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八戸グルメの衝撃
先日、初めて青森の八戸(はちのへ)に行ってきた。
「国境の長いトンネルを抜けると雪国であった」と川端康成は言うていたが、トンネルの向こう側が雪国なのは何も湯沢ばかりではない。
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暖冬といわれる関東を背に、しんとした静けさを抱く東北の地へ。
八戸駅に降りたつとレンタカーを借りた。ここでは車種以前に「4WD」がいいか「2WD」がいいかを訊かれる。もちろん前者だ。慣れない雪道を前にケチることはできない。
はじめに訪れたのは蕪島(かぶしま)神社。地元の人が大切にしている場所をまず訪れた。そういうと聞こえがいいが、実際にはGoogleレビューで「八戸で一番の観光地」という書き込みを偶然見つけたのがキッカケだ。
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この日、東京の最高気温が17.2℃を記録する中、
八戸市の最高気温は1.6℃。最低気温は-3.4℃だ。
風が冷たすぎて痛い。寒いを通り越して痛い。寒さに慣れていない僕はアラスカへの冒険を始めるエスキモーになった気分で硬直していた。いや、エスキモーならこんなに硬直しないか。観光客も誰もいない。
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写真を触るとその時の温度が伝わる機能があれば良かったが、この極寒さが1ミリも伝わらないのが残念だ。
蕪島を離れて市街地へ行くも、ほとんど人が歩いていない。いや、この寒さなら家から出ないのが当たり前か。
とにかくまずは飯を食べようと思い、
蕪嶋神社の案内所で知った「八食センター」へ向かった。
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いかにも地元感漂う、気負いもてらいもない庶民的な市場の雰囲気だ。
そうして何気なく入ってみると、そこに飛び込んできた活気のある風景に驚いた。
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先が見えないほど続く商店の連なりに
祭りでもあるかの如く、大勢の人が往来する。
市場に並ぶ魚介類もまたインパクトが絶大だ。
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ただ並んでいるものを見ているだけでワクワクが止まらない。お店の人たちもすごく優しくて、いろいろ丁寧に教えてくれる。
さらに驚いたのはこれだ。
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なんと、市場で買ったばかりの食材を、すぐに七輪で焼けるというのだ。
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なんという活気的なシステム!2時間で400円払えば、これが使えるのだから、もはや愛でしかない。
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いろいろ具材を取り揃えて焼いていく。
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その場で僕が思わず漏らしてしまった感想を言おう。
こ、こんなに美味い食材が世の中にあったのか!!!
蕪嶋神社での凍てつく寒さもあったせいか、
新鮮な海産物の食材が美味すぎて悶絶してしまった。
友人も同じような感想だったから、決して僕だけが大袈裟なわけではない。ありとあらゆるものを焼いて食べたくなる。ハズレがない。どれもずば抜けて美味しい。
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いろんなものが加工されて提供される時代に、
これだけ生の命を食している実感は久しぶりだった。
そうだ、僕らは命を喰らって生きているのだ。
それにしても、こんなに美味いものがあるなんて。
「八戸の皆さん、どうしてこんな美味しいグルメスポットがあるのを今まで黙っていたんですか!!」
と声を大にして言いたくなったが、実際はわりと有名な場所らしい。
でも観光客以上に地元の人に愛されている感が強かった。
それもまた良かった。お惣菜だってめちゃめちゃ美味い。
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もちろん、りんごの有名な青森県。
アップルパイもまた格別に美味い。
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アツアツがたまらない。
正直なことを白状すると、蕪島神社でエスキモーのように硬直していた時分には「ここには住める自信がないな」と半ば引いていた。
しかし、もはやそのセリフを全撤回し、「しばらく八戸に泊まって、ここに毎日通いたい」と本気で思った。
市内には「八戸市美術館」というとても素敵な美術館もあった。以前この建築を手掛けた人の個展をみて、一度訪れたいと思っていた場所は予想以上に良かった。
訪れた人に楽しんでもらいたいという気持ちの伝わる図書館だった。
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自然が厳しいからか、八戸の人はみんな優しい感じがした。一歩外に出て車を走らせてみたら、もうこんな感じだ。
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ギャップがすごい。久々につららを見た。
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あまりに珍しかったので泊まったホテルの部屋に持って帰った。ホテルの従業員に笑われた。「あ、この人、つららビギナーね」と言わんばかりの半笑いだった。
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夜はねぶたのお祭りみたいな催しを見て、温泉に浸かったが、昼に訪れた「八食センター」の衝撃がずっと頭から離れなかった。
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朝起きたら、車に雪が10cmくらい積もっていた。「4WDにしておいて本当に良かった」と思える朝だった。
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帰りにまた「八食センター」に行ったことは言うまでもない。
いや、もちろん、他にも八戸にはたくさん美味しい店があるだろう。だとしとも今回は「八食センター」がいい。
みなさんもいつか機会があれば、是非、八食センター行ってみてくださいね。もはや「八食センター」の推し活みたいな記事になりましたが、今回はそれでもいいやと思えるほどの感動でした。
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