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あくまで人間の解釈でそう言ってるだけだけどね。

ふと訪れた場所で出逢った方の言葉に強く共感した話。

❆ ❆ ❆

木に関する展示施設。
平日の午後ということもあり、館内に人は誰もいない。
のんびりと展示を見ていたら、係の人が声を掛けてきた。
「上の階に博士(農学)がいるので呼んできましょうか?」
せっかくの機会なのでお願いすると、味のあるおじさんが気怠そうに降りてきた。

何でも話せます。聞きたいことがあればどうぞ。と言われたので、目の前の展示物について質問してみた。
そしたらもう止まらない。途中質問の隙間もないや。こういう人大好き。

植物の各部の機能・構造・役割や進化の過程について、結局2時間くらい付きっきりで話してくれた。
その要所要所で出てくるフレーズ。この言葉にすごく好感を持った。

「あくまで人間の解釈でそう言ってるだけだけどね。」

☁ ☁ ☁

自然科学の研究は答えのない世界。
今日まで人間が積み上げてきた知識から導かれる合理的な解釈ではあるが、本当の真実は誰にもわからない。

植物が今の姿をしているのは、必然?偶然?
人間が理解しやすい過程を踏んできたのかもしれないが、今の我々では想像も納得もできない突然変異を経ているかもしれない。

だからこそ、それを言い切ることなく、あくまで人間の解釈だということを強調した博士は、人間の小ささ・自然の偉大さを認識しているのかなと感じた。そして、木が好きなんだなと。

まぁ、本人がどういう意図で言っているのかはわからないけどね。


❆ ❆ ❆

人間は、様々なものを理解・説明しようとする。
そうすることで新しい世界が見えるし、できることが増える。
その繰り返しが豊かな世界を創ってきたとも言えるだろう。

だけど、その理解はある人にとっては正しいけど、ある人には別の理解が正しいこともある。そして真実はまた別かもしれない。

まして対象が人間や社会だとしたら、その理解が唯一絶対と言い切ることなんてできないだろう。

自らの成功経験から普遍のルールを見つけたかのように他人に対して強要する人がいる。
一定の条件下での主要因はわかっても、すべてを理解したなんて口が裂けても言えない。

わかったつもりに足元すくわれる。



目の前のものごとに謙虚に向き合っていくしかないよね。

そんな気がする。

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