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好きなドラマは、孤独のグルメ。



サラリーマン役の俳優さんがひとり、
食堂でトンカツ定食を食べるシーンが
映し出されました。

差し出された定食を前に、
背すじをすっと伸ばして
「いただきます」と
胸の前で手を合わせる男性。

分厚く揚がったトンカツの
真ん中のひと切れに
ソースとからしを落とし、
箸でそっと持ち上げて、はふり、とひと口。
よく噛んで、しみじみと肉の旨みを噛みしめて
その美味しさに頬をふっと緩めて。
次は塩で、
また次は白米と一緒に、と
男性は満足げな表情で食べ進めてゆきます。

これはドラマ「孤独のグルメ」の再放送。

私は、この番組がすきで
録画したものをよく見かえしています。

美味しそうな料理が出てくる番組は
いくらでもあるのですが、
このドラマには他とは違う
なにか、心地良さのようなものが
ある気がするのです。


その訳を考えて
ひとつ、
気づいたことがありました。




その俳優さんは
姿勢や、箸の持ち方、器の扱い方、
そして食べる速さといった
食事中の所作が
とても綺麗なのです。

ぎこちなさがなく、
また大袈裟でもなく、
身体に馴染んだ動きに
自然と、好感が持てるのです。



例えば、お椀を持つ手。
親指は
お椀の縁にかるくかけ、
その他の指はきちんと揃えて
底を支えます。
汁を啜るときなど、
ときにもう片方の手を添えて
お椀をやさしく包むように持ちます。

お箸を持つ手は決して力まず、
それぞれの指が正しい格好で
食べものをつかみ、口へ運びます。

一度で口へ運ぶ量を加減して
口の周りに食べものがつかないよう
気をつけて。

そうして、
ゆっくりと、よく味わいながら
食べる、という具合です。




食事となると、
つい目の前の美味しそうな食べものに
気を取られて
食べる姿、というものを
忘れがちになります。

だからこそ、その時に
綺麗な所作がサッと出てくるひとは
ほんとうに素敵だな、と思います。


そして何より、
所作が綺麗であると
食べることをたいせつに思っていることが
見ている側にも伝わって、


そのことが
食べる姿をずっと見ていたくなるような
心地良さを生むのだと思います。





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