とんかつは和食なのか洋食なのか。
ある日、突然気になることってありませんか。
今回気になったのはこれ。とんかつです。
おうちごはんのごちそうなのはもちろん、外食でも人気のメニュー。
🐽どこでもエース
専門のとんかつ屋さんがあるばかりか、定食屋さんのとんかつ定食に、洋食屋さんのポークカツレツ、カレー屋さんのカツカレー、パン屋さんのカツサンドに、お蕎麦屋さんのかつ丼。
どれもエース級のメニューです。
定食のごはんのおかずにしても美味しい。パンにはさんでサンドイッチにしても美味しい。カレーをかけても美味しい。そしてボリューム満点、食べ応えもばっちり。人気があるのも然りです。
でも、そこでふと気になったこと。
たとえば定食にしたときは、ごはんのほかにお味噌汁がついてお新香がつきますよね。でも洋食屋さんで食べるときはコーンスープやコンソメがパンと一緒についてくることもある。
🐽とんかつは和食なのか、洋食なのか
とんかつ定食は和食。ポークカツレツは洋食。カツサンドもカレーも洋食。料理としてはそんな分類になると思います。
では、とんかつそのものははたして和食なのか、洋食なのか。
そんなことが気になりはじめてしまいました。
もちろん、もともと洋食だったのは知っています。とんかつのカツはカツレツのカツ。カツレツはフランス料理のコートレットが語源。
でも、今ではフランス料理店ではむしろ珍しく、とんかつ屋さん、定食屋さん、カレー屋さんに洋食店、パン屋さん。もっと身近なお店で活躍している。
そんな現在のとんかつが和食なのか、洋食なのか。
定食屋さんで食べようが、洋食屋さんで食べようが、パンに挟まっていようが、カレーにのっかっていようが、とんかつが豚肉に衣をつけて油で揚げたものであることにかわりはありません。
いったい、どこに和洋の分かれ道があるのか。
気になりませんか。
それを探ってみることにしました。
🎌こうしたら和食
そのためにはそれぞれを再現してみなくては。そうしないと比較もできません。
まずは和食スタイル。もちろん呼び名は“とんかつ”です。
付け合わせはもちろん、千切りキャベツ。うん、これは絶対とんかつです。
でもちょっと見た目がものたりない。どこがそうなんだろう、と考えたら、これでした。
切る。
定食屋さんで食べるニッポンのとんかつは、お箸で食べるとんかつです。ひと切れずつ切り分けられて、つまめるようになっているのがしっくりきます。
それとこれ。
お皿の端にちょんと載ったからし。これが俄然とんかつ屋さん感、定食屋さん感を高めてくれます。
あとはソースをかけるだけ。
ソースはもちろんとんかつソース。中濃でもいいし、ウスターでもOKです。
自分は関西出身なので、ウスターソースをかけるのが好みですが、とんかつ屋さんっぽいのはやっぱりちょっととろみのあるソースかなという気がします。
🍽こうしたら洋食
続いてどうしたら洋食になるのか。
まずは付け合わせから。
マッシュルームといんげん豆のバターソテーに、にんじんのグラッセ。とんかつ屋さんの生野菜に対して火を入れた野菜が白赤緑の3色が揃うと、洋食っぽい。この組み合わせはハンバーグでもビーフステーキでもチキンソテーでも似合いますよね。
次に大事なのはソース。洋風に仕上げるのなら、やっぱりデミグラス系です。
今回は作り置きの冷凍ストックを使います。
この間作った牛肉の赤ワイン煮込みの香味野菜をベースにしました。
ソースのかけかたも洋食っぽくいきます。中心から端に向けてかける感じ。伝わりますよね。
仕上げにソースの上から刻みパセリを。
フォークとナイフを用意して、切りながら食べるのが洋食感マシマシです。
なにをもって洋食なのか、和食なのか。
日本の食卓って、けっこういろんな国の料理が入り混じっているからこそ、わからなくなるのかもしれません。
結論としては付け合わせとソース。提供されるお店のスタイルによってかわる、その要素が鍵を握っているのではないかと思います。
🌎アレンジで広がる食卓
たとえばふつうのおうちごはん。今夜のメイン食材はお肉。肉じゃがなら和食、ハンバーグなら洋食、酢豚なら中華。
そのほかにも日本の食卓にのぼるメニューは、世界各国の料理をもとに、日本人の舌に合うように、あるいはおうちごはんとして作りやすいようにアレンジされたものがたくさんあります。
料理は工夫。新しいメニューが生まれるとき、どこかで食べた料理を再現するとき、そしてそれらが定着していくときも、きっといろんなアイディアの積み重ねがその支えなんだと思います。
とんかつもそんなひと品。
もともと洋食だったメニューを日本の食卓に合うようにアレンジして、それが和食寄りになればとんかつ、洋食の方向がポークカツレツ。でもどちらも人気のメニューです。
とんかつは和食にもなれるし、洋食にもなれる。そのときの気分でアレンジさせてくれる、懐の深いひと品です。そしてそれが成立するのは、そもそもが豚肉に衣をつけて揚げるという至ってシンプルな料理の骨格にあるのだという気がします。
シンプルって素晴らしい。
アレンジって素晴らしい。
そしてアレンジは料理の魅力だと思うのです。
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