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「何もしない」をする

基本的に健康ではありますが、唯一、定期的に病院へ行く機会があります。
コンタクトレンズの処方せんをもらうために、自宅最寄り駅のすぐそばにある、かかりつけの眼科へ行くことです。

テレワークの頃は、仕事終わり、受付終了間際の時間帯に訪れていました。
なので、早い時は受付からお会計までが15分程度で終わっていたんですが…。

勤務体制が出社のみになってからは、土曜日の午前中に行くしかなくなってしまい。
いつ行っても混雑しているので、早ければ1時間、長い時だと1時間半を、その眼科で過ごしています。

院内にいる間のほとんどが待ち時間なんですが、意外に何もすることが無い、空白の時間だったりします。
視力検査や診察を控えているから、スマホを眺めるのは避けたい。
いつ呼ばれるか分からないから、読みかけの本に没頭するわけにもいかない。
ソファーに座っているだけの状態なので、ノートを広げて何か書く作業などもできない。

おとといの土曜日が、まさにそんな状態でした。
対策として、たとえば一章が見開き2ページぐらいで読めるような、いつでも中断できる本を持って行けばよかったのかもしれません。
しかしあいにく、家を出る時点でそこまで思い至りませんでした。

その眼科の待合室にはテレビも置いていないので、やれることと言えば、貼ってあるポスターをじっくりと読むぐらいです。
目の前にあった「40歳になったら白内障検診を受けよう!」という啓発ポスターを、書かれている文章にイラストにと、隅から隅まで眺めたりなどしました。


無事にお会計まで終わり、眼科を出た後。
最寄りのフレッシュネスバーガーでお昼ごはんを食べつつ、読みかけの本の続きを読んでいると、こんな文章がありました。

イギリスの環境コンサルタントであるジェフ・ライは、友人のデヴィッド・ワトソンが若くして急死したあと、物事の見方が変わったという。交通渋滞に巻き込まれても、いつものように怒りで拳を握りしめるのではなく、そこにいられないデヴィッドのことを思うようになった。
「生きてこの渋滞に巻き込まれることができたら、彼はどれほど喜ぶだろう?」

あらゆる待ち時間に対して、「自分がそれをしている」という事実に気付き、感謝の念が浮かぶようになった。
そういう内容でした。

もしもこの部分を、眼科に行く前に読んでいたら。
あの、ただただ啓発ポスターを眺めて過ごすだけだった待ち時間を、違う気持ちで過ごせたかもしれません。

とはいえ、そんなふうに思えたのも、あの無為に思えた待ち時間があってこそだと言えるのも確かです。
乱読がくれる巡り合わせの妙に感謝しつつ。

次に眼科に行くのはおそらく4か月後。
その時に感謝をもって「何もしない」を出来るように、今日のことを思い出せるといいな、という気付きをくれた本のご紹介です。

タイトルからは意外に思えるかもしれませんが、効率重視のタイムマネジメントや生産性至上主義に真っ向からノーを突きつける、意欲的な一冊です。
まだ読み終わってないけど、現時点ですでに名著と言いたい。

週明けお疲れさまです。
今日も良い一日になりますように。


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