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心理カウンセラー徒然日記 ―四連休映画鑑賞第三弾:カーズ―

こんばんは、心太です。

「落ち着け、集中。…スピード。そう、ぼくは早い。」
暗いガレージカーの中、彼はそうつぶやく。
自信ありげな態度も、おどけながらキャッチフレーズを繰り返すのも、自分を奮い立たせるための武装なのかもしれない。
勝たなければ、誰よりも速く走れなければ。
そうしなければ、自分には、人生には価値がない。

急に始まりました。
今回は、四連休映画鑑賞企画の第三弾です。
4連休もあと1日になってしまいましたねえ…。

三作品目はディズニー・ピクサーより、【カーズ】です。
ジャンルは…、なんだろう。
アクション?ヒューマン?…ヒューマン?

いつものように、本記事では作中のセリフを扱ったりするので、少しでもネタバレは見たくない!という方はブラウザバックでお願いします。

では、行ってみましょう!

【カーズ】のあらまし

毎度おなじみ、AmazonPrimeの紹介文コーナーです。
めちゃくちゃシンプルな紹介文でした(笑)
そのまま引用します。

感動のストーリー、楽しいキャラクター、抜群のスピード感が満載!個性あふれるクルマたちの友情と冒険の感動作!

今回の作品は、人間は一切登場しません
それどころか、いわゆる動物は一度も出演しません。

題名そのままですが、しゃべり、考え、感じるクルマたちの物語です。
あー大丈夫大丈夫。
車に興味がなくても、車種なんか知らなくても楽しむことができます。

主人公は新人レーサー(レースカー)のマックィーン。
冒頭のつぶやきの彼ですね。

マックィーンは、シーズンの優勝カップをかけた試合に向かう道すがら、輸送用の車(ガレージカー)から落っことされてしまいます。
なんやかんやあって、迷い込んだのは“ラジエータースプリングス”という名の田舎町。
高速道路の建設により、使われなくなってしまった道にある、さびれた宿場町が物語の舞台です。

それまで、レース一色だったマックィーンは、初めてレース以外のことと向き合わざるを得なくなります。

“スピード”

人(クルマ)生で充足する方法は、レースでの勝利の一つだけなのでしょうか。


【カーズ】の着眼ポイント

主人公のマックィーンは、新人天才レーサーです。
レースカーとして生を受けた彼はおそらく、これまでレースの世界の中でしか生きてこなかったのかもしれません。

そんな彼にとって価値があるのは、スピード、勝利、ピカピカのボディに周囲からの称賛、そしてそれらを支えるスポンサーとの契約でした。
ちょっとした手違いで迷い込んだラジエータースプリングスには、それまでの車生では関わったことのないクルマたちがいました。

ラジエータースプリングスで過ごし、様々なクルマたちと関わる中でマックィーンは、他者を信じること、友情を感じること、など今まで触れてこなかったことに触れ、自分の世界を拡げていきます
もしかしたら、速く走れる、という能力無しで自分を認めてもらったのも初めてなのかもしれませんね。

そんな、マックィーンの新しい経験と成長、変化が見どころの作品です。

余談ですが、作中でマックインが「カッチャーウ!」と良く言っていて、どういう意味なんだろう?と思って観ていました。
Catch up!(ついておいで!)(オレについて来い!)的な意味かなあと思っていたけど
カチャウ(ka-chow)という、雷の音を表現する言葉がそのままあるみたいでした(笑)
日本語でいうと、ピカッ、とかそういう擬音らしいです。

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心太はどう感じたか

着眼ポイントでも書いたように、本作は異なる価値観の他者との接触と、自己の価値観の変化が軸になっていると鑑賞しました。
特に、マックィーンに(そして私に)インパクトを与えたシーンを2つ紹介します。

Scene1.
メーター:「錆びてたら、いけないのか?」

メーターというのは、ラジエータースプリングスに暮らす、レッカー車です。
ちょっとおバカで、錆びだらけ、おまけにボンネットがなく、エンジンが丸見えになっています。
マックィーンは、錆びているクルマたちのことを一様に見下し続けてきましたが、上のセリフを受け慌てて応えます、

マックィーン:「君のことじゃないよ、他の古い車のこと。君のことは、好きだ。」

ひとの(クルマの)持つ多面性を、こころで理解できた瞬間なのではないかなと思いました。
錆びている、という一面で相手を判断するのではなく、相手の持つ様々な要素と向き合うことを覚えたからこそ、同じ錆びている車でも“他の古い車”と“メーター”を区別できたのですね。

きっとそのうち、“他の古い車”の中でも、それぞれのクルマの区別がどんどんつき、マックィーンの世界はより広がっていくんでしょうね。
カテゴリーでものごとを分けることは、情報を整理する上では非常に有益な概念ですが、個人の情報を殺します
これからも、先入観に捕らわれず、ひとや物事と向き合っていきたいものです。

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Scene2.
サリー:「確かに華やかな生活を送ってた。ただ幸せは、…なかった」
サリー:「車は楽しみに行くために走っていたんじゃなくて、楽しみながら走っていたの」

ラジエータースプリングスで出会った、田舎町には珍しいらしい高級車(ポルシェ)のセリフです。
クルマにとっては走ることはきっと生きることそのものですよね。

とかく我々は前頭葉が大きく発達し過ぎたせいで、考え過ぎてしまう傾向があります。
人生の意味とは?
生きることにどんな意味があるのか?

なにか意味を与えたくなるのもまた人情でしょう。
ですが、目標(意味)に向かってただ走るのではなく、ただそのときそのときを楽しむ、そんな生き方も一つの本質なのかもしれないなあ、と感じました。

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価値を感じるものはひとそれぞれですし、それは当人の自由です。
きっとみなさんそれぞれ価値を感じるものを集めていることと思います。

時々、ひとの感じる価値にケチをつける人がいます。
「使うとこないだろう」
「暇だなあ」
「そんなことやってなんになるの?」
「もっとやるべきことあるんじゃない?」

うるせえ黙れ

この一言です。いや二言か。
人生の命題の一つは自分が“楽しい”、“面白い”と感じること集めだと考えます。

誰かにとって、ただの石ころであっても、自分にとっては宝石に見えることもあるでしょう。
当然逆もあり得ます。
「自分にとってこれは石ころだ」、という自己理解はとても重要です。
私にも興味を持てないものはありますし、世間一般で価値があると思わている(だろう)ものが、自分自身にとっては無価値に思えることもあります。
しかし、それを実際に押し付けるのは無粋以外のなにものでもありません

いつか私にも終わりのときがきます。
そのときに、こころの中を宝石でジャラジャラいわせていたいのです。
願わくば、おじいちゃんになっても道に転がる宝石を見つけ出せるような人生を歩めたら、そんなに幸福なことはないと思っています。

一応、区分けとしてはキッズ向けの作品ではありますが、大人でも十分に楽しめる作品だと感じました。
勧めてくれた人には改めてお礼を言いたい。
ありがとう、そしてありがとう。

最後になりましたが、
とりあえず、グイド可愛い

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では、また。


心太


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