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マナバナイトをマナバナイト


こんにちは。営業一部のサクライと申します。出版広告およびBookCellarの営業を担当しています。私は昨年の4月に新卒社員として入社いたしまして、右往左往しながら奮闘中であります。

なお、営業一部とBookCellarについては以下の記事からご覧になれます。


今回の記事では、私を含めた若手社員を中心に行っている社内勉強会について書いてみたいと思います。

「みんなでマナバナイト」とは?

マナバナイトとは、過去の記事で少し紹介したことがありますが、若手社員中心となって定期的に行っている社内勉強会です。

https://note.com/tokoai/n/na78b33cef87f

テーマは、出版広告に関することから、GoogleアナリティクスといったWeb関係のことまで多岐にわたります。もともとはWeb系の勉強会として発足しましたが、昨年の9月からは少し裾野を広げて、Webに限らず少しでも仕事の役に立ちそうなテーマなら何でもOK!ということで、毎回ざっくばらんに様々な発表がされています。

また、普段の業務ではなかなか接点がない社員同士の交流の場としても機能しております。営業職・企画職・デザイナー・エンジニアなど、部署・職種の垣根を超えて共にワークを行っています。

ルール

マナバナイトの決まりごととしては以下の2つです。
①形式は3種類の中から選択

1. 読書会
2.ワークショップ
3.レクチャー

②参加者に手を動かしてもらう(考えてもらう)時間を最低1回はつくる(宿題形式も可)

メンバーが発表したいテーマに応じて、発表形式を自由に選んでいます。


最近の発表例

マナバナイトは2週間に1回のペースで実施しています。(2023年1月現在)
ここでは最近実施した回の詳細についてピックアップしたものをご紹介します。

千葉雅也『勉強の哲学』読書会


哲学者の千葉雅也さんの『勉強の哲学』(文藝春秋、2017年)を通して、「深く」勉強するとはどういうことかについてメンバーで考えました。
この回では、

  1. 「深く」勉強するとは 

  2. どうやって勉強するテーマを見つけるか

この2点を発表者に取り上げてもらいました。

発表で使用したスライド

千葉さんによると、「深く」勉強する目的は「これまでの環境の「ノリ」から自由になること」であり、これまでとは違うバカになることです。「ノリ」とは環境のコードのことです。自分が今いる環境から完全に抜け出すことは不可能ですが、「ツッコミ」と「ボケ」の2つの思考法によって、環境のコードを転覆させ、居ながらにして環境と距離を取ることが可能になります。

この回における白眉は、欲望年表をつくるワークでした。欲望年表とは、「自分が何を欲望してきたか」の年表で、自分がこれまでどのように他者から影響を受けてきたのかを振り返ります。

欲望年表の書き方の例としては、(1)生まれた年から始めて、入学卒業・就職の年を大きな区切りとして、(2)自分のいまの仕事や興味に繋がるポイントなどをおもいつくままに書き込んでいき、(3)その背景になっていると自分で思う出来事・人物などの名前を書き込んでいく…というプロセスです。

欲望年表は、メインとサブの2つに分かれています。メインの欲望年表は上記のプロセスで行いますが、もう一つサブの欲望年表があります。こちらは、自分の現状につながっているのかどうかわからないけれど、振り返って思い出される、妙にこだわっていたことや印象深いことを書き込みます。

ワーク(手を動かす)のコーナー


僭越ながら、サクライもこのワークを通して自分の短い人生を振り返ってみました。ドングリを拾って食べていた5歳の頃のことや鉱物の原石(フローライトやアメジストなど)を収集していた小学生のころ、詩について書いた卒論のことなどが目まぐるしく頭の中で追想されました。
共通している点を見いだすとすれば、小さなモノや断片的なモノに対して関心を抱いているということでしょうか。欲望という切り口で自分を振り返ってみると、案外気づきがあるものですね。

余談になりますが、先日購入した『賢治と鉱物』(工作舎、2011年)は大変美しい本でした。流麗な宮沢賢治の詩句と鉱物の図鑑が一体になっており、ページをめくる度にうっとりします。
加速していく時代に対して、紙の本は体感する時間を遅らせるような効用があるので、本ってやっぱり素晴らしいですね。

欲望年表:千葉雅也の例

その他の最近の発表例ですと、今年の7月に完全移行予定のGoogleアナリティクス4(GA4)の用語や計測の仕方をメンバーで学ぶレクチャー回や、メンバーそれぞれの好きな本屋さん・ブックカフェを紹介し合うワークショップ回などを実施しました。

他にも、ゲスト回と称して、積極的に社内外のゲスト講師をお招きして、出版業界・広告業界への理解を深めています。


今後の展開

勉強会は、あまりハードルを高く設定せずに、緩くても続けていくことが大切なのだろうなと思っています。サクライ含めた新卒で運営しているマナバナイトは毎回試行錯誤しながら、どうにか続けてこられています。
変革期を迎えている出版業界のトレンドを逃さずキャッチし続けていくためにも、無理なく続けていくことで、出版社さまに還元していければと思っています。

おわりに

まだまだご紹介したい事がつきないのですが、そろそろ記事を終えたいと思います。
結びに代えて、最近読んで印象に残った一節を引用します。

本を読んでいるとき、かりに両親が本に描かれた地域に出かけてもいいと言ってくれたら、私は真実の探求にむけて計りしれない一歩を踏み出すような気がしたであろう。というのも、人は、つねにおのが心の虜であると感じてはいるが、じっと牢獄につながれているわけではないからだ。むしろ心とともに心を越え、外界に到達すべく懸命に不断の跳躍を試みているものの、いつも自分のまわりに外界の反響ではなく内心の震えの余波にほかならない同一の響きを聞きつけ、いわば意気消沈しているのである。

『失われた時を求めて1』プルースト・吉川一義訳、P199、岩波書店

最後までお付き合いいただきありがとうございました。次回の投稿もお楽しみに!


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