BFC6 決勝作品 感想
プールの記憶 深澤うろこ
中学生たちが屋上の水を抜いたプールに連れてこられる。当然授業だと思っている普段通りの彼らそれぞれの様子、ちょっとした違和感がどんどんエスカレートする状況の中で膨れ上がっていき、取り返しのつかない状況が出現する。全知の語り手が生徒たちの内面や記憶、彼らから見える風景や感触に自在にアクセスし、特定の視点人物へ感情移入させることはしていないのだが、至極普通の中学生集団の平凡なやりとりがこの不思議な記述によって何か温もりを持った、掛け替えのないものと感