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芥川龍之介『妖婆』の感想

芥川龍之介作の『妖婆』を読んだ。

芥川の作品にしては比較的長い作品となっており読むのに結構時間がかかった。大まかな内容としては互いに好き同士だった主人と女中がいて、その仲がお婆さんに邪魔され引き裂かれるのを何とかするというものとなっている。

この作品は芥川の作品には珍しくハッピーエンドで終わる。女中の方がおばあさんの謎能力と威圧によって家に囚われてしまうけど結局おばあさんが雷に打たれ死ぬというラストで2人は結ばれる。芥川にしてはなんとも珍しい終わり方だ。

あとこの作品は普通にホラーとして面白いと思った。芥川の作品はどちらかというと話の筋はそこまで面白くないことが多く、作品のラストなどで意味深なテーマが提示されて終わることが多い。今回の作品はそう言った意味深な要素はなかったけど話の筋そのものが面白かった。

結構ジョジョ4部っぽさがあるように感じた。日常にいるスタンド使いに苦労させられる感じがものすごく近い。おばあさんの陰湿なやり方自体が荒木飛呂彦っぽかった。芥川からこんな作品が出てくるのは正直予想外だった。

ただこの作品に意味深な要素がないとは言いつつも主人の視点で語られるのではなく名前が出ていない語り手の視点で語られているというのは意味深だと思う。語り手がいるからこそ脚色している可能性もあるわけで丁寧に読んでいくと矛盾点などがありその語り手の作為や嘘がわかったりする可能性もある。あくまでもかもしれないということなので実際はわからないけど。

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