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“便利さ”から距離を置いて変化した 仕事と暮らしと人付き合い

6年前、神奈川県鎌倉の地に築40年の家を購入して、夫と子ども2人との生活を送っている。これだけ聞くと「鎌倉に古民家?なんて素敵!」と言われることも多いが、都内では庭付き戸建ては手が届かず、通勤圏内で身の丈にあった中古物件が見つかったから。キッチンとリビングをリノベーションして、そこだけは友達を呼べる状態に。他の部分は、住みながらアップデートしていくことにした。

半ば勢いで始まった鎌倉生活によって、生き方や考え方も大きく変化していった。

公園やショッピングセンターが近くにない不便さのおかげで、育児も変化していった。これまで子どもたちに与えていたのは、飽きたら捨てる、その時限りのおもちゃが中心だった。こちらでは、娘はお寺で小枝やまつぼっくりを拾って楽しみ、息子は砂浜をハイハイしては貝殻を手にして喜んだ。保育園では、夏場のプールも手づくり。ウォータースライダーまで自分たちでつくり、涼を楽しんでいた。

都会のような便利さがないこの地域では、ないものは自分でつくるといった知恵を持つ人が多い。

そんな考えに刺激を受けた私は、3年前、都内への通勤生活を辞めた。現在は、フリーランスで企業や団体の広報PR業務を行っている。

仕事で関わる人たちも、捨てずに活用する術を持ち合わせている人が多い。
料理教室を企画する仕事では、講師や関わる人みんな、野菜の根っこひとつもゴミにしないで料理に使う。建築関係の会社では、工事で出た廃材を捨てずに、次につくる住宅に活用して、味わい深くかっこいい家をつくりあげている。

プロの建築家と一緒にウッドデッキづくり。子どもたちも手を動かした。
夫の趣味は庭いじりに。

そんな我が家には、毎月のように都内から友人家族が泊まりに来る。ただ何をするわけでもなく、美味しいものを食べて、海や山を散策して満足した顔で帰っていく。もしかしたら、彼らも、ものに溢れて消費を繰り返す生活に疲れているのかもしれない。

そういえば、田舎の高校生だった私は、ミシンでスカートを作ったり、行きたい場所へは何時間も自転車をこいだり、自分で考えて自分でなんとかしていたことを思い出した。

6年前に始めた生活は、あの頃への原点回帰なのかもしれない。

知恵があればお金がなくとも自分の手で創り上げられる“生きる力”を、子どもたちにも伝えていきたい。


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