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つなぐハコへの願い(東京ミズマチの配信を終えて)

ハコマチ編集後記「東京ミズマチ」〜#003/004〜

2020年夏、開業したその施設は、地域還元を達成しうるのだろうか。


東武グループは、2012年5月に華々しく開業したスカイツリータウンソラマチの開発で、”地元”を巻き込むことに失敗した。
観光地として、事業としては一定の成功をしていたものの、やはりランドマーク型にすぎないその施設は、リピーターの少なさ、”地元”に巻き込んだ開発はなし得なかった。

下町にあって、ソラマチにないもの。それを徹底的に考え抜いたのだろうか。
下町の要素とは自然発生するコミュニティと共有の文化。それらをいかに形成していくか。それはこの施設だけでなし得るものなのか。
答えはもちろんそうではないということだ。下町からスカイツリーへと続く東京の歴史を射程におき、地域を巻き込む。それは縦と横とを活用するということだ。
シタマチとソラマチとをつなぐmedium(媒介物)としての役割を与えられた東京ミズマチ。東京は水の都であるという再確認と、シタマチ・ソラマチ・ミズマチと調子をつけたのであろう。
そのような思い、課せられた役割から、「ディスティネーション型水辺空間」というコンセプトが生まれるのも納得できる。水辺の空間としての環境を活かし、暮らしの目的地、暮らすように旅ができる場所としての要素を取り込む。
そこでは新しさと地元性とのバランスが考えられ、
①下町とソラマチとをつなぐ
②職人と人とのであいをつなぐ
③暮らしと旅とをつなぐことを達成するために、回遊性をあげ、滞在時間を伸ばし、地域に還元できるのだ。このサイクルは特に、公園と川があることで完成するこのハコの形状からも言えうるだろう。
公園と川の回遊路として、両側面に入り口を設ける構造にしている部分からも、つなぎの役割を果たしている。

ここで、私達が「つなぐ」要素の高いハコだと結論づけた「ウォーターズ竹芝」と比較したい。(ApplePodcast,Spotify,noteでも随時投稿しているので、気になる方はリンクへお願いします。)
竹芝は都内と空港を、暮らしと勤めとをつなげている。
ミズマチは下町とソラマチを、暮らしと旅をつなげている。

竹芝は、ウォーターフロントで今後駅ビルにとなる可能性がある。
ミズマチは、川岸(特に対岸)の活用、様々な価値を生み出す可能性がある。

その違いはなにがあるのか。竹芝だけを訪れた時にはわからなかったが、自身の仮説として立証していきたいと思っているものがある。
それは、竹芝は、劇場を中心に楽しむ要素と水辺の駅ビルとしての要素がある。共通して言えることは、ワンストップ型を意図したハコであるということだ。
一方、ミズマチは浅草とソラマチをつなぐ役割や水辺と地域をつなぐなど、基本的にとまり木型といえる性質をもったハコである。それは、今後フローの空間となる可能性をもったハコだということだ。

この形こそ、突き詰めるとオープンなハコとして、これからの時代適した形での”使い勝手の良さ”を体現できるのであろう。それが地域還元への道筋である。 (K.T)

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