トイチの萬田

知財情報を含めたビッグデータを分析し、事業・研究方針の仮説検証に反映する「IPランドス…

トイチの萬田

知財情報を含めたビッグデータを分析し、事業・研究方針の仮説検証に反映する「IPランドスケープ」を実践。企画/事業/研究開発など多様なキャリアを経て現職。AIPE認定知的財産アナリスト(特許、コンテンツ)、応用情報技術者。

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【商標法】商3条1項と商26条が一致しない理由

商3条1項(登録要件)、商26条(及ばない範囲)には、「普通に」という言葉が出てきます。 この、「普通に」の意味が違う理由についてです。 ・商3条1項は、構成態様のみ。 ・商26条は、構成態様と、使用態様。 審査段階では構成態様しかわからず、使用態様が解らないから。 ※出典:LEC佐藤卓也先生のyoutube 平尾先生の本に詳細がありました。↓ ■商3条1項 審査官がその商標の使用態様や取引の実情を知らない状態で一般的・抽象的に判断する条文 ■商26条 裁判官がそ

    • 【特許法】4条延長の対象 〜「園長、服の変さ」

      特許法第4条、遠隔交通不便の延長(4条延長)についてです。 4つありますが、覚えられないので語呂合わせです。  「園長(延長)、服の変さ」 実案の第三者評価請求があったときの変更出願 …変 特許料納付 …の 拒絶査定不服審判請求 …服 再審請求 …さ ■補足 期限が短すぎるものに、付いてくる。 第三者評価請求の通知から、変更出願は30日。 登録料納付期限は、謄本送達から30日。 拒絶査定不服審判の請求期間は、今は3月だが、以前は30日と短かった。 再審請求は、理由

      • 【特許法】第76条 相続人不在 〜「なむあみだぶつ」

        今回は、第76条 相続人不在です。 ■語呂合わせ 第76条 相続人不在  なむあみだぶつ (解説) そのまんま。特許権は消滅。 ■内容 相続人がない場合の特許権の消滅、です。 特許権は無形資産なので、国庫に返還(民959条)されず、消滅するんですね。 ■条文

        • 【特許法】訂正審判や訂正請求では、訂正したいものだけ出せばいい

          訂正審判と、訂正請求についてです。 訂正したいときは、明請図の全てを出すのか、訂正したいものだけを出すのか、という話です。 結論:訂正したいものだけを出せばよい 根拠は、条文に「又は」とあるからです。 …請求書に訂正した明細書、特許請求の範囲又は図面を添付 条文の所在は、 ・訂正審判は、特131条4項 ・訂正請求(異議申立)は、特120条の5第9項が準用する特131条4項 ・訂正請求(無効審判)は、特134条の2第9項が準用する特131条4項 です。

        【商標法】商3条1項と商26条が一致しない理由

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          【特許法】第117条、144条の2 〜「いいな秘書に欲しい審判書記官」

          今回は第117条と第144条の2、審判書記官です。 ■語呂合わせ 第117条、第144条の2審判書記官 いいな秘書に欲しい審判書記官 (解説) 元ネタはこちら。「これはすごい、戦闘力42000まで上がりましたよ。部下に欲しいくらいですよ!」 ■内容 審判書記官に関する条文です。117条は異議申立、審判は144の2です。 審判書記官は、口頭審理の記録をする。では、書面審理である異議申立や、拒絶査定不服審判、訂正審判ではなぜ審判書記官が付くか。書類の送達業務があるか

          【特許法】第117条、144条の2 〜「いいな秘書に欲しい審判書記官」

          【商標法】取消審判の語呂合わせ 〜「不審な証券マン、出所しよってDIE!」

          商標法には多くの取消審判があります。 なかなか覚えられないので、語呂合わせを作りました。 補正却下決定不服審判、異議申立、無効審判は頑張って覚えるとして。その後が多すぎ(笑)。 ■取消審判の語呂合わせ  「不審な証券マン、出所しよってDIE!」 50条   不使用  …不審な 51条   商標権者不正使用 …証券マン 52条の2 出所混同(移転による不正使用)…出所 53条   使用権者不正使用 …しよって 53条の2 代理人等登録使用 …DIE! 52条の審判とい

          【商標法】取消審判の語呂合わせ 〜「不審な証券マン、出所しよってDIE!」

          【特許法】発明者は自然人、の根拠条文

          特許法での、発明者についてです。 発明者は自然人でないとなれない、と聞きます。とはいうものの、根拠条文はどこにあるかと思ってました。 根拠条文は、36条1項2号でした。「発明者の氏名」とあります。ここから自然人と読む様子。いや、ここかい!とツッコみたくなります。

          【特許法】発明者は自然人、の根拠条文

          【特許法】分割出願が29条の2の引例としては遡及しない理由

          分割出願は、29条の2の引例(他の特許出願)としては遡及しないとあります(特44条2項)。 理由:分割要件を見るのは査定時だから。 分割要件を見るのは審査官。審査官が分割要件を見るのは、査定時。査定までは、分割要件を満たすかはわからない。なお、分割要件を満たさないなら、出願日は遡及しない。 分割出願が29条の2の引例としては働くときは、この分割出願は査定が確定していない。なので、遡及するかわからない。よって、引例としては遡及する訳がない。

          【特許法】分割出願が29条の2の引例としては遡及しない理由

          【特許法】第34条の2 仮専用実施権 〜「差しつかえないなら仮専くれよ」

          今回は、第34条の2 仮専用実施権です。 ■語呂合わせ 第34条の2 仮専用実施権  差しつかえないなら、仮専くれよ (解説) 仮専ほしい。 同情するなら金をくれ。欲しておるのよ。 ■内容 仮専用実施権についての条文です。 仮専の段階では、どこまで権利化されるかが解らないので、効果は明請図の全範囲に及ぶ(34条の2第1項)。設定登録されたら、専用実施権に格上げ(2項)。 仮専は、仮通常実施権者の承諾がないと放棄できない(7項)。似た規定で、専用実施権の放棄の承

          【特許法】第34条の2 仮専用実施権 〜「差しつかえないなら仮専くれよ」

          【特許法】外書が訳文を出さないと分割できない理由

          外国語書面出願(外書)の分割についてです。 外書は、訳文を出さないと分割できない。 理由は以下のとおり。 ■1号分割 (44条1項1号、補正できる時期の分割) 補正は訳文を出さないとできないから(36条の2第8項)。 外書は訳文をもって明請図とみなすという規定。 補正できる時期でないと分割できないのなら、補正できるように訳文が出てるはず。 ■2号分割、3号分割 (44条1項2号、最初の登録査定時の分割) (44条1項3号、最初の拒絶査定時の分割) 訳文が審査対象だか

          【特許法】外書が訳文を出さないと分割できない理由

          【商標法】商標登録出願の、補正と分割のズレ

          商標法についてです。商標法では、補正と出願分割のできる時期がズレています。 ◆補正(商68条の40)  審査、審判、再審、異議、係属中 ◆出願分割(商10条)  審査、審判、再審、審決に対する訴え、係属中 ここで、出願分割については主体が商標登録「出願人」なので、出願が対象。 なので、審判とは拒絶査定不服審判を指し、無効審判では出願分割できない。 再審も同様で、拒絶査定不服審判の審決に対する再審だと出願分割できるが、取消決定や無効審決や取消審決に対する再審の係属中には

          【商標法】商標登録出願の、補正と分割のズレ

          【特許法】第138条 審判長 〜「井沢が審判長」

          今回は第138条 審判長です。 ■語呂合わせ 第138条 審判長  井沢が審判長 (解説) 私にとっての井沢は、稲中卓球部の「井沢ひろみ」。ここは東大王の伊沢拓司さんでも、他のイザワさんでも可です。 ■内容 審判長の条文です。 特許庁長官が、審判官合議体(137条)から指名(138条1項)。審判事件に関する事務を総理(同2項)。 では具体的に何をやるかについては、審判請求書の確認など。井沢さんは忙しい。 ・審判請求書の補正の確認(131条の2) ・審判請求書の補

          【特許法】第138条 審判長 〜「井沢が審判長」

          【特許法】第137条 審判官合議体の構成 〜「いざ仲良く審判官合議体の構成」

          今回は、第137条 審判官合議体の構成です。 ■語呂合わせ 第137条 審判官合議体の構成 いざなか良く、審判官合議体の構成 (解説) 3人又は5人の審判官合議体です。仲良くしましょう。 ■内容 審判官合議体の構成についての条文です。 審判官合議体は、3人又は5人(異議:114条1項、無効審判:136条1項)。審判官は長官が指定します(異議:116条で137条準用、無効審判:137条1項)。 審判官合議体が構成される前なので、長官しかいない。 ■条文

          【特許法】第137条 審判官合議体の構成 〜「いざ仲良く審判官合議体の構成」

          【商標法】商8条1項(先願)が、拒絶査定の理由になっていないのはなぜか

          商8条1項(先願)は、拒絶査定の理由(商15条各号)にはなっておりません。 一方、拒絶理由通知を出すことはできる、とあります(商16条の3)。これが先登録されると、商4条1項11号(先願先登録)で拒絶査定。 先願後登録(過誤登録)は、異議・無効理由(商43条の2第1号、商46条1号)で見る。 ■理由 ・商標権は、放棄や拒絶査定によって先願の地位が残らない(商8条3項)ので、先願自体は拒絶査定の理由にならない。 なお、4条1項11号は他人の登録商標によって来るので、自己

          【商標法】商8条1項(先願)が、拒絶査定の理由になっていないのはなぜか

          【特許法】裁定が通らない場合

          裁定(特83条、92条、93条)が通らない場合についてです。 ■83条裁定 裁定までに実施された場合。 裁定請求されてから、後願特許権者が駆け込み実施。 ■92条3項裁定 価値が違いすぎる場合(92条5項)。 例えば、先願が物質発明、後願が用途発明。実施上の利用関係。 ■93条裁定 例外事項なし。

          【特許法】裁定が通らない場合

          社外協創 「あなたのために連れて来ました」が意味すること

          社外協創での対話についてです。 「あなたのために、この人を連れて来ました」という紹介を受けたことがあります。これが何を意味するかは、場合によるという話です。 ■突然来たが、何も話さなかった若い方 あるベンダさんと、委託についての打合せ。先方が、新しい方を連れて来られました。「御社のために、専門領域の者を連れてきました!」とのこと。20代前半くらいの若い方でした。 最初は、へぇ〜すごい方なんだ、と真に受けていました。ところが、打合せでは一言も話されません。その後も何度か

          社外協創 「あなたのために連れて来ました」が意味すること