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“小さな参加”を積み重ね、街の文脈をかたちづくる|「Playable Week 2022」レポート

JR 東日本は、高輪ゲートウェイ駅が3月14日に開業2周年を迎えることを記念して、3月2日から6日にかけて「Playable Week 2022」を開催いたしました。

「Playable Week」は、JR東日本が高輪ゲートウェイ駅周辺で推進する「高輪ゲートウェイシティ(仮称)」が目指す新しいまちづくりを体験していただくイベントです。2024年度末のまちびらきに先駆けて共創パートナーとの活動や実証実験に駅で直接触れていただくことで、「100年先の心豊かなくらしのための実験場」「やってみようが、かなう街」を標榜する未来の街がどのようなものとなるのか、楽しみながら参加者に想起していただくことを目的としています。第2回目となる「Playable Week 2022」は、3年後にまちびらきを控え、前回より具体的に新しい街の試みやその背景をイメージいただけるようなコンテンツをピックアップしました。

高輪ゲートウェイシティ(仮称)が日常の延長にある「駅」という場所で、まちびらき前からイベントを実施する意味は、街の「文脈」と小さな「参加」を積み重ねることにあります。それが実施したイベントコンテンツとどのように繋がっているのかを、前回の「Playable Week」ではご紹介しなかった新たな共創パートナーとの取り組みをピックアップしながら、各担当者の声とともに高輪ゲートウェイシティ(仮称)プロジェクトメンバーの渥美がお伝えします。

渥美佑子
東日本旅客鉄道株式会社 事業創造本部 新事業創造部門 品川くらしづくりユニット(事業計画)。TokyoYard PROJECTで、街のブランディング・プロモーション業務を担当。

駅の中が海に!「XR Sea」体験

「駅の中が海に!『XR Sea』体験」は、XRアプリ「SATCH X powered by STYLY」を起動し、スマートフォンをかざすことで、駅が海のなかにある仮想現実空間を体験できるコンテンツです。かつて海であった場所に立地する高輪ゲートウェイ駅周辺の過去の記憶と現在をXR技術によって重ねあわせ、街の歴史を感じていただきたいという思いから実施しました。

「XR Sea」体験は、KDDI株式会社(以下、KDDI)さまが株式会社Psychic VR Labさまと開発する、5GやVPSなどのXR技術で実在の都市空間にバーチャルコンテンツを重ね合わせる技術によって支えられています。

KDDIさまとは、新たな分散型の働きかた暮らし方を目指した「空間自在プロジェクト」に共に取り組んでおります。ヒト、モノ、資源・エネルギー、情報、テクノロジー、会社──すべてを都市部に集めた拠点集約型の都市づくりではなく、人々の暮らしを中心とした「ヒト起点の分散型のまちづくり」がわたしたちの目指すところです。

JR東日本×KDDI「空間自在プロジェクト」が目指す、「ヒト起点」での分散型まちづくり
https://note.com/tokyoyard/n/n60df82c48e4a

それを実現するために、駅・街・移動の「リアル」と通信の「バーチャル」を融合させ、場所や時間に捉われない、多様な働き方や暮らしを創出する空間や仕組みが重要だと考えています。KDDIさまが培ってきた通信ネットワーク技術は、鉄道事業者であるJR東日本のリアルネットワークだけでは生み出せない、街の新しい価値を生み出すことができる。それが、KDDIさまと協創することとなった背景です。このように取組みを開始したKDDIさまと、「XR Sea」体験では、リアルの駅でXRを活用した新たな体験を提案することをコンセプトとしました。

早川明希
東日本旅客鉄道株式会社 事業創造本部 新事業創造部門 品川くらしづくりユニット(次世代まちづくり創造)。KDDIさまと空間自在プロジェクトを担当。

共創パートナーのKDDIさまと取り組んでいる技術を使って、高輪の海の記憶(過去)と現在を感じてもらうことをコンセプトに今回のコンテンツを企画しました。まちびらきを数年後に控え、こうしたイベントコンテンツとまちびらき後に実装したいものイメージが徐々に近づいてきたと感じます。これからも継続的に接点をつくることで、パートナー・地域住民・来街者のみなさまにとって体験の「変化」を感じて頂くことができ、それによりまちびらき後をさらに楽しみにして頂けたらと考えています。

「防災ヘルプサービス」を活用した避難支援体験

『「防災ヘルプサービス」を活用した避難支援体験』では、株式会社パソナテック(以下、パソナテック)さまが開発する災害時に移動支援が必要な方(要支援者)と地域に住む支援希望者(移動サポーター)をマッチングさせる避難支援システム「防災ヘルプサービス」を活用し、首都直下地震の発生を想定した避難支援の実証実験を実施しました。地域の防災情報に触れ、防災意識を高めることを目的に、近隣にお住まいのお子さまや町会の方にもご参加いただきました。

当日は期間限定で高輪ゲートウェイ駅に設置中の再生可能エネルギー・ワイヤレス給電技術を活用した屋外充電スポット(株式会社ベルデザイン)でスマートフォンの充電体験をいただいたのち、移動サポーター役の方には「防災ヘルプサービス」アプリでマッチングされた要支援者役の方と合流し、避難所まで向かう一連の流れを体験いただきました。

新しい街の安心・安全をかたちづくるにあたって、防災はもっとも重要な観点となります。防災は街のインフラ機能(ハード)だけで解決するものでなく、一人ひとりの防災意識及びそれを支える仕組み(ソフト)と両立してはじめて実現されます。避難訓練というとどうしても義務的なものになりがちですが、今回の避難支援体験のように楽しみながら参加いただき、日常の延長で防災意識を高めるきっかけを多くつくることが非常に重要です。パートナーであるパソナテックさまの知見やアセットを活かしながら、こうした防災活動をまちびらき前から、継続的に実施していきたいと考えています。

大橋 新
東日本旅客鉄道株式会社 事業創造本部 新事業創造部門 品川くらしづくりユニット(事業計画)。
まちびらきに向けた開業準備業務、ICTを活用したサービス検討を担当。

新たに街ができることでひとの流れも新たに生まれるということは、強固で実用性の高い防災ネットワークを、施設のハードやマネジメント、行政との連携だけでなく、地域住民のみなさまの防災意識や共助の仕組みとともに醸成していく必要があります。防災や共助の仕組みを、ICTの力も活用して平時からどのように実装していくべきかを考え、「安心・安全」を、当たり前にあるものにする。それを実現するために、イベントや高輪ゲートウェイシティ(仮称)のまちづくりの日々の取り組みのなかで継続的に種を蒔いていきたいです。

「JAL xR Traveler –青森編-」体験

「JAL xR Traveler –青森編-」体験は、映像や音だけでなく風や香りも駆使し、よりリアルな疑似体験ができる次世代型VRです。日本航空株式会社(以下、JAL)さまとJR東日本が連携し製作した、初の国内版コンテンツである「青森編」を活用し、青森出身のJAL客室乗務員のみなさまに新しい青森の魅力を紹介頂きました。

高輪ゲートウェイシティ(仮称)は、その拠点となる高輪ゲートウェイ駅の駅名が表しているように、羽田空港に近い立地にある品川・高輪周辺地域が海外へのゲートウェイとしての役割を果たし、ビジネスや文化、そして社会課題を解決するための国際交流拠点となることを目標としています。地域に暮らす方々や働く方々が、より多様な価値観やチャンスに囲まれること。また社会課題解決のあり方が地域と世界各地とが相互に活かされること。そうした世界と繋がり、循環し合う街のあり方を探るうえで、JALさまの「空のネットワーク」は重要な意味をもっています。

世界各地に存在する「地域の課題」の解決に貢献したい ドローン・グリーンスローモビリティ実証実験のご報告
https://note.com/tokyoyard/n/n060656bfb25c

JALさまとJR東日本はどちらも交通事業者であり、競合他社という捉え方もできます。しかし、領域を超えてそれぞれの陸路・空路ネットワークというそれぞれの特長を活かし合いながら、新しい街が繋がる無数の都市や地域の豊かなくらしを実現することがなにより重要だと考えています。

樋口健太郎
東日本旅客鉄道株式会社 事業創造本部 新事業創造部門 品川くらしづくりユニット(事業計画)。地域の魅力発信イベントの企画や運営、近隣学校との連携などを担当。

鉄道だけでなく、飛行機など様々な選択が生活のなかにあることが重要だと考えています。駅・鉄道だけで完結するのではなく、ひらかれた場所であること。それがわたしたち[桑原 和希1] の目指すところです。事業領域を超え、かつリアルとデジタルテクノロジーを組み合わせることで、パンデミックというリアルな旅の価値が問われる難局にあるなかでも、地域、ひいては海外の魅力をより手触りのあるかたちで創出していけたらと考えています。

そのほか、「ドローンを身近に!トイドローン体験&実証実験映像放映」「まちづくりをテーマとした未来型ワークショップ」や、継続して実施している「高輪ゲートウェイ駅周辺のまちなみ風景展示」「駅イラストぬりえ会」「高輪ゲートウェイマルシェ」も行われました。

日常の延長にある「駅」で、イベントをやる意味

高輪ゲートウェイシティ(仮称)の大きな特徴として、まちびらきに先駆けて駅が開業しており、そこでパートナーの協業や実証実験などの様々な取り組みがすでに始まっている点があります。とりあえず大きな施設だけ建設して「じゃあ何かやっていきましょう」では、本当に暮らしやすい生活も文化も生まれていきません。

これまで共創パートナーと実施してきた実証実験や取り組みは、法規制のハードルや実現性、課題、地域の方々にとって本当に必要なものか、では何が求められているかなど、様々な「声」を洗い出すことに本質的な意義があります。「開業してから始める」では取り返しがつかないのです。

さらに、こうした実験や「Playable Week 2022」のようなイベントをまちびらきに先駆けて実施する意味は、「街の文脈」を紡いでいくことにあります。

グリーンスローモビリティの実証実験に参加いただいた高齢者の方が、まちびらき後に「あぁ、そういうことだったのか」と、1つ解像度を上げて街を理解していただけるかもしれない。今回のイベントコンテンツに参加いただいた方が、まちびらき後の街のあり方を見て、「目新しい技術/サービス」以上の背景を感じてもらえるかもしれない。そうした街の文脈への参加とその接点づくりが、まちびらき前から実証実験やイベントを実施する大きな意義となります。

日常の延長のなかで小さな参加を継続的に積み重ね、街の文脈づくりをする。「駅」はまちづくりにもイベントにも関心のない方でも集まる、日常や暮らしのなかに組み込まれたひらかれた場所です。そうした意味で、わたしたちにとっての「駅」でのイベントとは、1度限りの大きなイベントをプロモーション的に立ち上げるイベントとは異なる意味合いをもちます。

今回の「Playable Week 2022」は、たまたま駅を通りかかったお客様の参加が事前予約者数を上回っています。こうした日常の延長での参加を少しずつ積み重ねながら、関わっていただく企業や地域、来街者のパートナーを増やしていきたいと考えています。その結果、「Playable Week」が企業パートナーにとどまらない、個人の思いを実現するための多様な実験の場にしていきたいと考えるのです。

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