PM転職時の給与(減給)、お金と仕事について考えてみた

はじめまして。都内の外資系スタートアップでプロダクトマネージャーをしているtokoといいます。

突然ですが、最近転職活動をしていて、こんなことがありました。

先方にも気に入っていただいて、僕も興味がある!だけど条件交渉になったら給与などの条件が合わない、、、

んーーーー、、、お互い気持ちがあるだけに悩ましいですよね。。。

そもそもエージェントにもらったレジュメの給与条件見て、スクリーニングしてから応募しているのに話違うな、、というのはさておき笑。こういったケースって結構あるんじゃないかと思い自分の頭を整理するために文字起こししてみようと思います。



どういう状況か?(転職動機)

そもそもどういう状況でそうなったん?という話です。

(転職の経緯みたいな部分なので本題とはあんま関係ないかも。あくまで僕個人の私見なのであしからず。)


僕は外資系スタートアップで働いているのですが、ざっくり以下のようなストレスがあり、不要なしがらみの少ない場所で働きたいと考え始め、国内のスタートアップへの転職を考えるようになりました。


  1. グローバル(GHQ)チームが各リージョンの要件をサポートできていない

GHQが共通システムを開発してリージョンにロールアウトして使える状態にする、これが素敵な状態だとおもいます。ですが、現実によくあるのはグローバルも本国のマーケットデマンドを最優先で対応します。もしくは、そのマーケットの需要から考えた機能を中心に開発をします。その結果、リージョンの需要とあってない、リージョンをサポートするリソースが足りない、やりとりでコミュニケーションエラーがある、などなどの問題により適切なサポートができない状況が発生します。


2. リージョンが独自にソリューション/システム開発を始める

当然、各リージョンにはそれぞれPLや事業目標があります。そのため、グローバルのサポートスピードじゃ話にならねー!となり、独自にベンダーと交渉したり、3rd party製品選定してローカルのマーケットデマンドを満たすべく独自アプリなど開発を始めます。


3. システム仕様やアーキテクチャが国ごとに異なる状態ができあがる

みんながみんなの思う正しいことを必要に迫られて進めた結果、いろいろなシステムができます。そしてみんな仕様が違うので、グローバルは限られたリソースで各リージョンを適切にサポートする、ということがより困難になります。


4. コアプロダクトの開発はだいたいグローバルでやってて、なんだかんだサポートしてもらう必要がある

しかし、いくらローカルでアプリをつくっても、コアAPIやバックエンドシステムなどはグローバルで共通基盤を使っていたりすることが多いです。マイクロサービス化してたりすると特に会員基盤やコアのデータPFなどは本国で開発していることがほとんどだと思います。そのため、ローカルで何か機能実装したいときに、グローバルに都度リクエストをだしてAPIの改修をしてもらう必要ある、といったことが結構起きます。


5. グローバルは自分のロードマップがあるのですぐに対応してくれない

上記のサイクルを経て、1番に戻ってきます。因果ですね、、、。

ぶっちゃけ、どうなってんだって感じなんですが、グロース期ってどうしても部分最適で突っ走る必要があるんですよね。Quick & Dirtyが悪いといっているのではありません。むしろ、それでいいことって現実のビジネスでは結構あると思ってます。プロダクトのライフサイクルもビジネスが当たるかどうかで大きく左右されますし、そんなの誰も正確に予測できないのでROIを考えるとパーフェクションよりスピードというのは合理的な判断だと思います。ただ、自分たちのチームでロードマップを作って、色々やってくぞ!っていう時に、こういった状況にはまってしまうと開発スピードを上げきれなかったり、グローバルとの調整業務が増えたりして、テンションを維持するのがキツくなってきます。

そして、チームのために!と奮闘してがんばりますが、、プロジェクトがひと段落したりふとした時に、

ん??気づいたら、調整業務の方が多くなってない???これでいんだっけ???てか、Blocker多すぎ、、

みたいな気持ちになってきます。こうしてもっと自分たちで意思決定して進められるスモールチームで働きたい、と考えるようになったりします。



転職時に減給が起こりやすい?ケース(給与ギャップの発生)

で、転職時の減給の話が出てきます。

めちゃめちゃ給与もらっているわけではなくても、外資系とかメガベンチャーとかで働いている人は、なんだかんだ給与水準が高いと思います。

そういう人が、もっと自由にやりたいぜ!ってなって、国内のスタートアップ企業行きたいな、とかなると条件が合わないケースが起きます。もちろんポジションとかにもよりますし、超実力ある人であればまじで関係ないと思います。

あくまで一般論ですが、日本のスタートアップ界隈のプロダクトマネージャーの給料は海外のスタートアップと比べてまだまだ低いと思います。国内のスタートアップで働きたくても、経済的な条件が合わず、外資にいってるひとも一定数いるとおもいます。いいとか悪いとかではなく。

僕も今まで転職で給与が下がる、ということがなかったので今回が初めて転職で減給?というトピックに直面しました。


プロダクトマネージャーの給与

日本のPMの給与水準も上がってきている、スタートアップの給与水準も今は悪くない、という話を聞いてたので、鵜呑みにしていましたが、どうもそんなこともなさそうだなと今回実感しました。参考までに、Glassdoorで日本とアメリカのプロダクトマネージャーの平均給与を見てみました。

このデータだけ見てどうこういうつもりはないのですが、感覚的にあってる気がします。まあやっぱだいたいそういう感じですよね、と思いました。

PMの人口が相対的に少ないであろう日本ですが、そもそも日本の平均賃金自体が国際的にみて低調ということを考えると、もはやPMどうこうの話というよりは、日本経済の構造的な課題の結果と思います。

Japan:

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United states:

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引用リンク:Glassdoor


さらに余談ですがOpenSalaryでエンジニアの給与もみてみました。以下はエンタープライズやメガベンチャーではありますが、外資系の方が高い印象です。しかも結構な差がありそうですね。なんか悲しい気持ちになりました。やる気あるんでしょうか。

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PM転職で給与が下がる場合の考え方

今回日本のスタートアップを中心に色々インタビュー受けさせていただき、働きたい会社がたくさんありました。一方で条件が合わない会社もたくさんありました。大前提として、僕の経験・実力不足もありますが、上場前のスタートアップの場合、経済条件などかなりシビアなことも多いです。

SOなどロングタームインセンティブも、ある程度のフェーズでジョインするとあまり期待はできないと思います。

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引用リンク:ストックオプションで億万長者になれる?平均相場でいくら儲かるか調べてみた

自分の考えを整理するために、減給額を支出と捉えて、そのコストを支払ってでも得たい経験があるのかどうか?と考えてみました。


次のような経済条件の変化を伴うケースを考えてみます

現職の収入 - 転職後の収入 = 差分
1100万円 - 1000万円 = 100万円(下がる)

上記サンプルに対して以下の質問に回答します

・差分金額を支払ってでも、その会社で働きたいか?得たい経験、実現したいことがあるか?
・それに対してどれだけ情熱があり、その動機の根源を理解しているか?
・それを実現するまでにかかる期間を何年間と考えているのか?
・例えば3年と見た場合、その期間トータル金額を許容できるか?
・入社後、なんらかの理由により目標達成が困難だと判断した場合、Pivot可能か(複数の目的、コト、動機付けができるか)?
・目的を実現できたとして、その時の自分はどういった状態(State)になることを期待しているのか?(感情、得たい経験、役職、チーム状況などなど)
・その会社を辞める時、どういうキャリアに進みたいのか?
・その次のキャリアに求めることは何か?
・その時自分は何歳になっているのか?



その上で現在の状況を振り返ってみます

・あなたが実現したいことは、本当に今の環境では実現できないのか?
・その理由は明確に深掘りできているか?(5Why, 2nd order thinking etc)
・それを実現するために具体的な取り組み(Try)をどれだけしたか?
・今回の選択肢以外に別のパスはないのか?他社、副業•兼業、独立などは検討したか?




まとめ

”お金で買えない価値がある、買えるものはマスターカードで”というキャッチコピーがありますが、経験や時間はそう言ったものです。

僕にとっての仕事に於けるお金で買えない価値とは、誰とどう時間をすごし、何を経験/体験し、実現/失敗するか、それに尽きます。

そう言った過程の中で得た学びによって成長を感じ、今までできなかったことがいつの間にかできるようになり、次の新しいことに挑戦してきました。

転職のプロセスも、現職の不満や新しい挑戦への渇望から始まり、自分のPainやNorthStarについて考え、求められる要件をクリアにし、その課題をPSFできる会社/機会を探します。最終的に提示された条件を受け入れられればPMFします(実際のフィットは入社後の判断されますが)。

自分が転職において何を期待しているのか、どういう価値に基づき、何を求めているのか、そしてお金の重要性をどう考えているのか。

仕事では予算管理やROIを厳しく見たり、事業責任者やファイナンスの担当者であればキャッシュフローやPLに基づいて判断することも多いと思います。そんなの当たり前じゃん、と思っていました。事実仕事では当たり前です。ただ自分のこととなると、そうでもなかったのかなと思いました(何で?)。

給与とは、あなたの人生という限られた時間と引き換えに得られる、定量的な経済的評価です。ただし、そればかりに気を取られていてはもっと大切な時間がなくなってしまいます。しかし、時間と引き換えにするからこそ、仕事の内容にも報酬にも自分の中で納得しておく必要があります。何が正しいとか間違っているとか、成功者がこう言ってるとか、そういうのはどうでもいいです。自分がどう考え、決断したのか、自分なりのストーリーを明確に持っておきたいのです。


こういった堂々巡りの問答は現実の仕事でも日々様々なトレードオフとして発現します。色々なことに、自分なりの意見を持つということが大切、と先輩に教わりましたが、まさにそれがPMの仕事のコアなのかなとふと思いました。何に対しても自分なりの意見を持ち、ブレずにそれを突き通すことができる強さ、時にはそれすらブチ壊して過去の自分を容易に捨て去り、全く別の考えを受け入れられる柔軟さ。背反するようですがどちらも必要だと思います。

隣の芝は常に青いです。給与が減給しても転職モチベーションになっていると、今の会社よりよその会社は魅力的に映りがちなので思考を合理化しようとする罠に気をつけてください。メタ化して考え、転職エージェントの言葉を鵜呑みにせず、合理的に判断してください。

最後に身もふたもないことを言いますが、結局はどう生きても自由だし、何をするのもどこにいても結局は自分次第。

Becoming is better than being

好きな言葉です。悩んでるのもBecomingってことだし、それもいいしょ、と気軽にやるのが僕の性に合ってるのかなと、よくわからないことを書いて終わりにします笑。


PS(備忘?):

フレームワークとかあまり好きじゃなかったんですが、メンタルモデルとか素直につかって物事整理すると案外(というか当たり前?)いいのかもと思ってみたり。この本はフレームワーク集らしいけど、なんかいいらしいので気が向いたらチェックしてみようと思います。

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