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文学本紹介(海外)

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海外の詩や小説などを紹介しています。
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記事一覧

矢島文夫訳 「ギルガメシュ叙事詩 (付)イシュタルの冥界下り」を読んで

ずっと前に買っていてやっと読めた本である。読んだ感想はやはり叙事詩は良くて、楔形文字が完…

歩く魚
4か月前
9

伊藤整著 「小説の方法」と「小説の認識」と「近代日本人の発想の諸形式」を読んで

半年以上前に読んでいて、感想文を一つ一つ書こうと思ったが、余り思い出すことがない。内容に…

歩く魚
5か月前
11

アインシュタイン著 中村誠太郎・南部陽一・市井三郎訳 「晩年に想う」を読んで

稀に科学本を読むことがある。このアインシュタイン著「晩年に想う」もそうである。彼が量子力…

歩く魚
7か月前
6

ヴィトルド・ゴンブロヴィッチ著 工藤幸雄訳「東欧の文学Ⅵから コスモス」および「…

不思議な小説である。不思議というのはシーニュ(意味しているもの)が言語ではなくて首吊りと…

歩く魚
9か月前
9

題:レーモン・ルーセル著 岡谷公二訳「アフリカの印象」を読んで

少しずつ一ケ月以上かけて小刻みに読んで、読む終えたらこの小説の内容が良く分からなかった。…

歩く魚
1年前
7

題:D.H.ロレンス 伊藤整訳「チャタレイ夫人の恋人」

ずっと前から読もうと思っていて、やっと読むことができた。最初は古臭くてあたりまえの文章で…

歩く魚
1年前
7

ジョー・ブスケ著 谷口清彦・右崎有希訳「傷と出来事」を読んで 

読み始めると、キーになる言葉がでてくる。生と死、出来事。声に光、死者に実存、言語、形象、理念。ロジックにテクスト。そして文章は抒情的な散文で、素敵である。記述方法は箴言に近い断章である。箴言と言っても戒めらしい格言ではなく、思想に近い詩的な文章である。感心して読んでいると、残念なことに記述する文章が上っ面になってくる。抒情的な散文とは素敵ではない、どうでも良いことの定義であり、感想であり、走り書きとなってくる。そして、いつの間にか美しい顔の彼女がでてくる。現実なのか幻想なのか

題:ヘンリー・ジェイムズ著 西川正身訳「デイジ-・ミラー」を読んで 

ヘンリー・ジェイムズの作品は「ねじの回転」を読んでいる。既に、感想文に書いているが、確か…

歩く魚
1年前
3

題:ポー著 佐々木直次郎訳「黒猫・黄金虫」を読んで

白石かずこの詩集「浮遊する母、都市」を読んでいたら、ポーの詩「大鴉」の題名が記載されてい…

歩く魚
2年前
10

題:ゲーテ著 木村直司訳「色彩論」を読んで

ゲーテとは多彩な才能を持つ人であって、本書は科学的な箴言形式の色彩に関する著書である。結…

歩く魚
2年前
16

題:鎧淳訳「マハーバーラタ ナラ王物語 ダマヤンティ姫の数奇な生涯」を読んで

古代インドの長編叙事詩「マハーバーラタ」の中の麗しい愛の物語である。美しい、腰くびれるダ…

歩く魚
2年前
7

題:J.ヴィレット著 片山啓治訳「表現主義」を読んで

表現主義とは何か、知っているようで知らないために読んだ本である。ただ、著者は表現主義に関…

歩く魚
3年前
10

題:マルキ・ド・サド著 澁澤龍彦訳「悪徳の栄え(続)ジュリエットの遍歴」を読んで

ジル・ドゥルーズ著「マゾッホとサド――冷淡なものと残酷なもの」を読んで、サドとマゾはそれ…

歩く魚
3年前
7

題:シュトルム著 関泰祐訳「みずうみ 他四編」を読んで

シュトルムの「みずうみ」、著者と作品はどこかで聞いた記憶があり、読んでみたけれども、内容は単に抒情的な香りがする短編作品である。きっと抒情詩人としてのシュトルムという名が記憶にあったのであろう。それに、ジュリアン・グラックの「アルゴールの城にて」のような本来的な叙情と精緻な詩的文章をイメージしていたために、なぜか頭の中が混乱していて、間違って選択して読んだ本であるに違いない。 「みずうみ」のあらすじは、ラインハルトなる老人が幼友達エリザベートと過ごした愛する日々、帰郷して行