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短い物語をAlexaに話してもらうのはどうだろう。

昨日、90秒程度の掌編小説をAlexaスキルの乗せたら面白そうだな。ということを書きました。

昔に書いた、短めのお話をもっと短くして400字くらいにしてみようと思ったのですが、短いお話を書くのは難しいですね。
Alexaに話してもらうお話を自作するのは、少し時間がかかりそうなので、今日は青空文庫にある物語を例題に、Alexaに話してもらう物語について考えてみたいと思います。

小川未明さんの「みけの ごうがいやさん」を選んでみました。

小川未明さんは、児童文学の父と呼ばれていますが、青空文庫には400以上ものお話が掲載されています。児童文学は短いものが多いので、今回の題材に良いかと思って、お話を探したのですが、2000字くらいのものが多く、400字程度のものを探すのは難しかったです。

その中で、見つけたのは「みけの ごうがいやさん」
文字数は593文字なので、90秒から少し長くなりそうですね。では、お話をみてみましょう。

みけの ごうがいやさん
小川未明

 あかとらが、みけに であって、
「その くびに つけた、ぴかぴかする ものは なんですか。」
と ききました。
「うちの ぼっちゃんが、つけて くれた すずです。」
と、みけが こたえました。
「どれ、あるいて ごらんなさい。」
 みけが あるくと、カラカラ カラと すずが なりました。
「あっはは、ごうがいやさんみたいだ。」
と、あかとらが わらいました。
 みけは はずかしく なりました。
「なんで こんな ものを、つけたのかなあ。」
 みけは かんがえながら おうちへ かえると、ちょうど ねずみが、まどの 上へ ちょろちょろと のぼりました。
 これを みつけた みけは 目を まるく しました。
 ねずみは といを つたって、えだに ついた 赤い かきを たべに きたのです。
「わるい やつだ。」
 みけは へいに のぼりました。カラカラ カラと すずが なりました。
 りこうな ねずみは、ねこの きたのを しると、かくれて しまいました。
 みけは、ざんねんで たまりません。夜まで、じっと まどの 上で、ねずみの でるのを まって いました。
 コロコロ コロと、あちらで すずの 音が します。
「おや、だれだろう。」
と、みけは 月の ひかりで みますと、ねずみが きりの 木へ のぼり、みを ゆすって、ねこを からかったのです。
 みけは あかとらの うちへ いきました。
「あかとらさん、ねずみが ばかに するから、どうぞ この すずを とって ください。」
と たのみました。
 あかとらは そうだろうと いわぬばかりに、
「ニャオ。」
と いって、みけの くびから すずを とって やりました。

青空文庫より
底本:「定本小川未明童話全集 16」講談社
   1978(昭和53)年2月10日第1刷発行
   1982(昭和57)年9月10日第5刷発行
入力:特定非営利活動法人はるかぜ
校正:Juki
2012年7月16日作成

このお話は、ほとんどが「ひらがな」で書かれているので、読んでいても、音で聞くという体験に近いかもしれません。小川未明さんの作品には、童謡や詩もあるのですが、Alexaに語ってもらう作品は、韻をつかった詩や散文のようなものも相性が良いかもしれませんね。

この「みけの ごうがいやさん」は、会話が多いのと、オノマトペが使われているのも特徴です。こういうお話の方が音声出力に合っているような気がするのですが、実際はどうなんでしょうか?

昨日も書きましたが、すでにオーディブルのようなものやキンドル読み上げスキルがあるし、子供用の読み聞かせのスキルなどは、これからどんどん出てくると思います。

私が面白そうだなと思っているのは、90秒程度の制限された時間の中で表現される物語です。会話だけの作品や、オノマトペだけで成立する作品とか、文字だけでは表現できない面白い世界がありそうな予感がしています。






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