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書評

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#芥川龍之介

芥川龍之介『葱』の感想

芥川龍之介『葱』の感想

久々に芥川の全集(筑摩書房)を開いて短編を1つ読んだのでその感想を書いていこうと思う。

今回読んだのは『葱』という短編だ。タイトルを聞いたことがなかったのでそこまで有名ではないのかもしれない。

内容はあるカフェで給仕をしているお君さんという女の子がちょっとチャラい感じの田中という男とデートする話である。お君さんの年齢は15~16歳。ちょっとだけ夢見がちな女の子で、文学や音楽などの芸術鑑賞により

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芥川龍之介『妖婆』の感想

芥川龍之介『妖婆』の感想

芥川龍之介作の『妖婆』を読んだ。

芥川の作品にしては比較的長い作品となっており読むのに結構時間がかかった。大まかな内容としては互いに好き同士だった主人と女中がいて、その仲がお婆さんに邪魔され引き裂かれるのを何とかするというものとなっている。

この作品は芥川の作品には珍しくハッピーエンドで終わる。女中の方がおばあさんの謎能力と威圧によって家に囚われてしまうけど結局おばあさんが雷に打たれ死ぬという

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【書評】中村真一郎『芥川龍之介の世界』

中村真一郎の『芥川龍之介の世界』という芥川の批評本を読み終わったのでその感想を書いていこうと思う。

早速だがこの本はすごい。批評であるのに1つの文学作品になっている。1つ1つの節にしっかり内容が詰まっていて読み心地がいい。

さらに言うなら芥川龍之介のことを非常によくわかってると感じる(自分よりもとても深く)。著者は1918年生まれでもう亡くなっているが、まるで同士に合ったような気分にさせられる

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芥川龍之介『戯作三昧』感想

芥川龍之介『戯作三昧』感想

最近芥川龍之介の作品を読んでいなかったのだが、『芥川龍之介の世界』という本に影響されて久々に読みたくなった。そのため『戯作三昧』という芥川の作品を読んだのでその感想を書いていく。

この作品は江戸時代の戯作家・曲亭馬琴(滝沢馬琴)の物書きとして感じている心情を全般的に描いた内容となっている。重い作風ではなく芥川の作品の中では割と軽く読める。

まず馬琴が銭湯へ行くところから始まるのだが、そこで自分

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