、入手したのは最近である。無論、本書は水俣病について書いている。こうした本の評価はなかなか難しい。幸い、渡辺京二が「石牟礼道子の世界」と題して、彼女が自身の生い立ちを記述した作品を含めて、彼女の描いた文学世界について的確に言い表している。渡辺京二の主張を簡略化して間違いを恐れずに言えば、彼女は幻想的詩人であり、彼女の個的な感性には共同体的な礎がある。この礎が人間の共同体的なありかたとその向こ