「ドキュメント」にまとめよう。|アートプロジェクトの運営をひらく、○○のことば
アートプロジェクトの運営にまつわる「ことば」を取り上げ、現場の運営を支えるために必要な視点を紹介する動画シリーズ「アートプロジェクトの運営をひらく、○○のことば。」から、「ドキュメント」を公開しました!
この動画では、東京アートポイント計画で、アートプロジェクトの中間支援に携わる専門スタッフ(プログラムオフィサー)が、『東京アートポイント計画が、アートプロジェクトを運営する「事務局」と話すときのことば。の本 <増補版>』(略して「ことば本」)から「ことば」を選んで、紹介しています。
2022年7月には、7本の動画を公開しましたが、今回の続編と合わせて14本の動画シリーズとなりました。この記事で取り上げる「ドキュメント」について、ことば本では以下のように書かれています。
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ドキュメント:誰に、何を伝えたいのか、考える
プロジェクトのドキュメント制作に取りかかることができるのは、「第 3 コーナー」からだ。これらの作業は、プロジェクトの目的の再確認や活動の検証作業の入口となりうる。記録集、報告書、写真集などのドキュメントは、ステークホルダーやプロジェクトへ参加しなかった人へ、その価値を伝えるメディアとなる。誰に、何を伝えたいのかを考えつつ、ドキュメントを制作する目的や方向性を確認する。冊子、PDF データ、DVD など、どのメディアを選択するか。適切なボリュームはどれくらいか。目的を確認し、編集方針を固めることで、細部も決めやすくなる。それによって編集者やデザイナーなど、ともに仕事を進めるメンバーとのやりとりもスムーズになるだろう。
ドキュメントを届ける方法も重要だ。関係者への郵送、活動拠点での配布、出版など、これらの方法次第で判型や部数も変わる。たとえ出版社が関わらずとも、値段を付けて自分たちの手で流通させることもできる。図書館へ寄贈すれば、後世の誰かが手に取る可能性も広がるだろう。
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アートプロジェクトが終わった後に、現場でどんなことがあったのかを伝えるためのドキュメントづくり。『アートプロジェクトの現場で使える27の技術』には、27番目の技術として「ドキュメントを編集する」が収録されています。
多様な手法を用いて現場がつくられるように、おのずとドキュメントのかたちもさまざまなものになります。Tokyo Art Research Labのウェブサイト、「資料室」のページでは、アートプロジェクトの現場から生まれた278の資料を公開しています(2023年1月現在)。ウェブサイト、コンセプトブック、定期刊行物、年史、広報物、教材・ツール、映像、記録集、音といったメディアや、活動にまつわるキーワードから資料を選ぶことができます。ぜひ、みなさんのドキュメントづくりのヒントにご活用ください!
ドキュメントづくりは活動の報告だけにとどまらず、アートプロジェクトの新たな考え方ややりかたを提案するきっかけにもなります。動画のなかでは「つくりかた」に焦点をあわせた、以下のドキュメントを紹介しました。
動画ではドキュメントを図書館等に渡すという選択肢にも触れました。資料の寄贈にあたっては各館の収集方針などがあるので、事前に確認のうえ、進めていくのがいいかと思います。また、国立国会図書館には「納本制度」があり、国内で発行したドキュメントの収集を行っています。ぜひ、こちらも確認してみてください。
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ドキュメントを残すことは、現場に参加できなかった人たちにも、そこで生まれた価値を共有する大事な取り組みです。顔が見える関係を丁寧に紡ぐアートプロジェクトだからこそ、ドキュメントづくりは、より多くの人たちに活動の成果をひらくためにも必要になるのだと思います。
(佐藤李青)
▼ Tokyo Art Research Lab「アートプロジェクトの運営をひらく、○○のことば」の再生リストは、以下のリンク先からご覧いただけます。