種の進化と個体の成長

どこで読んだ話だったかも定かではない。

ある種の生命の進化の歴史と、それに伴う種の形態の変遷が、個体レベルの発生から成長の過程と相似する、と言う話をどこかで目にした。

少々わかりづらい。

つまり、単細胞生物から始まって今のヒトの形になるまでの過程が、受精卵から成人になるまでのそれと近似する、と言うことらしい。

生物学に明るいわけではないが、読んだ当時は、なるほどな、と素人ながらに鮮烈な知見として受け止めたように記憶している。

一個の細胞が、魚のような形態から四肢を生やし、しばらくして二足歩行ができるようになる。確かに納得できそうな話だ。

さてここからだ。

人類はこの先数千年あるいは数万年の後、おじいちゃんおばあちゃんのようなフォルムになるのだろうか。

最初の論が正とするなら、逆に考えれば個体レベルの最終形態である老後の姿こそが、種としての人類の未来なのではなかろうか、と言うことである。

いやあ、ちょっと考えにくい。

あるいは、個体としての完成形は、生命体として機能が完成する成人前後なのだろうか。だとすれば種としての進化も今の形であらかた大詰めだろう。

人類の進化の末として、もうひとつ耳にするのがいわゆるグレイ型と言われる宇宙人のフォルムだ。脳の発達に伴い頭部が肥大し、咀嚼機能の衰えとともに小さくなった顎、あの典型的な宇宙人のイメージは、現在からさらに科学を発展させ宇宙旅行をするようになった人類の外見的な行く末だ、と言う話も耳にしたことがある。

どっちもあまり気乗りはしない。むしろ願い下げである。

まあ、進化と適応のスパンを考えれば、ヒトが上のいずれか(あるいは全く別の形態)になる頃には文明も社会も様変わりしているだろうし、そもそもインターネット上のこの駄文も、日本語という言語も残っているかどうか怪しいところだ。

まずもって人類が滅びないとも限らない。

なんにせよ、地球史を一年のカレンダーとしたら大晦日の亥の刻以降に生まれて、刹那しか生きない自分には、とんだ杞憂であることは間違いない。

異星人がめっちゃ発展したテクノロジーでこの文章にたどり着いて翻訳した時に、外見を侮辱された、と言って地球に攻め込んでこないように保険をかけておこうと思う。

顎がシュッとして目がクリクリで素敵だね。

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